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FXを長年取り組んでいると、ふと次のような疑問が浮かんできます。
(果たして、自分の運用は適正なのだろか?)
(仮にこのまま継続したとして、破産するようなことはないのだろうか?)
この疑問を解消すべく提唱された理論が、本記事で紹介するバルサラの破産確率になります。
FXは、強制ロスカットという一度の失敗で全てを失うことになりませんので、ぜひ自身の運用状況について振り返ってみましょう。
目次
バルサラの破産確率とは?
バルサラの破産確率とは、勝率と損益率を参考に、今後破産する可能性があるかどうかを検証する確率モデルです。
数学者であるNauzer J. Balsara(ナウザー・バルサラ)が提唱した理論であり、1992年に出版した著書「Money Management Strategies for Futures Traders」にて記されています。
破産確率を算出するために必要な数値は、「勝率」「損益率」「資金率」これら3点です。
FXで長期にわたって生き残れるのは、勝ち数が多い人なのか、1回あたり大きく勝つ人なのか、リスク回避型なのか、統計学的な観点から検討することができます。
自身の運用が適正であるかどうか、損益率と勝率のバランスから評価したい時に用いられ、FXだけでなく株式や仮想通貨のトレードにおいても重宝するものとなるでしょう。
バルサラの破産確率の計算に使う3つの変数
バルサラの破産確率を計算するためには、「勝率」「損益率」「資金率」これら3つの数値が必要になります。
それぞれどういった方法で求めれば良いのか、本節では具体的な数値を用いて解説していきます。
変数1:勝率
勝率に関しては、皆さんもイメージしやすいのではないでしょうか。
自分がトレードにおいて、どれくらい勝ち切れるのか、その確率を表したものになります。
勝率(%) = 勝ちトレード数 ÷ 総トレード数 × 100
例えば、100回トレードして70回勝てるようでしたら、勝率は7割ということになります。
自分の勝率がどの程度のものなのか、トレード履歴を辿ってしっかりと確認してみましょう。
変数2:損益率
損益率とは、簡単に言えばリスクリワード比率のことです。
トレード1回あたりでどれくらい稼げるか、またどれくらい失う可能性があるのかを検討するものであり、計算式は以下の通りとなります。
損益率(倍) = トレードの平均利益 ÷ トレードの平均損失
例えば、トレード1回あたりで平均勝ち額が1000、平均負け額が800円の場合は、リスクリワードが1.25倍(1000 ÷ 800 = 1.25)ということになります。
このリスクリワードは、EA等のバックテスト環境においても重視されており、トレード手法を検証するための評価基準でもあります。
変数3:資金率
資金率とは、リスクにさらす資金の比率を意味します。
より分かりやすく言えば、1回のトレードあたりで許容できる損失の限度額のことであり、計算式は以下の通りとなります。
リスクにさらす資金比率(%) = 1トレードの許容損失額 ÷ 口座資金 × 100
例えば、口座資金が100万円という状況を考えてみましょう。
この時、1トレードの損失限度額が1万円であるならば、リスクにさらす資金比率は1%(1万円 ÷ 100万円 × 100)です。
FXでは一般的に、安定した運用を心がけるのであれば、資金率を2%以内にとどめることが推奨されています。
しかし、特にこういった数値を意識されていない方であれば、おそらくその数値を超過してしまい、知らず知らずのうちに危ない運用になってしまう傾向にあります。
バルサラの破産確率を用いる・用いないにかかわらず、一度この資金率の数値を洗い出してみてはいかがでしょうか。
バルサラの破産確率表とは?
バルサラの破産確率は、以下の確率表を用いて算出することができます。
本節では、その具体的なやり方について、ステップ形式で解説していきます。
ステップ1:資金率の検討
トレード1回あたりで、どれくらいの損失を許容できるのか、まずは資金率を検討してみましょう。
安定的な運用を心がけたい方であれば2%以内、ミドルリスクミドルリターンを狙いたい方は5%以内が目安です。
破産してしまう人の傾向としては、40%以上の資金率、つまり余程大きなレバレッジか、損切りの逃げ遅れが挙げられます。
ちなみに上表の資金率は15%なので、比較的リスク的な運用と言えますが、勝率や損益比率の具合によっては、破産を免れることも可能です。
ステップ2:勝率の算出
過去のトレードを振り返って、自分の勝率を割り出してみましょう。
この時の注意点としては、決して感覚的に行わないということです。
自分の実力からして、大体これくらいかな?と、記憶や憶測だけを頼りに算出しても意味がありません。
バルサラの破産確率をより機能させるために、FX会社のマイページからトレードログを確認して、厳正なデータを入手しておきましょう。
ステップ3:損益比率の算出
勝ちトレード・負けトレードそれぞれの損益比率を計算してみましょう。
この点については正確さが求められるわけではありませんので、自分の理想とするリスクリワードレシオで大丈夫です。
多くのトレーダーのブログや、FXに関するセミナーでは、リスクリワード1:2を目指すべきと紹介されていますが、これは3回のトレードのうち2回は勝てるということです。
経験の浅いうちは、中々実現できるものではなく、そこまで出来過ぎたリスクリワードを入力してしまうと、バルサラの破産確率も上手く機能しないことが考えられます。
そのため、理想の比率としながらも、自分の実力的にもそう遠くない数値を入力することを心がけてください。
バルサラの破産確率の簡単な計算方法
確率表を用いたり、勝率や損益比率など諸々計算するのが面倒という人もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが、簡単に計算できる『”破産の確率”計算機』というWebページです。
必要数値を入力するだけで、誰でも簡単にバルサラの破産確率を求めることができます。
本節では、これらの入力項目の詳細や、使い方についての詳細をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「定額」と「定率」の違い
破産確率を求める方法は、「定額」と「定率」の2パターンがあります。
定額方式では、その名の通り常に定額でベットし続ける、という状況を想定しています。
例えば、運用資金が100万円あったとして、損失の許容限度額を10%、つまり10万円までと仮定してみましょう。
この時、運用を継続して資金が増えようが減ろうが、損失の許容限度額を変更させず10万円ベットし続ける、というシミュレーションです。
また定率方式では、元金から一定割合でベットし続ける、という状況を想定しています。
上と同様に、運用資金が100万円あったとして、損失の許容限度額を10%と仮定してみましょう。
この時、資金が200万円に増えた場合は20万円でベット、資金が50万円になった場合は5万円を別途する、というシミュレーションになります。
どちらが良いのか一概に判断することはできませんが、おすすめとしては複利運用をベースとした一定率方式になるでしょう。
リスク管理を徹底して破産を免れることさえできれば、稼げる金額は指数関数的に伸ばせるようになるためです。
破産の確立計算機①「定額」投資での破産確率
次の条件をもとに、定率方式での破産確率を算出してみましょう。
勝率:48%
RR(リスクリワード)比率:1.1
損失の許容:4%
この条件より算出される破産確率は「69.41%」であることが明らかになりました。
勝率が5割を下回っていて、なおかつリスクリワードや損失の許容が優れていなくとも、30%の確率で生き残れると考えることもできます。
計算機の数字を色々と変えてみると、破産に影響するのはどの要素なのかが掴め、自身のトレードの改善点も見つけやすくなるのではないでしょうか。
破産の確立計算機②「定率」投資での破産確率
次の条件をもとに、定率方式での破産確率を算出してみましょう。
勝率:45%
RR(リスクリワード)比率:1.25
損失の許容:2%
取引開始の資金額:1000000円
破産と判断する資金残高:10000円
この条件より算出される破産確率は「97.75%」であることが明らかになりました。
RR(リスクリワード)比率が1.25%という優秀な結果を出しているにもかかわらず、勝率が45%であれば、ほぼ破産という結果に終わるようです。
また興味深いこととして、勝率をごく僅か0.1%向上させることで、破産の確率を劇的に下げることができるようです。
ほんの僅かな差に思えても、長期的に運用していくことで明暗が分かれるということでしょうか。
この事実を念頭に置いて、勝率0.1%でも向上できるよう、日々のトレードを大事にしていきたいところです。
バルサラの破産確率の活用方法
バルサラの破産確率の活用方法は、大きく分けて3つが挙げられます。
本節では、それらについて詳しく解説していきますので、ぜひ皆さんのトレードにも取り入れてみてください。
トレードを評価する習慣
バルサラの破産確率は、自身のトレード履歴を参考に、各種数値の算出が求められます。
勝率や損益比率について振り返るきっかけにもなり、なるべく理想値に近づけようと、トレードスキルを向上させる一助となるでしょう。
例えば、損切りが苦手という人でも、リスクリワードを遵守する習慣が持てるのではないでしょうか。
「〇%で損切りしなければバルサラの破産確率から逸脱してしまう…」そう考えることができれば、気が進まない損切りも、多少は決行しやすくなるでしょう。
資金効率の最大化
リスクを避けることは非常に重要ですが、過度にリスクを遠ざけてしまっては、資金効率が悪くなってしまいます。
例えば、100万円の資金を運用しながらも、毎年数%の利益しか得られていないようでは、少々守りに入り過ぎかもしれません。
そこで、バルサラの破産確率を用いて、破産しないギリギリのラインを攻めてみてはいかがでしょうか。
得られる利益を取れていないというのは、見方を変えれば損をしていることと同じです。
損益比率や資金率を調整して、資金効率の最大化を目指せるというのが、この確率モデルの活用方法の1つといえるでしょう。
破産=強制ロスカットの回避
FXでは、よく次のような言葉を耳にします。
「勝ち続けられるのは一握りだけ。」
「生き残るのは1割にも満たない」
この言葉は、真実ではないにしろ、大袈裟ではないことが分かります。
というのも、バルサラの破産確率を試してみれば実感いただけるかと思いますが、結構な確率で破産する結末を迎えることになるからです。
上表を見ると、半数以上が破産確率99%で埋め尽くされており、仮に勝率5割をキープできても、損益比率が「1」では破産することになります。
ではどうすればロスカットされないのか、自分のトレードをどのように調整すべきか…改良点を追求して、破産するかもしれない未来を回避するというのが、最良の使い方といえるでしょう。
バルサラの破産確率の問題点
問題点1:メンタルの作用
バルサラの破産確率で算出できる確率は、決して万能と呼べるものではありません。
言ってみれば方程式に当てはめているようなもので、トレードに影響する感情やメンタルの要素まで考慮できているわけではないからです。
例えば、運用資金が100万円と1億を比較した場合や、含み損がある状況とない状況を比較した場合では、勝率や損益比率が大きく異なることが考えられます。
大きな資産があれば、安定的に増やそうとより堅実になり、失うものがなければ全力投球のトレードだって実現できるわけです。
そう言った意味で、必ずしも過去と同じトレード成績が再現できるとは限らず、バルサラの破産確率の信憑性も薄れてしまうことが考えられるでしょう。
問題点2:トレードの試行回数が必要
バルサラの破産確率のような、確率統計モデルの信頼度を高める場合は、それなりの試行回数が必要です。
本当に確信を得るためには、数百〜数千という規模のデータが必要であり、それらを揃えるのに一苦労してしまうでしょう。
仮に、一日に10回トレードできるようであれば、月に220回で年に2640回です。
この数字を以ってしてもデータ数としては十分とは言えませんが、ここからさらに勝率や損益比率を割り出す必要があります。。
毎回トレードログや、記録を残す習慣があるのならまだしも、そうでない人にとっては、バルサラの破産確率のスタートラインにも立てないかもしれません。
また、上記の面倒ごとを全て省くために、自分の感覚や記憶を頼りに数値を入力してしまう人もいるかもしれません。
しかしそういった曖昧なデータからは、バルサラの破産確率の持つ本来の機能を発揮できないため、あくまでも参考程度に留めておくべきでしょう。
まとめ:破産する未来は変えられる!
本記事では、バルサラの破産確率について以下のポイントを中心に解説しました。
- バルサラの破産確率の概要
- 計算に用いる3つの要素
- バルサラの破産確率表について
- バルサラの破産確率の簡単な計算方法
- 活用方法と問題点
FXは、多くの人が勝つことを目的としているため、勝つためにはどうすればいいのか…その点だけを考えがちです。
しかしFXで生き残り続けるためには、負けないためにはどうすべきか、破産するリスクがあるかどうかを検討することが、より重要となるでしょう。
適正なリスクリワード、あるいは資金効率で運用できているのかを見直すきっかけとしても、バルサラの破産確率は有用となりますので、ぜひご活用していただければと思います。
以上、参考にしていただけると幸いです。