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そろそろ含み損がヤバいので何とかしたい…。
でも入金する余裕もないし、強制ロスカットもされたくない…このような悩みを解決できるのが両建てと呼ばれるトレード手法です。
両建てはデメリットも大きいため、FXに関するセミナー・参考書籍においてまず推奨されることはありません。
しかし使いこなせるようになれば、急場をしのげる大きな武器になりますので、ぜひとも習得しておきたいところです。
目次
両建てとは
両建てとは、同じ通貨ペアにおいて、売りと買いのポジションを保有することを意味します。
ただFXでは安く買って高く売る、あるいは高く売って安く買い戻すことで利益が得られるため、含み益・含み損それぞれを抱える両建てでは利益を取ることができません。
稼げないのに両建てを行う意味があるのかと疑問に感じるかもしれませんが、両建ては稼ぐ目的というよりも、ロスカットから資金を守るための防御策として使われることが多いです。
その一例として、以下の図をご覧ください。
①で掴んだ買ポジションが、②の地点まで下落した瞬間、売ポジションを同量注文(=両建て)した例です。
最終的に③まで下落したとすると、②以降で下落した分の含み損は売りポジションによって相殺されるため、これ以上増えることはありません。
②で注文した売ポジションのおかげで、①で掴んだ買ポジションの含み損は、②と③それぞれの地点において同値となります。
簡単に言えば、含み損を一時的に固定することができ、根本的な解決にはならないものの、含み損を固定させて時間を稼ぎたい時には有効です。
負けないための両建て手法3選
両建ては、経済合理性を欠く行為になるため手放しで推奨できるわけではありません。
しかし使いこなすことによって、負けにくくすることは可能です。
本節では両建てに関して、負けないために有用な手法を3つ紹介していきます。
部分両建て
「両建て=含み損を固定する手法」と捉えて、最初から全力投球してはなりません。
含み損を緩和させるという目的で、部分的に少しずつ入れていくことをお勧めします。
例えば、10ロットのロングポジションがあったとして、いきなり10ロットのショートポジションを入れるのではなく、一定のレート幅ごとに小ロットずつ入れていくという戦略です。
この戦略のメリットとしては、含み損の相殺が狙えるという点。
新たに仕込んだ両建てポジションが含み益を抱えた場合、それと既存の含み損ポジションを相殺させていくことで、証拠金維持率の回復が図れます。
異通貨両建て
円安・円高どちらに転じても利益が取れる異通貨両建てもおすすめです。
・高金利通貨(南アフリカランド・メキシコペソ)のロングポジションを持つ
・マイナススワップの少ない通貨ペア(スイスフラン円・スウェーデンクローナ円)のショートポジションを持つ
円安の時には高金利通貨から為替差益を取り、また円高の時には為替差益を取りつつスワップポイントが貯まるのを待つ戦略です。
基本的には毎日利益が積み上がっていくので複利運用と相性も良く、安定した副収入が欲しい人にもおすすめです。
両建ての外し方は?
両建てにおいて、大事なのは、両建ての外し方、つまり解消の仕方です。
では実際に有効な外し方には、どのようなものがあるのか、説明していきます。
トレンド方向は保持、逆方向は決済
これは、トレンド相場で有効になる外し方です。
ファンダメンタル分析などによって、トレンドがさらに続くという予想になれば、トレンド方向にエントリーしたポジションを保持していくようになります。
トレンドと反対方向の利益はこれ以上は伸びませんが、相場の判断がきちんとできていれば、トレンド方向の含み益を伸ばすことができます。
ここで重要なのは、トレンドの強さを見極めることができるかということ。
両建てを外した直後にトレンドが転換してしまえば、その後の利益は小さくなるので注意が必要です。
逆方向は保持、トレンド方向は決済
これは、トレンドの転換時に有効な外し方です。
トレンド方向に含み益が出ていたとしても、もうすぐトレンドが転換しそうだと分かった時には、トレンド方向を決済して利益を確定させます。
うまくトレンドが転換すれば、もう片方のポジションで発生している含み損は、徐々に減少していくはずです。
先程の場合と同様、トレンドの流れを読み間違えると、利益が小さくなってしまうので、しっかり見極める力が必要といえるでしょう。
両ポジションを同時決済
状況によっては、なかなか、トレンドの流れが読みづらい局面にも遭遇することがあると思います。
そういう時は、両方向のポジションを同時に決済してしまうのも一つの手です。
もし両方のポジションを決済するのであれば、両建てによって固定されていた含み益や含み損は0になります。
その後の大きな利益を逃す可能性もあるかもしれませんが、予測に確証が持てなかったり、リスクを減らす手段としては有効です。
税金対策のための年末決済
FXで利益が出た際には、その年の1月から12月に確定した利益を翌年明に確定申告するようになります。
ここで大事なのは、副業としてFXを行っている人は、メインとなる収入以外の所得が20万円を超えなければ、確定申告をしなくてもいいということ。
つまり、12月時点で、利益が20万円を少し超えるような場合には、あえて片方のポジションを損切りすることによって、申告義務を回避できる場合があります。
ただし、損切りと利確のタイミングが離れてしまうと、相場変動のリスクが生じてしまうので、なるべく年末ギリギリに損切りを行い、年明けすぐに利益を確定するよう注意が必要です。
両建てのデメリット
一般的に両建ては推奨される手法ではなく、その理由としては大きなデメリットを抱えているからです。
デメリット1:マイナススワップの影響
両建て中にもスワップポイントが発生することになりますが、買いスワップと売りスワップ双方にバランスが保たれているか、よく確認しておかねばなりません。
特に「トラリピ」や「トライオートFX」等の自動売買サービスで見られる傾向ですが、買いスワップと売りスワップ双方において、吊り合っていない状況が多々あります。
両建てによって一時的に耐えれる状況を作ったとしても、その間マイナススワップの支払いは大きなストレスになります。
両建てを活用する際は、スワップポイントの合算がマイナスにならないよう注意しておきたいところです。
デメリット2:含み損が減らない
両建ては、双方のポジションにおいて、必ず含み益と含み損が発生します。
そのためいつかは、自分で損切りする、あるいはプラ転するまで待ち続けることになり、いずれにしても好ましくない状況です。
損切りできないからといってポジションを保有し続ければ、その分証拠金が拘束されることになるので、運用パフォーマンスを著しく低下させてしまうでしょう。
デメリット3:一部海外口座では両建て禁止
FX会社によっては、両建てが禁止されており、特に海外FX口座はその傾向が強いです。
海外FX口座の特徴は?初心者におすすめできない理由や国内FXとの違いを解説禁止される理由としては、両建てによってFX会社側の負担が大きくなってしまうため。
例えば、資金80万円を入金したA口座・B口座について考えてみましょう。
これらの口座で両建てを行い、A口座で+100万円(口座トータル:+180万円)、B口座で-100万円(口座トータル:-20万円)の損益が出たことを考えてみます。
このとき、A口座は大きく儲けて無事に取引は終了となりますが、B口座では80万円しか資金がないため、不足分した20万円を後々収めなければなりません。
ところが海外口座ではゼロカットシステムが標準となっており、不足した資金を収めるのはFX会社側です。
一方トレーダー側としては、元々あった160万円が180万円にまで増えていることになるため、ノーリスクで簡単に利益を出すことができています。
こういった事情から、FX会社によっては両建てが禁止されているのです。
デメリット4:両建ての両損
投資の世界には、昔から「両建ての両損」と言われる格言があります。
例えば、相場の動きを読み間違えて、安値で「売り」ポジションを建ててしまい、その失敗をカバーするために、慌てて両建てで買いポジションを建てたら、高値で掴んでしまった。
投資家なら、一度は経験のある失敗でしょう。
逆のパターンもしかりですが、このように、両方のポジションで損が膨らみ、大きな損切りを強いられるような状況を、「両建ての両損」と言います。
この原因は、そもそも最初のエントリーの時点で誤った判断をしてしまっているので、一度冷静になり、損切りでミスをリセットするのが非常に重要です。
デメリット5:価格の大幅な動きに対応できない
一般的な取引と異なり、両建てでは「買い」と「売り」を同時に行います。
初心者からすると、一見リスクがないように見えますが、実は価格の大幅な変動が予想されるような場面では、この手法が、まったくの逆効果になってしまう可能性があります。
・経済指標、金融政策の発表直後
・政治情勢の変化
・大臣や中央銀行総裁等要人の発言
これらの変動要因には、一方のポジションを大きく動かしてしまう力がありますので、注意が必要です。
まとめ:両建てを使いこなせれば負けにくくなる!ただし…
本記事では、負けないための両建て手法として以下のポイントを中心に解説しました。
- 両建ての概要について
- 負けないための両建て手法3選
- 両建てのデメリットについて
両建てによって負けにくくなることは事実ですが、勝ちにくくなることもまた事実です。
含み損の固定は、時間稼ぎにはなるものの、根本的な解決方法ではありません。
そのため使いどころは見極め、また将来的にどう解決していくのか出口戦略まで見据えておきたいところです。
以上、参考にしていただければ幸いです。