ポジションをずっと保有する戦略はアリ?損切りしなければFXは負けない?

ポジションをずっと保有する戦略はアリ?損切りしなければFXは負けない?

毎日小刻みに変動する為替チャートを見て、次のように考えたことはないでしょうか。

ポジションをずっと保有していたらどうなるんだろう?

FXは損切りしない限り負けないのでは?

あくまでも可能性としての話になりますが、ポジションを損切しない限りFXでは勝ち筋が残されています

果たして「ポジションをずっと保有する戦略」は有効なのでしょうか、本記事ではこの件に関して深堀していきたいと思います。

ポジションをずっと保有するとどうなる?

ある地点からポジションを保有したとして、一定時間後に含み益となるか、もしくは含み損になるか、チャートのランダムウォーク性から見て、それぞれ5割の確率になると考えられます。

しかし、ここで「一定時間後」という時間的制約を排除した場合どうなるでしょうか。

おそらく歴史的な最高値・最安値のタイミングでない限りは、いつかどこかのタイミングで含み益を抱えるはずです。

つまり待つことさえできれば、FXは限りなく勝ちやすくなると考えられますが、それこそが最も難しい部分ともいえるでしょう。

ずっと保有できれば勝てる可能性は高い…しかし、それを実行できない理由としては以下のものが挙げられます。

ポジションをずっと保有する戦略が難しい理由

理由1:含み損の恐怖

雪だるま式に増えていく含み損の恐怖は、想像に絶しがたいものがあります。

例えば以下のチャートでは明確な上昇トレンドが発生しており、ロングのエントリーに絞れば、どんなタイミングでも利益を取れた状況です。

そこで勢いよくエントリーしたものの、予期せぬ下落に巻き込まれた場合、投資家の心理状態はどのようなものになるでしょうか。

おそらく多くの投資家は「トレンドが転換したから損切りしなければ」もしくは「一時的な下落に過ぎないはず」と、どちらかの思考パターンに行き着くはずです。

これらの思考パターンについて、いずれも迅速に対応する、あるいは意志を貫けるようであれば問題ありません。

もっとも避けるべき行動は、後者の思考パターンから前者の思考パターンに切り替えて、最悪のタイミングで損切りを行うことです。

頭では分かっていても実際に体験してみると、損失が膨らむ恐怖に飲まれ、多くの投資家が押し目の底で損切りしてしまうでしょう。

理由2:含み益を待てない

「+1000円で利確」「-1000円で損切り」というルールを設けたとして、多くの人がそのルールを遵守することはできないでしょう。

+800円の時点では既に利確したくてたまらなくなり、-800円の時点ではまだまだ可能性がある…と静観しようとするはずです。

このように人は誰しも「利益の取り損ねには弱く、損失の確定は先延ばしにする特性」を持っており、一般的には「プロスペクト理論」と呼ばれています。

そのため「ポジションをずっと保有する戦略」に優位性を見出せても、それを実際にやり遂げられる投資家は少なく、ゆえにあまり推奨されない手法なのです。

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ポジションをずっと保有するメリットについて

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メリット1:時間を武器にできる

「ポジションをずっと保有する戦略」は、個人投資家だけに許された武器であると考えられます。

というのも、資金が許される限りは、いずれの通貨ペアにおいても決済の期限が定められておりません。

しかしヘッジファンドや機関投資家など、大口と呼ばれる投資家の面々はそうではなく、ポジションを保有する期間に制限が定められています。

なぜなら顧客から資金を調達する以上、一定期間ごとに利益を出していく必要があり、トレードの回数やタイミングも必然的に制限されることになるからです。

大口の武器が圧倒的な資金量であるとすれば、個人投資家の武器は圧倒的な時間制限にあるということを覚えておきましょう。

メリット2:スプレッドコストの縮小

FXでは「スプレッド」によって取引毎にコストがかかります。

つまり取引回数が多くなるほど不利になり、「取引回数を減らすことで利益を多く残しやすくなる」ということを覚えておかねばなりません。

一方でポジションをずっと保有するという戦略では、よほど調子良く利確できない限りは頻繁にトレードする必要はありません。

年間通して大きく取引コストを縮小できるため、「ポジションをずっと保有する」専用の口座を用意しておきたいところです。

メリット3:シンプルに勝ちやすい

こちらの記事でも紹介している通り、

ポジションをプラ転するまでずっと保有する

レンジ相場を狙ったナンピン

これらの戦略の組み合わせは、単純ながら大きな成果を上げています。

含み損に耐え切れる資金力・メンタルさえ整えば、自動売買等を用いて誰でも実現できる手法になりますので、安易に損切りするのではなく、将来に勝ち目を残せる運用を心がけたいところです。

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ポジションをずっと保有すべきでない状況とは

ポジションをずっと保有する戦略は、特定の条件下においては避けねばなりません。

思考停止でポジションを握りしめるのではなく、以下のポイントに注意しておきましょう。

長期的なトレンドを持つ通貨ペア

ポジションをずっと保有して将来的に勝てる可能性が見込めるのは、長期的なレンジ相場を形成している通貨ペアに限られます。

特に先進国に限って言えば、各国の中央銀行は需給のバランスを調整する動きを見せるため、一方的なトレンド(偏り)になることは滅多にありません。

しかしトルコリラ円のような、超長期的な下落トレンドを持つ通貨ペアにおいては、ずっと保有したところでポジションが救われる可能性は低いと考えられます。

今後どうなるかは誰にも予想はつきませんが、これまでに出来上がったトレンドから分かる通り、落ちるナイフを握り続けたところで傷口を広げるだけになるでしょう。

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マイナススワップが大きい

ポジションをずっと保有する際にネックになるのが「マイナススワップ」の存在です。

例えば米ドル円1ロットのショートポジションを保有する場合、1日あたり150円近くのマイナススワップを徴収されることになります。(2022/11月現在)

1ヶ月あたりで言えば約5000円、pipsに換算すると50pipsになりますので、ポジションの保有期間が長引くほど不利になるのは明らかです。

日々マイナススワップで口座が削られ続けるというのは、長期戦略において大きなストレスになりますので、基本的にはプラススワップに限ったポジションをおすすめします。

まとめ:ポジションをずっと保有する戦略は有効!ただし…

本記事では、FXにおける「ポジションをずっと保有する戦略」について、以下のポイントを中心に解説しました。

  • ポジションをずっと保有するとどうなる?
  • ポジションをずっと保有する戦略が難しい理由
  • ポジションをずっと保有するメリットについて
  • ポジションをずっと保有すべきでない状況とは

ポジションをずっと保有する戦略は、必ずしも効果的であると断定できませんが、時間という武器を使える以上、短期売買よりも勝ちやすくなります。

とはいえ時には大きく含み損を抱えるタイミングもあり、耐え切るためのメンタルや資金など、いくつか踏まえておくべきポイントもありますので注意が必要です。