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(このまま塩漬けしておけば、いつの間にか元に戻って助かるかも知れない。)
「塩漬け」は、一般的には推奨されない戦略ですが、分かっていながらも中々損切りに踏み切れないものです。
ただFXではその性質上、必ずしも塩漬けが悪手となるわけではありません。
本記事では、FXにおける塩漬けのリスク、また塩漬けが許される条件について解説していきます。
目次
FXにおける塩漬けとは
FXにおける「塩漬け」とは、含み損になってしまったポジションを損切りできずに、長い間保有し続けてしまうことを意味します。
ここで大事なのは、塩漬けは自ら損切りするタイミングを見失った場合のみを指し、元から長期的にポジションを保有する戦略には当てはまらないということ。
つまり塩漬けは、最初から狙おうとするものではなく、仕方なく行き着いた状態です。
「少し戻ってきてから損切りしよう」「資金を減らしたくない」
これらの淡い期待に踊らされて、塩漬けを余儀なくされているようでは、生き残るのは厳しいと言えるでしょう。
投資において塩漬けが推奨されない6つの理由
理由1:メンタルの負担
塩漬けが推奨されない一番の理由は、「メンタルの負担」です。
塩漬けになっているということは、損失が出ているポジションを持ち続けることになるため、正常な精神状態を保てなくなります。
そうなるとトレード全般に悪影響を及ぼし、負ける可能性が平常時よりも高くなってしまうでしょう。
メンタル管理はFXにおいて最重要であるため、それを阻害する塩漬けポジションは、極力避けなければならないのです。
FX初心者はまずメンタルを鍛えよ!メンタル強化・トレーニング方法まとめ理由2:機会損失
塩漬けポジションによって証拠金維持率が圧迫されると、新規ポジションを保有しづらくなります。
「ポジションを保有するための証拠金 + 塩漬けによる含み損」これらの合計金額を確保する必要があるため、早めに損切りして新たなチャンスを探すほうが賢明な判断と言えるでしょう。
理由3:ストップロス狩り
塩漬けポジションは、ヘッジファンドや機関投資家から狙われやすいということを覚えておきましょう。
なぜなら、個人トレーダーのポジション状況は機関投資家に対して筒抜けであり、為替レートにどれくらい圧力をかければ限界を迎えるのか把握されているからです。
個人トレーダーの塩漬けポジションにとどめを刺して、後から安く買い戻すという常套手段に引っかからないためには、日頃から余裕を持った運用を心がけなければなりません。
ストップ狩りの原因と対策まとめ!ストップ狩りを狙う大口の心理とは?理由4:損失の拡大
塩漬けポジションを放置したままにしておくと、含み損がさらに大きくなる可能性があります。
FXのトレンドは数年単位にわたる長期的なものも存在し、時間をかけてジワジワと含み損が拡大していく様は、耐えられたものではありません。
また人は基本的に、良い方向に行くイメージしか持てず、最悪の想定ができない傾向にあります。
ポジションの塩漬けは、延命しているつもりでも実は自らの首を絞めることになる、ということに早く気づくべきでしょう。
理由5:塩漬けの癖がついてしまう
塩漬け状態から価格が元に戻る経験をしてしまうと、損失が広がっているにもかかわらず、「どうせまた元に戻るだろう」と期待して待ってしまうトレーダーもいます。
一度の失敗で学習できれば問題ありませんが、こういう思いを持ってしまう人は癖になっている人が多く、気がつけばポジションが塩漬けだらけになることも考えられるでしょう。
本当に根拠がある場合は話が変わりますが、特に何の作戦もなくただ塩漬けを抱えるというのは、まさに傷口に塩を塗る以外の何者でもありません。
塩漬けをする場合は、きちんとした根拠を持って行動するように心がけましょう。
理由6:自身の成長の妨げになる
先ほど、塩漬けは機会損失を生むとお伝えしましたが、機会損失を生むということは、トレーダーとしての成長機会も減るということです。
FXで負けている人の多くは、自分の作戦に自信が持てず、さらに負けて自信を無くす負のサイクルに陥っています。
では、どうやって自信をつけるかというと、それは圧倒的な経験に他なりません。
成長してベテラントレーダーになるためにも、想定以上の損失が発生した時には損切りを考えるようにしましょう。
塩漬けを解消する手段は?
初心者の方からすると、塩漬けに対しての手段としては、損切りしか思いつかないのではないでしょうか。
もちろん、損切りが手っ取り早く塩漬けを解消する手段ではありますが、ここでは敢えて、損切り以外の塩漬けに対する対処法をお伝えしたいと思います。
ナンピン(難平)
ナンピンによって平均取得単価を引き下げることで、塩漬けポジションの解消を早められるケースがあります。
例えば、1ドル=150.0円を1万通貨ロングした後、1ドル=140.0円まで下落した状況を考えてみましょう。
この時抱える含み損は10万円となり、塩漬けポジションを解消するためには、1,000pipsもの上昇を待たねばなりません。
しかしこの時、1ドル=140円を新たに1万通貨買い増しすることで、平均取得単価は145.0円に引き下がるため、そこから500pipsの上昇で含み損は解消されます。
とはいえナンピンは、上記のメリットがある一方で、さらに損失を広げるリスクもありますので、用いる際はトレンド転換のサインを確認するなど、相応の準備を心がけるべきでしょう。
FXのナンピンとは?意味や特徴は?FXトレードテクニックも解説両建て
両建てとは、文字通り買いポジションと売りポジションを同時に保有することを言います。
簡単に言うと、買いポジションで一万通貨塩漬けしている場合に、売りポジションでも同様に一万通貨保有するということです。
両方のポジションを保有することで、相場がどちらに動いたとしても、損益が発生することがないため、急激な損失の拡大を防止することができます。
ただし、両方のポジションを持つことによって、スプレッドが余分にかかったり、また両建て自体を禁止しているFX業者もありますので、実行する場合は事前に確認してからポジションを持つようにしましょう。
FXは両建てで助かるかも?知っておきたい両建ての危険性と活用法塩漬けは救われるのか?塩漬けしても良い条件とは?
塩漬けは一般的に推奨されるものではありませんが、FXにおいては「逆転の可能性が残されている塩漬け」であれば、一概に悪手とは言えません。
では、塩漬けから逆転する手立てとは何なのか、どういった条件に注目するべきなのでしょうか。
条件1:レンジ相場が確認できる
レンジ相場とは、為替レートが一定の値幅で行き来する状態のことであり、塩漬けポジションがレンジ相場の圏内であれば、まだ助かる見込みはあります。
レンジ相場はなるべく上位足から選び「少なくとも5年以上の長期スパンでレンジ相場を形成している」というのが意識しておくべき条件です。
豪ドルやカナダドルといった先進国通貨であれば、通貨の需要が偏りすぎないよう各国の中央銀行が調整を行うため、レンジ相場も生まれやすくなります。
レンジ相場の上端・下端付近であれば、その後チャートが反転して救われる可能性も高いため、ポジションを塩漬けして機を待つというのも一案になるでしょう。
FX初心者向けエントリー上達法!インジケーターからレンジ相場を判断せよ条件2:スワップポイント
抱えた含み損の金額以上に、スワップポイントで稼げるようであれば、塩漬けポジションにも価値が生まれます。
では、その判別をどうやってつければ良いのか、1つ例をお示ししましょう。
以下のチャートは、高金利通貨として人気のあるメキシコペソ円です。
ポジション保有時点から直近数年さかのぼって、最もpipsの高低差がある局面を探してみましょう。
メキシコペソ円の場合は2020年の2月から4月にかけて、コロナショックの影響により30%(6.00円 → 4.20円)もレートを下げています。
この時メキシコペソ円を100万通貨保有していたとすれば、抱える含み損は180万円、一方で年間に入ってくるスワップポイントは約330,000円ほど(計算は割愛)です。
スワップポイントで含み損を相殺するためには、丸6年の期間を要する見通しになりますが、ご自身の収入や口座状況から考えて、問題なく耐え切れるでしょうか。
スワップポイントで挽回できるまでに時間が掛かりすぎる、あるいは全く身動き取れない状態になる、といった状況であれば、早々に撤退することをおすすめします。
条件3:「損出し」狙い
年間の損益が確定するまで、ポジションを塩漬けにするというのも一案です。
FXの利益は年間20万円を超えた場合、確定申告の義務が生じるため、必要書類を作成した後に納税しなければなりません。
しかし、一定の損失を敢えて年末時期に確定させることで年間収支を調整し、確定申告義務を免れるという手段があります。
年間利益20万円を超えるかどうかで手元に残る金額は大きく違ってくるため、節税目的としてであれば、塩漬けポジションでも残すメリットがあるというものです。
FXの確定申告はいくらから?お得な節税方法も合わせて解説!まとめ:条件次第では「塩漬け」も有り!
本記事では、FXにおける「塩漬け」について解説しました。
一般的には避けるべき戦略である「塩漬け」も、条件次第では救われることがあります。
不要な損切りを減らすためにも、塩漬けするべきか否か、記事中に紹介した条件と照らし合わせて検討してみてください。
以上、参考にしていただければ幸いです。