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高金利通貨の代表格であるトルコリラ。
最近はエルドアン大統領の動向によってボラティリティも激しくなっており、世間の注目も集まっています。
そんなトルコリラですが、これからもスワップによる魅力は継続していくのでしょうか?
本記事では、今後のトルコリラの見通しについて解説していきたいと思います。
目次
天国?地獄?トルコリラの現状は?
最初に結論を申し上げると、今後のトルコリラの見通しは、決して明るいものではありません。
トルコリラ投資に対して前のめりになっている方は、ぜひこのことを念頭に置かれて、以下の内容を読み進めていただければと思います。
トルコリラの魅力とは
トルコリラの魅力について、そして具体的にどれくらい儲かるのか、シミュレーション結果を提示しながら解説を進めていきます。
圧倒的なスワップポイント
トルコリラの魅力は何と言っても、ロングポジションから生まれる圧倒的なスワップポイントです。
そしてスワップポイントの源でもあるトルコの政策金利についてですが、その推移は以下グラフの通りとなっています。
10年間の平均で考えると、政策金利の平均は10~12%程度であり、長期間にわたって高金利をキープしていることが分かります。
そして、トルコリラの政策金利は14%となっており、大手のFX業者では1万通貨(1Lot)あたりで25円分のスワップポイントが付与されるようです。
つまり月換算すると750円ということになり、200Lot保有するだけで月収入15万円…生活費程度なら賄える計算です。
ただ、トルコリラの通貨価値自体も下落し続けているため、実質的にプラスになるかどうかは分かりません。
そこで、スワップポイントによる収益と為替損失どちらが大きくなるのか、簡単なシミュレーションを行ってみました。
トルコリラスワップ運用シミュレーション(10年後)
以下のグラフは、トルコリラの10年間のチャートです。
やはり、長期的に右肩下がりのチャートを形成していることが分かりますね。
このトルコリラに対して、一定間隔ごとの買い増しするナンピン戦略で運用した場合、為替損失とスワップポイントの累計は、どちらが大きくなるのでしょうか?
以下のルールをもとに、シミュレーションを行ってみました。
- 0.1円下落するごとに1000通貨ずつナンピン
- 1万通貨ごとに20円付与(10年間の平均スワップ)
- 含み益が出ても決済せずホールド
結果は、以下グラフの通りです。
- 累計スワップポイント:6634000円
- 損失合計:-5280443円
- 必要資金:5618063円
- 最終損益:1353557円
ごらんの通り、10年間運用した結果、スワップポイントは順調に伸びていくものの、含み損が大きくなるため、トータルの収益はそこまで伸びていないことが分かります。
また、含み損が雪だるま式に大きくなるため、それに耐えきるための資金も多大になり、メンタル的にもかなり負担がかかってくるでしょう。
極めつけは、今回のシミュレーションではスワップポイントを一定値として計算したものの、現実では常に変動しています。
そのため安定性も十分とは言えず、費やした時間のわりにあまり稼げていないことから、決して推奨できる運用であるとは言えません。
トルコリラのリスク
トルコリラのスワップポイント投資について、今一度考えていただくために、内包する3つのリスクについて紹介していきたいと思います。
おそらく皆さんの想像通りだと思いますが、表面的な話だけでなく、少しピンポイントな話も織り交ぜていきますので、今後の参考にしてみてください。
為替変動のリスク
まっさきに取り上げるべきは、やはり為替変動のリスクです。
先ほどのチャート、またシミュレーション結果から分かる通り、トルコリラ円は常に右肩下がりで下落し続けています。
そのため含み損は膨らみ続け、それに耐えきるための資金がなければ、あっという間に強制ロスカットされてしまうでしょう。
積み上げたスワップポイントも、一度のミスで全てを失う可能性もありますので、レバレッジを過度に効かせたトルコリラ投資は、リスク的であるとしか言いようがありません。
カントリーリスク
カントリーリスク とは、その国と隣国の位置関係から生じる、政治・経済・社会環境の変化や影響を意味します。
トルコとその隣国を見てみると、関係が悪化が懸念されるシリアとイラクが位置しており、テロ組織やイスラム教徒の活動など、やはりリスクが大きいものと思われます。
高金利通貨はトルコリラの他にも、南アフリカやメキシコペソなどが挙げられますが、カントリーリスクという面ではトルコが頭一つ抜けて不利だと言えるでしょう。
経済赤字のリスク
新型コロナウィルス蔓延の懸念から、トルコは他の先進国同様、週末の外出禁止令が発令されていました。
これによって経済成長に歯止めがかかり、インフレ率の高いトルコにおいては、国民はただ家の中で大人しくしているだけでも、資産が目減りしてしまうのです。
そうなると当然、トルコ国民は資産を守るために、トルコリラを他国の通貨や金融商品に替える動きが高まるので、トルコリラ売りが進みます。
その結果として、為替市場においてもトルコリラ売りのトレンドが強まり、チャートは右肩下がりの一途を辿ってしまうのです。
トルコリラの今後の見通しは天国ではない
本記事の最初にお伝えしたように、トルコリラの見通しは明るいものではありません。
正直に言えば、地獄の一歩手前と言ってもいいでしょう。
本節では、なぜトルコリラが不安要素を抱えているのか、その理由について解説していきます。
金利平価説
トルコリラのような高金利通貨は、為替市場において価値が下がり続ける傾向にあります。
なぜなら為替レートは、自国通貨と外国通貨の金利差によって決定されるという考えがあり、これを金利平価説と言います。
より分かりやすく言えば、トルコリラを保有してスワップポイントで儲けたとしても、その儲けは為替レートの下落によって相殺されてしまうのです。
アルゼンチンペソ然り、ジンバブエドル然り、異常なまでに高金利な通貨は、かえって通貨としての信用を失い、価値も下がり続けます。
よって、トルコに革新的な変化がない限りは、今後もチャートは右肩下がりを形成していくでしょう。
トルコリラ為替変動の補填措置
まずはこちらのチャートをご覧ください。
トルコリラ円が6円代後半と、連日最安値を更新する中、大きな上昇が確認できますね。
この上昇の理由になった、エルドアン大統領の金融政策(為替変動補填)は、トルコ国民だけでなく、世界中を驚嘆させるものでした。
為替変動補填とは
- トルコ国民が持つトルコリラ資産に対して、為替変動によって目減りした分をトルコ政府が補填するというもの
元々、トルコの国民は、資産の半分を外貨もしくは金(ゴールド)で持つようにしています。
その理由はやはり、トルコリラで持つリスクが高すぎるためであり、そのリスクをなくすために政府が補填措置を打ち立てたのです。
この政策によって一時的にトルコリラの信用が回復し、為替レート上昇の要因になったものの、そう長続きせず失敗に終わることが予想されます。
なぜならトルコリラの価値を補填するために、新たにトルコリラを刷ることになり、さらにインフレや貨幣価値の下落が進むことになるからです。
つまり、トルコリラの為替下落に対する根本的な解決になっておらず、実際「ブルームバーグ」や「ロイター通信」など各メディアにおいても、今後も価値が下がり続けるという見方が強いようです。
トルコリラで天国を狙うには?
トルコリラで天国を狙うために、とっておきのトレードを授けましょう!
とはいっても、為替相場では何が起こるか分かりませんので、あくまでも参考の1つとして留めていただければと思います。
さて皆さんは、トルコリラの信用格付についてご存知でしょうか?
格付機関による、トルコリラの評価は以下表のようになっています。
格付け会社 | トルコリラ | メキシコペソ | 南アフリカランド |
---|---|---|---|
ムーディーズ | B2 | Baa1 | Baa2 |
S&P | B+ | BBB | BBB+ |
フィッチ・ レーティングス | BB- | BBB- | BBB- |
上表について簡単に説明すると、トルコリラの信用格付けは「投資不適格」、一方メキシコペソや南アフリランドは「投資適格」の評価です。
つまりトルコリラは、投資すべきではないということですね。
ただ裏を返せば、投資するのではなく「売り」に向いていると考えることもできます。
加えて、以下の2点。
- エルドアン大統領がトルコリラのさらなる利下げを検討している点
- 上述した補填措置による経済破綻
これらの理由によって、トルコリラの下落が今まで以上に進むという考えが市場に浸透し始めているため、今のうちからショート目線でエントリーを狙うことを推奨します。
トルコリラ取引に重要な経済指標
トルコリラを取引する際、意識しておきたい重要な経済指標を3つ紹介します。
政策金利
トルコリラが誇る高いスワップポイントは、トルコの政策金利に起因します。
利上げによってトルコリラの価値が上がるかどうかはともかく、トレーダーから買い目線で見られやすくなることは確かです。
そのため、利上げが発表されるタイミングを狙って一時的にロングポジションを持つ、というのも1つの戦略になるでしょう。
トルコ中央銀行によって、政策金利は年間8回発表されるので、FX会社の速報やネットニュース等から情報を集めてみてはいかがでしょうか。
消費者物価指数
物価指数とは、前月または前年などある時点を基準とした、物価変動の度合いを測る経済指標を意味します。
なぜこの消費者物価指数が重要なのかといえば、トルコのインフレ度合いを把握できるためです。
また、そもそもなぜトルコは物価上昇率が大きく、インフレに悩まされているのかいうと、それほど物資が足りておらず、物の価値が上がりことに起因しています。
例えば、エネルギー資源は全て輸入に頼っており、またトルコリラの価値が下がり続けるので、エネルギーを買うコストもどんどん大きくなってしますのです。
そういった悪循環が重なり、トルコは今現在インフレと物価上昇から抜け出せない状況となってしまいました。
トルコ情勢の安定性を見るためにも、物価上昇指数には注目しておきましょう!
失業率
働き手が多い国と、働き手が少ない国、豊かな未来に進むのは間違い無く前者でしょう。
また失業率が読み取れる内容は、単に働き手の人数だけではありません。
職に就く人が多いということは、それほど雇用環境が整っているという証でもあり、社会情勢に安定をもたらします。
例を挙げれば日本の失業率は2〜3%、アメリカで4〜6%程であり、その他の主要先進国も同じぐらいの水準です。
ちなみにトルコの失業率は、12%程であり、この値が小さくなればなるほど、トルコは安定した未来に向かっていると考えられるでしょう。
トルコリラ取引におすすめのFX会社3選
トルコリラの取引を検討されているのであれば、以下のFX会社がおすすめです。
ヒロセ通商
もっともスワップポイントが受け取れるFX会社はどこかといえば、常に順位は変動しているため一概にはお答えできません。
しかし、ヒロセ通商は常に3本指に入るであろう、圧倒的な高スワップを提示しています。
専業のスワップ投資家からも選ばれるFX会社なので、トルコリラスワップを少しでも多く受け取りたい方は、ここを選ぶべきでしょう!
GMOクリック証券
通常、国内口座の多くはマイナススワップを高く提示しており、高金利通貨ともなれば中々思い切ってショートポジションを持つことができません。
しかしGMOクリック証券であれば、買いスワップと売りスワップが殆ど同じ水準となっており、比較的マイナススワップを抑えることができます。
本記事で紹介したように、トルコリラはさらに下落すると言われているので、売り注文で仕掛けるなら、こちらの口座を選ぶと良いのではないでしょうか。
IG証券
IG証券は、安定したトレードの実現に注力しているFX業者です。
スリッページも少なく、約定力は非常に強い、もちろんスワップポイントも国内最高水準です。
トルコリラは元々、流動性の低さからスプレッドが安定しない傾向にありますが、IG証券であればトレードのコストをかなり抑えることができるでしょう!
まとめ: トルコリラの見通しは天国ではない!
本記事では、トルコリラの今後の見通しについて、以下のポイントを中心に解説しました。
- トルコリラの現状について
- スワップポイントの魅力と運用シミュレーション
- トルコリラのリスクについて
- 見通しが天国ではない理由
- うまく取引するためのポイント
- トルコリラ取引に重要な経済指標
トルコリラの見通しは少なくとも天国とは言えず、どちらかといえば地獄寄りです。
不安材料も多く、リスクの大きい通貨の代表格でもあるため、売り圧力が大きくなっていくでしょう。
ただ付与されるスワップポイントは、選べる通貨ペアの中では群を抜いており、長期的に保有することでプラス収支も見込めます。
今後もエルドアン大統領の動向に注意しつつ、ファンダメンタルズ分析を徹底できれば、勝てるチャンスも度々拾えるでしょう!
以上、参考にしていただければ幸いです。