ポンド円 3日連続陰線の後、11月3日は4日ぶり陽線で反騰

ポンド円 3日連続陰線の後、11月3日は4日ぶり陽線で反騰

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月4日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月2日終値は155.137円、前日比0.619円安と続落した。取引レンジは155.888円から154.665円。11月3日終値は156.049円、前日比0.912円高と反騰した。取引レンジは156.069円から154.968円。

7月20日と9月21日の両安値をダブル底とした上昇が10月20日高値158.219円でピークとなり、その後は調整安に入り、10月29日から11月2日にかけては日足3日連続陰線=三羽烏で下落した。

11月2日夕刻安値で154.665円まで安値を切り下げた後は下げ渋っていたが、3日夜からポンドドルが反騰入り、4日未明の米FOMC後にポンドドルが高値を切り上げ、ドル円も乱高下しつつも2日夜安値からの上昇基調を継続したため、ポンド円は4日早朝に156円に到達、4日午前も高値を切り上げている。

注目材料 米FOMCはテーパリング開始だが利上げは急がず

11月4日未明に米連銀のFOMC(連邦公開市場委員会)による金融政策発表があった。FOMCはパンデミック対策として導入した米国債等の資産購入による量的金融緩和政策を11月中に縮小開始とし、来年6月までに終了するとした。市場の予想通りだったが、パウエル米連銀議長は会見でインフレ進行への懸念も多少は滲ませたものの量的緩和が終了してもすぐには利上げしない、現状は利上げを議論する状況にないことを強調した。

FOMC結果発表からドルストレートではドル安反応となってポンドドルが上昇、一方でクロス円全般の上昇と株高債券安による米長期債利回り上昇を見てドル円も若干の乱高下を入れながらも上昇基調を維持した。このためポンド円はポンド高と円安の両面から押し上げられた。

注目イベント 11月4日夜の英中銀MPCで利上げはあるのか?

11月4日夜には英中銀の金融政策委員会(MPC)の政策発表がある。

市場予想では政策金利を0.10%で据え置き、量的緩和による資産購入規模も8950億ポンドで据え置くと見込まれている。英国の物価上昇が続く中で今回の会合では利上げに踏み切り12月会合でも2回連続での利上げが決まるのではないかとの見方が強まっていたが、今週に入ってから利上げは見送られるとの見方が優勢となっているようだ。

利上げについては前回会合で9名が現状維持だったが、今回の会合では6名が据え置きで3名が利上げ支持に回るのではないかとの予想も出ている。

世界的な景気回復による消費拡大に対して生産物流が追い付かないことでの需給ギャップが資源エネルギー価格高騰を招いており、英国の消費者物価上昇率も9月には全体の前年比が3.1%、コア指数で2.9%と高く、小売物価指数では4.9%、生産者物価指数では11.4%と高い水準にあるため、英中銀も金融緩和姿勢から利上げ準備へと姿勢を変える時期に来ていると思われるが、利上げによる景気回復への圧迫を警戒する動きもあって躊躇がみられるところだ。

市場予想通りに利上げを見送って現状維持ならポンド売り要因となりやすいとみるが、12月会合での利上げ可能性を強調するようならポンド高反応を招く可能性もあると思われる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

10月29日夜高値で戻りが一巡して11月2日夕安値へと一段安したが、その後を下げ渋って3日夜からの上昇で156円台到達へ戻しているので、現状は11月2日夕安値を起点とした上昇期にあると思われる。10月29日夜高値を基準として高値形成期は3日夜から5日夜にかけての間と想定されるので既にピークを付けやすい時間帯にあるため、155円台後半まででしっかりするうちは4日夜、5日への上昇余地ありと考えるが、155.30円を割り込むところからは下落期入りとみて5日夕から9日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4日未明の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は先行スパンから転落するところからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2日の下落時に20ポイント台へ低下したところから切り返して70ポイントに到達しており、既に高値警戒圏に来ている。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、小反落してから高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がるようだと下げ再開警戒とし、50ポイント割れからは下げに入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。

11月4日の売買戦略

10月20日と21日の158円超えによるダブルトップを起点として「戻り高値を切り下げては一段安する右肩下がりの展開」が続いているので、この右肩下がりの抵抗線が来る156円台中盤(156.30円から156.70円)では戻り売りにつかまりやすいとみる。英中銀MPCで強気サプライズとなる場合は右肩下がりの流れから脱却して157円超を目指す可能性もあるが、弱気反応の場合は戻り一巡からの下落再開とみて155円割れを目指す流れと考える。英中銀政策発表からの流れに臨機応変について行くスタンスで構えたい。

11月4日の主な予定

  • ドイツ
  • 16:00 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 -7.7%、予想 2.0%)
  • 16:00 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 11.7%、予想 11.3%)
  • 17:55 10月 サービス業PMI改定値 (速報 52.4、予想 52.4)
  • ユーロ圏
  • 18:00 10月 サービス業PMI改定値 (速報 54.7、予想)54.7)
  • 19:00 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 1.1%、予想 2.2%)
  • 19:00 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 13.4%、予想 15.2%)
  • 21:45 ラガルドECB総裁とシュナーベルECB専務理事、講演
  • 英国
  • 21:00 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
  • 21:00 英中銀 債券購入 (現行 8950億ポンド うち国債8750億ポンド、社債200億ポンド)
  • 25:50 カンリフ英中銀副総裁、講演
  • 米国
  • 21:30 9月 貿易収支 (8月 -733億ドル、予想 -729億ドル)
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 28.1万件、予想 27.5万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 224.3万人、予想 211.8万人)
  • 21:30 7-9月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (4-6月 2.1%、予想 -3.0%)
  • 21:30 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4-6月 1.3%、予想 7.0%)