豪ドル円 三角持ち合い下放れから一段安

豪ドル円 三角持ち合い下放れから一段安

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月5日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月4日終値は84.172円、前日比0.761円安と大幅下落した。取引レンジは85.203円から83.892円。

10月21日高値86.248円で昨年3月底以降の最高値を更新した後は調整安につかまり11月1日かけては新たな高値更新へ進めずにいたものの三角持ち合い型で安値を日々切り上げてきていた。しかし11月2日の豪中銀による利上げを急がない姿勢の強調で三角持ち合いを下放れとなり2日深夜には84.499円まで下落した。

11月4日未明の米FOMCを通過した後の買い戻しで豪ドル米ドルが反発してドル円も戻したために11月4日午前にはこの日の高値となる85.203円まで持ち直していた。しかし午後に入ると豪ドル米ドルが戻り一巡から失速、夕刻からはドル円も下落、夜に入ると英中銀の金融政策現状維持を嫌気したポンドの急落からユーロも大幅下落となり、豪ドル米ドルが一段安に陥ったことで豪ドル円も深夜に84円をいったん割り込むところまで一段安した。

注目材料 9月の豪小売は低調、輸出入も鈍化

オーストラリア統計局が11月4日午前に発表した7-9月期小売売上高は前期比4.4%減の853億豪ドルだった。ロックダウンの長期化の影響が顕著だったが、9月単月での小売売上高確報値は前月比1.3%増となり、速報値と変わらずだったが4か月振りのプラスだった。感染拡大によるロックダウンの影響で7-9月期の豪経済成長はマイナスへと落ち込んだと思われるが、ロックダウン解除とウィズコロナ政策による経済活動再開により10-12月期は持ち直すとみられる。

11月4日午前に発表された9月の豪貿易収支は122億4300万豪ドルの黒字で8月の黒字147憶3900万豪ドルから減少したが概ね予想通りだった。輸出は前月比6%減、輸入も2%減となり輸出入ともに減少したが、輸出のうち鉄鉱石等金属鉱石・鉱物が16%減、石炭が6%増、金が41%減、食肉は5%増、穀物は7%減だった。
世界的な景気回復と資源エネルギー不足を背景としてオーストラリアの貿易黒字は今年3月の67.93億豪ドルから5か月連続の拡大で8月に147.39億豪ドルに達して過去最大となったが、9月は中国の景気減速の影響も出たようだ。

テクニカルポイント 8月からの三段上げ途中での大きな調整安局面

豪ドル円は8月20日安値77.896円を起点として上昇してきた。9月3日高値82.023円までを一段目、9月22日安値78.837円まで調整安を入れてから二段目の上昇に入り10月21日高値86.248円へ上昇した。5月10日高値を超えたことで昨年3月のコロナショック暴落底からの中長期的な上昇基調を継続している中での新たな上昇期であることを踏まえれば、8月20日安値を起点とした上昇が三段上げ型へと発展する可能性があると思われ、現状は二段目の上昇一服での調整期という見方ができるのではないかと思われる。

上昇相場の中での調整安は、9月22日への下落時のような単純な深押しのケースや、中段での持ち合い形成、ないしは二段下げ型の調整が典型とされるが、今回は11月4日への一段安により10月21日高値からの下落が二段目に入ってきているため、二段下げ型の調整期という印象だ。

9月22日安値から10月21日高値までの上昇幅は7.409円であり、3分の1押しの83.77円には11月4日深夜安値で迫ったところだが、さらに安値を切り下げれば2分の1押しの82.54円前後まで下値目途が切り下がる可能性が懸念される。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は11月2日深夜安値84.499円と11月4日未明安値84.500円をダブル底として買い戻されていたが、11月4日夜にダブル底ラインを割り込んで一段安に入っている。このため現状は11月4日午前高値を起点とした下落期にあり、安値形成期は5日夜から9日深夜にかけての間と想定されるので5日夜、さらに週明けへの続落が警戒される。11月5日夜には米雇用統計の発表もあるのでサプライズ的な反騰に入る場合は直前安値を底とした上昇期入りとみて9日午前から11日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月4日夜の一段安で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換は先行スパンを上抜くところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先に切り替える。

60分足の相対力指数は4日夜の下落時に20ポイント台へ低下したが、2日深夜への下落時からは指数のボトムが切り上がっている。しかし50ポイントに届かないため、まだ一段安を繰り返す可能性があるとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する上昇が必要と思われる。

11月5日の売買戦略

10月21日高値からの調整安が深まっている状況とみて当面は戻り売り有利の情勢が続きやすいと考える。

84.50円から84.70円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。4日深夜安値83.892円割れからは83.50円、次いで83.00円を段階的に試す流れとみる。84.50円以下での推移なら週明けも安値トライへ進みやすいとみる。

米雇用統計からサプライズ的に反騰する場合は4日午前高値85.203円へ迫る可能性もあると注意するが85円前後は反落警戒圏と考える。

11月5日の主な予定

  • ドイツ
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -4.0%、予想 1.0%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 1.7%、予想 1.3%)
  • ユーロ圏
  • 19:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
  • 19:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 1.5%)
  • 英国
  • 21:15 ラムスデン英中銀副総裁、ピル英中銀理事、講演
  • 22:00 テンレイロ英中銀委員、講演
  • 米国
  • 21:30 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 19.4万人、予想 45.0万人)
  • 21:30 10月 失業率 (9月 4.8%、予想 4.7%)
  • 21:30 10月 平均時給 前月比 (9月 0.6%、予想 0.4%)
  • 21:30 10月 平均時給 前年同月比 (9月 4.6%、予想 4.9%)
  • 28:00 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 143.8億ドル、予想 159.0億ドル)