ポンド円 英中銀の政策金利現状維持から153円台序盤へ急落

ポンド円 英中銀の政策金利現状維持から153円台序盤へ急落

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月5日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月4日終値は153.553円、前日比2.496円安と大幅下落した。取引レンジは156.244円から153.121円。

10月2日高値で158.219円を付けて昨年3月底以降の最高値を更新してから調整安に入っていたが、11月3日は155円割れから切り返して前日比0.912円高の反発となっていた。しかし4日夜は英中銀が政策金利や量的緩和規模を現状維持としたことで失望売りが殺到してポンドドルが急落、ポンド円も当日高値から安値まで3円を超える規模の日足大陰線で一段安となった。

英中銀、政策金利と量的緩和規模を現状維持

英イングランド銀行=英中銀は11月4日のMPC(金融政策委員会)で政策金利を過去最低の0.1%で据え置き、パンデミック対策で導入した量的金融緩和政策としての資産購入についても規模を現状維持とした。インフレ進行については懸念を示して「数か月以内には利上げの必要がある」と声明文の明記した。ベイリー英中銀総裁は早ければ次回の12月会合で利上げする可能性があると述べたが、10月時点での総裁らの発言により11月会合での利上げと12月会合での連続利上げの可能性が高まったと市場は受け止めていたところ、最近のトーンダウンにより直前の市場予想では利上げ見送りの予想となっていた。このため、今回の利上げ見送り決定は予想通りではあるものの利上げへ向けた前倒し姿勢が後退したものとして発表からポンドドル及びポンド円は急落した。

MPC委員9名のうち、政策金利の現状維持にはベイリー総裁ら7名が支持、ラムズデン副総裁とソーンダース委員が0.25%への利上げを主張した。量的緩和による国債等の買い入れについては現行の8950億ポンドに対してラムズデン副総裁とソーンダース委員及びマン委員が200億ポンドの減額を主張した。

9月時点の英国消費者物価指数の上昇率は前年同月比で3.1%であり中銀の政策目標である2%を上回っているが、英中銀は来年4月時点の物価上昇率を5%と想定して利上げの根拠がある状況としたが、「労働市場の先行きに不安定さが残るために現時点での利上げは時期尚早」とした。英中銀による政策金利見通しとしては、2021年の10-12月期で0.2%(8月予想時点の0.1%から上方修正)、2023年同期で1.1%(8月時点の0.5%から上方修正)とした。

注目情勢 主要中銀は引き締めへの姿勢変化に躊躇

11月2日の豪中銀理事会は政策金利を現状維持とし、9月から開始している量的緩和の規模縮小を来年2月まで継続するとし、長期金利上昇を抑えるためのYCC(イールドカーブコントロール)をやめたが利上げ判断にはまだ時期尚早としたことで発表後に豪ドルは下落、FOMC後に若干戻したものの4日夜はポンド安と同調して一段安となった。

ECBは10月28日の理事会で金融政策を現状維持としたがラカルド総裁は11月3日の講演で利上げ判断する状況にはないと述べて利上げを急がない姿勢を強調した。

日銀は長期デフレ不況の継続下にあって量的緩和の継続、ETF等の資産購入、YCCによる長期金利上昇の抑制姿勢を継続した。

米連銀は11月4日未明のFOMCで市場予想通りに11月からのテーパリング(量的緩和規模縮小開始)を決定したが、利上げを急がない姿勢を繰り返し強調した。
主要中銀は物価上昇とパンデミックによる不況からの回復基調を踏まえて大規模な量的緩和を縮小させていずれば利上げによりインフレ進行を抑える姿勢へと変わってゆくものと思われるが、利上げ再開による景気回復の腰折れ不安に対してはかなり慎重な姿勢がみられる。

主要国の引き締め姿勢への動きを見て欧米豪英の長期債利回りは上昇してきたがひとまずピークアウトしており、英10年債利回りも10月21日に1.22%を付けたところをピークとして11月4日には0.92%へ低下している。米10年債利回りや豪10年債利回り等も同様に低下しているが、長期債利回りの上昇加速からピークアウトへと流れが変わったことはユーロやポンド、豪ドルへの売り圧力となるとともにクロス円には円高圧力となるため、ポンド円としてはポンドドルの下落とドル円の下落が重なりやすい状況に入っている印象だ。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

10月29日夜高値からの下落が11月2日夕安値で一服となり戻しに入っていたが、11月4日夜の急落により2日夕安値を割り込む一段安となったため、現状は11月4日午前高値を起点とした下落期に入っている。安値形成期は11月2日夕安値を基準として11月5日夕から9日夜にかけての間と想定されるので、急落の反動でやや戻しても155円を超えるような反騰へ進めないうちは5日夜、週明けへの一段安が警戒される状況と考える。

60分足の一目均衡表では4日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は4日夜の急落で20ポイントを割り込んだ。その後はやや戻しているものの強気転換には50ポイントを超える必要がある。相場が下げ渋りから一段安に入る際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とする。

11月2日の売買戦略

10月20日と10月21日の158円超えによるダブルトップを起点とした下落基調の継続中であり、戻り高値を切り下げては一段安する右肩下がりの展開における下落時に勢いが増してきた印象だ。11月5日夜は米雇用統計の発表があるのでサプライズ的な動きで反騰する可能性にも注意がいるが、下落基調で通過なら当面は暫く調整安が継続するとみて戻り売り有利の情勢と考える。

154円台序盤は戻り売りされやすいところとし、安値更新からは152.0円、さらに151円台後半を試す流れとみる。154円以下での推移なら週明けも安値トライが続きやすいと考える。

11月5日の主な予定

  • ドイツ
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -4.0%、予想 1.0%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 1.7%、予想 1.3%)
  • ユーロ圏
  • 19:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
  • 19:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 1.5%)
  • 英国
  • 21:15 ラムスデン英中銀副総裁、ピル英中銀理事、講演
  • 22:00 テンレイロ英中銀委員、講演
  • 米国
  • 21:30 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 19.4万人、予想 45.0万人)
  • 21:30 10月 失業率 (9月 4.8%、予想 4.7%)
  • 21:30 10月 平均時給 前月比 (9月 0.6%、予想 0.4%)
  • 21:30 10月 平均時給 前年同月比 (9月 4.6%、予想 4.9%)
  • 28:00 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 143.8億ドル、予想 159.0億ドル)
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