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FXトレーダーにとって、市場のボラティリティを正確に把握することは不可欠です。
その中でも、ATR(平均真の範囲)インジケーターは、価格の変動幅を計測するための強力なツールとして知られています。
そこで本記事では、ATRの見方や使い方、またおすすめ手法について詳しく解説します。
市場の波に乗り遅れず、効果的なトレードを行うためのヒントを掴んでいきましょう!
目次
インジケーター「ATR」とは?
「ATR」はテクニカル分析を好む海外のトレーダーには一般的なインジケーターですが、日本ではあまり知られていない印象があります。
インジケーター「ATR」を簡単に説明すると、以下の通りです。
ATR:Average True Range(アベレージ・トゥルー・レンジ)の略称
↳ボラティリティーからFXの相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を示しているテクニカル指標
またATRと関わりの深い「ボラティリティ」については、こちらの記事で解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
実際に、ATRを実際のチャート画面から確認してみましょう。
ATRの見方としては、以下の3点です。
ATRの上昇:ボラティリティの拡大
ATRの安定:トレンド継続
ATRの減少:ボラティリティの縮小
また、ATRの注意点としては「値動きの平均」が分かるだけで、売買のタイミングを掴むことはできません。
そのため、他のインジケーターを併用して、売買のタイミングを見極める必要があります。
ATRのおすすめ期間設定
ATRの考案者は、おすすめの期間設定として14日を推奨しています。
ただ、MT4やTradingview等、有名どころのチャートツールはデフォルトで「期間:14日」が設定されているため、わざわざ変更する必要はありません。
インジケーターは、大衆と目線が揃うように設定することが重要になりますので、設定はデフォルトのままでOKです。
インジケーターATRの計算式
ATRを理解する上で欠かせないポイントとして、「真の変動幅」といった考え方が存在します。
そもそも「変動幅」とは何なのかを説明すると、一般的にはローソク足の最高値から最安値の幅のことです。
「真の変動幅」とは、チャート上でローソク足と1本前のローソク足の間に隙間が開いている状態、いわゆる「窓」が開いた時に、「窓」を加味した幅のことを指します。
真の年単位とは、ローソク足とローソク足の隙間も含めての「幅」、これだけです。
「真の変動幅」の考え方が分かったら、次に以下の3つの値幅を比較して、最大の値幅のものをTrue Range(真の変動幅)とします。
- 当日高値と当日安値の差
- 当日高値と前日終値の差
- 当日安値と前日終値の差
分かりやすいように以下の例から、ATRを実際に計算してみましょう。
前日の値動き:
始値:200円、高値:400円、安値:200円、終値:200円
当日の値動き:
始値:800円、高値:900円、安値:800円、終値:900円
当日の変動幅は、安値の800円から高値の900円までなので、100円となります。
「真の変動幅」を求める場合は、お伝えした通り、前日(1本前のローソク足)の窓を加味した変動幅を求めます。
つまり、前日終値200円から当日の高値の900円の幅の700円が「真の変動幅」です。
この「真の変動幅」がTrue Rangeとなり、True Rangeの「n日間のEMA(指数平滑移動平均線))」がATRになります。
文章だけで説明すると難しく感じられるかもしれませんが、ATRを使いこなすにあたって、計算の仕組みまで把握しておく必要はありません。
FXのローソク足の見方とは?分析のコツや注意点を解説ATRを用いた基本的なトレード手法
ATRの概要について、何となく理解いただけましたでしょうか?
ただ、インジケーターとしてのATRの役割や計算式について理解しておくことは重要ですが、それをトレードに落とし込めなければ意味がありません。
そこで、ここからはATRを用いたトレード手法について紹介していきます。
インジケーター「ATR」の考え方
上でも少し紹介しましたが、ATRの特性を掴むために、次の考え方を理解しておきましょう。
- ATRが上昇 → ボラティリティーが高くなっている → トレンドの発生の可能性を示唆
- ATRが下降 → ボラティリティーが低くなっている → トレンドの終了 or 転換の可能性を示唆
ただしこの考え方は、ATR単体で使用しても、大きな意味は持ちません。
他のインジケーターと併用することが一般的で、トレンドフォローのエントリーをする際、ATRが高くなっていることを確認すると、よりエントリーの精度が高まるでしょう。
インジケーター「ATR」を用いる際の注意点
ATRを用いる際の注意点としては、ATRは値動きからトレンドの発生や終了、レンジへの転換などを示唆しますが、価格の上げ下げの方向性は示していない点です。
つまり、ATRが高くなってきてトレンドフォローしたつもりが、一気に逆行してしまう可能性もあるということになります。
分かりやすい例で言えば、ロングでトレンドフォローを狙ったとして、そこから一気に下落してもATRは上昇し続けます。
そのため、ATRがあまりにも急激に上昇している時は、方向感の掴めないショック相場に突入する危険性も考えなければいけません。
ATRは、どの程度相場が動くかを感知してリスク管理に役立ていくと、より有用なインジケーターとして活用できるでしょう。
FXのトレンドとは?相場から利益を狙うために必要な知識を解説!ATRと組み合わせたいおすすめインジケーターは?
ATRは「値動きの平均」を掴むためのインジケーターであるため、単一では売買のタイミングを掴むことはできません。
そこで本節では、ATRと組み合わせるべきおすすめのインジケーターについて紹介していきます。
移動平均線
ATRはオシレーター系のインジケーターであるため、組み合わせるべきはトレンド系のインジケーターです。
そしてトレンド系の代表的なインジケーターといえば「移動平均線」であり、ATRとの相性も抜群です。
注目すべきは、短期移動平均線が中・長期的移動平均線を上抜けるゴールデンクロスのタイミングです。
この時、同時にATRも上向きであれば、上昇トレンド方面にボラティリティが拡大し、大きくpipsを稼げる可能性が高まります。
ゴールデンクロスは上昇トレンドの起点を示唆しますが、ATRを組み合わせることで、上昇トレンドの跳ね具合もある程度推測できるようになるでしょう。
エンベロープ
ローソク足を上/中/下の3本の移動平均線で包み込むのがエンベロープです。
エンベロープの特徴としては、上線あるいは下線にタッチしたローソク足は、中線側に押し戻されることを示唆し、ある種ボリンジャーバンドに近しい存在です。
注目すべきは、ATRの低迷が長く継続し、ローソク足がエンベロープを逸脱したタイミングです。
ATRが長期間低迷→ボラティリティが低い→損切も決済も生じにくい→ポジションが多く溜まる
といった感じで、ポジションが多く溜まれば、その後に大きな値動きを生じさせやすくなるため、通常であれば警戒が必要です。
ただ、同タイミングでエンベロープが逸脱していれば、反転する方向に大きく伸びることが想定されるため、pipsを大きく稼ぐチャンスになります。
ATRを用いたトレード手法|応用編
ここからは、これまでお伝えしたATRの考え方を元に、実践ベースの応用方法を解説します。
ATRを応用として使用する時は「利食い」と「損切り」をエントリー時に算出した一定の幅で設定して、システム的にトレードを行うことが有効です。
ダマし回避
ダマしを回避する方法としても、ATRは有効です。
ATRは相場のその時の平均的な動きを示していますので、損切を設定する際もATRの3倍の距離をとっておけば、ダマシを回避することができる可能性が高くなります。
利食いも同様にATRの3倍の距離を取れたら十分と言えるでしょう。
また、この分析方法を一つの基準として取り入れているトレーダーは多く、一般的なエントリーポイントの価格から、ATRの約3倍の価格帯が転換点となることが度々起こります。
ただし、ATRは価格が動いている限り常に変動しているため、変動している数値を決済の目安として取り入れてしまうのは危険です。
確定している足のATRを基準にお伝えした方法を試してみてください。
ゴールデンクロス
ここでは、先ほどお伝えしたATRの応用法をもとに、実際のトレード例を紹介していきます。
まず、エントリーですが、ATRの考え方でお伝えしました通り、一般的にATR単体では、エントリー判断は行いません。
そのため、今回は移動平均線のゴールデンクロスでエントリー判断を行っています。
青い中期の移動平均線を赤い短期の移動平均線が上抜けた時にゴールデンクロスが成立してエントリーを行います。
ゴールデンクロスが確定した足のATRを確認すると0.090となっています。
これは画像のように縦線などを引いてみて、該当の時間のATRにカーソルを合わせると数値が表示されます。
そこから、利確目標と損切りの設定をします。
まずは、先程お伝えした通りATRの3倍の数値を計算します。
ATR:0.3880×3=1.164
次に、利確目標と損切りを算出しますので、エントリー価格の110.044から1.164を足した数値と引いた数値を出します。
- 利確目標:110.044+1.164=111.208
- 損切目安:110.044-1.164=108.880
これが上下のラインとなります。
今回はロングエントリーですので、利確が足した数値、損切りが引いた数値ですが、ショートのエントリーを行う時は逆に利確が引いた数値、損切りが足した数値となります。
今回のトレードでは利確に到達にして約120pipsの利益獲得です。
すぐに使える!FX初心者のための移動平均線実践講座!インジケーターATRに関するよくある質問
ここでは、インジケーターATRに関するよくある質問を紹介していきます。
初心者の方は、特に参考にしてみてください。
ATRが使えるチャートツールは?
最近は、各FX会社が提供する簡易的なチャートツールにおいても、ATRを利用することができます。
ただし、他のインジケーターを併用、複数表示させることは難しいので、MT4やTradingViewなど高機能なチャートツールの活用を推奨します。
ATRを活用するメリットは?
ATRの数値・傾き・推移に注目することで、利確や損切り、また資金管理に活かすことができます。
また、ATRを用いてボラティリティ幅を掴むことで、あらかじめ指値・逆指値を仕込んだり、自動売買の設定時の参考にすることもできるでしょう。
まとめ:インジケーターATRを使いこなそう!
今回の記事を通じて、意外と知られていないインジケーター「ATR」の理解を深めることはできたでしょうか。
- J・ウェルズ・ワイルダー氏が開発したインジケーター
- ATRは値動きを示している
- 相場の方向性は示していない
- 単一ではなく複合的に使用することが一般的
- 利益目標や損切などの決済に活用することができる
ATRはシンプルなインジケーターですが、その分汎用性が高く、奥が深いインジケーターだと思います。
一つひとつのインジケーターの役割をしっかり理解することで、最適な活用方法が理解できるようになるでしょう。
ATRを一つの根拠としてトレードに活用してみると、精度の高いトレードが可能になると考えますので、ぜひ、今回学んだことを活かしてもらえたらと思います。