インジケーターは、皆が使っているものほど効力を持ち、移動平均線はその最たる例と言えるでしょう。
そしてMT4では、移動平均線が使えるのはもちろんのことカスタマイズ性に優れ、個人の好みに合わせて自由に設定することができます!
本記事では、MT4における移動平均線について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
MT4で移動平均線を表示するには
移動平均線はインジケーターの1つであり、ツールバーにある「挿入」から表示させることができます。
「挿入」→「インジケーター」→「トレンド」→「Moving Average」というふうに進みましょう!
「Moving Average」とは移動平均線の英語表記であり、慣れていない方は表記に少し戸惑うことになるかもしれません。
ただ、よく略されて「MA」といった表記もされるので、表示方法だけでなく、表記の種類についても覚えておきたいところです。
MT4での移動平均線の期間設定
MT4の移動平均線は、「プロパティ」から様々な設定ができるようになります。
チャート上に表示した移動平均線を右クリックして、「MA プロパティ」を選択しましょう!
以下より順に、設定できる内容やポイントについて、解説していきたいと思います。
期間の設定
移動平均線は、平均値を算出するための「期間設定」が非常に重要です。
パラメーターの「期間:」より、適した数値を入力しましょう。
トレードスタイルごとにどの程度の期間設定にすべきかについては、本記事後半で解説していますので、そちらを参考にしていただければ幸いです。
種類の設定
MT4では、4種類の移動平均線を選ぶことができます。
パラメーターの「移動平均線の種別:」をクリックして、目的とする種類を選びましょう!
以下それぞれの特徴について、簡単に説明していきますが、全てを覚える必要はありません。
初心者の方であれば、市場でもっとも意識させる「MA」と「EMA」だけ覚えておけば十分です!
SMA(Simple Moving Average)
計算式:SMA=期間における価格の合計÷ 期間
単純移動平均線(SMA)は、一定期間を対象にして、その平均値をチャート上にプロットします。
もっともシンプルなタイプの移動平均線であり、一番使われているからこそ、有用であるといえます。
また重み付けを行わないため、市場の動きに後れを取ることになりますが、移動平均線の描く傾きは、トレンドの発生を見分ける明確な指標となるでしょう!
EMA(Exponential Moving Average)
計算式:EMA = 前日のEMA + α ×(当日終値 - 前日のEMA)(α(平滑化定数) = 2 ÷(n日間 + 1))
指数平滑移動平均線(EMA)は、直近の価格に重みを付け、過去の価格ほど移動平均線の算出に与える影響を小さくしてプロットするものです。
単純移動平均線(SMA)よりも価格変動の追従性が高く、トレンドの転換により早く反応するという特徴があります。
ただ感度がよくなる分、ダマしの遭遇率も上がってしまうというデメリットもあるため、EMA単独で用いる場合は注意が必要です。
SMMA(Smoothed Moving Average)
計算式:SMMA = (前日の平滑移動平均値 ×(n-1)+ 当日の終値) ÷ n
平滑移動平均線(SMMA)は、値動きに対する感度を鈍くした移動平均線です。
ちょっとした値動きは、ほとんど移動平均線のプロットに影響を与えず、それによってダマしを圧縮できるメリットがあります。
長期トレード用に、相場の方向性を見極める際には有用ですが、感度が鈍いためエントリーや売買タイミングを計ることはできません。
LWMA(Linear Weighted Moving Average)
計算式:LWMA =(SUM) / (SUM Weight)
「SUM」={終値1✕n+終値2✕(n-1)+終値3✕(n−2)+終値4✕(n−3)…終値n✕1}
「SUM Weight」= n ✕(n+1)/ 2(n = 期間)
線形加重移動平均線(LWMA)は、重み(n=Weight)を徐々に、線形(=Liner)に減らしていくタイプの移動平均線です。
上記の計算式を見ると複雑そうに見えますが、考え方としては、上で説明したEMAとほとんど変わらず、重み比重のかけ方だけが異なります。
要するに、直近の価格の影響力は大、過去になればなるほど小さい、そのためチャートの値動きが捉えやすくなる、といったものですね。
一応MT4では、LWMAを選択することができますが、他にも優秀な移動平均線(MA&EMA)がある中で、敢えてこちらを採用するメリットは少ないように思えます。
やはりせっかく移動平均線を使うのであれば、種類も期間設定も、王道パターンを選びたいところです。
適用価格の設定
パラメーターの「適用価格:」より、移動平均線の算出に用いられる数値を選ぶことができます。
例えば「Close」を選べば、移動平均線の算出には「終値」が用いられるということです。
以下、それぞれが示す価格について説明します。
Close:終値
Open:始値
High:高値
Low:安値
Median Price(HL/2):高値と安値の中間値
Typical Price(HLC/3):高値+安値+終値の1/3
Weighted Price(HLCC/4):高値+安値+終値+終値の1/4
Previous Indicator’s Data:直近のインジケーターの数値を用いて、新たな数値を算出します。例えば、すでにチャート上に移動平均線(期間:50)がプロットしていれば、そのプロットした値を用いて、新たに移動平均線を算出します。
First Indicator’s Dara:「Previous Indicator’s Data」と同じ使われ方ですが、参照するインジケーターが直近ものではなく、チャートに最初に表示したものが用いられます。
色・太さを設定
移動平均線は、色・太さの設定を行うことで、より見えやすくなります。
パラメーターの「スタイル:」より、色・太さを設定できるので、好みに合わせて調整してあげましょう。
移動平均線は、大抵の人が短期・中期・長期の3本線を表示していると思われますので、それぞれどの色にするか、自分の中でパターンを決めておくと使いやすくなります。
MT4で移動平均線を複数表示するには
移動平均線は、チャート上に複数表示することも可能です。
やり方も非常に簡単で、表示したい本数分だけ「挿入」から移動平均線を追加してやりましょう。
こちらは、チャート上に短期移動平均線(期間設定:20)だけのパターンですが、この状態からいくつも移動平均線を重ねがけできるのです。
同じチャート上に、追加文として、今度は別の移動平均線(期間設定:50)を導入したパターンです。
移動平均線の複数表示は、パーフェクトオーダー などエントリー指標としても有用なので、少なくとも短期・中期・長期の3本は表示しておきたいところです。
スマホ版MT4アプリで移動平均線を表示する方法
スマホ版MT4で移動平均線を表示したい場合は、メイン画面の中心にある「f」をタップしましょう。
インジケーターの設定画面にある「メインウィンドウ」をタップすることで、追加したいインジケーターを選べるようになります。
そうするとインジケーターの追加画面に映るので、リストの中から「Moving Average」を選択します。
続いて、各パラメーターの設定画面に映るので、移動平均線に適用させたい数値を入力します。
表示される移動平均線は、以下画像のような感じになります。
デフォルトの設定だと、どうしても線が細くて見えづらいため、「スタイル」で移動平均線をなるべく太めに設定することを推奨します。
その他スマホアプリ版MT4の詳しい使い方は、こちらの記事で紹介しておりますので、参考にしていただけると幸いです。
MT4での移動平均線のおすすめ設定期間
スキャルピング・デイトレード・スイングトレード、それぞれのスタイルごとに、移動平均線の期間はどれくらいの数値を設定すべきでしょうか。
本節では、トレードスタイルごとにおすすめの期間設定を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
スキャルピングにおすすめの期間設定
スキャルピングにおすすめしたい期間設定は、以下の通りです。
- 短期線:5
- 中期線:8
- 長期線:13
理由:
まず大前提として、スキャルピングのような超短期トレードにおいては、相場の感度を上げるために期間設定の数値を小さくしなければなりません。
そして「5」「8」「13」という数字がなぜおすすめなのかといえば、これらはフィボナッチ数列に現れる数字であり、世界中のトレーダーが意識しているものだからです。
また、ここで注意しなければならないのが、フィボナッチ数列だから相場に有効というわけではなく、世界中のトレーダーがフィボナッチ数列を認知しているからこそ、意味を持つわけです。
FX相場における一種のセオリー、共通認識、心の拠り所として、フィボナッチ数列の数字が参考にされているわけですね。
デイトレードにおすすめの期間設定
デイトレードにおすすめしたい期間設定は、以下の通りです。
- 短期線:20
- 中期線:50
- 長期線:75
理由:
FXトレーダーの多くは、デイトレーダーが占めています。
そしてなぜ上記の数値で設定すべきなのかというと、理由は単純で、デフォルトの数値として採用される傾向があるからです。
例えば、いずれかのチャートツールで、3本線の移動平均線を表示させるインジケーターがあれば、設定値を確認してみてください。
きっと多くが、上記の数字と同じ、もしくは近しい数字がデフォルト値として設定されているはずです。つまり何もイジらなければ、この設定が適用されるということですね!
インジケーターはメジャーなもの、またよく採用される数値設定ほど強力になるので、デイトレードにおいてもデフォルト値を採用した方が有利になる、というのはインジケーターにおけるセオリーとも言えるでしょう。
スイングトレードにおすすめの期間設定
スイングトレードにおすすめしたい期間設定は、以下の通りです。
- 短期線:50
- 中期線:100
- 長期線:200
理由:
FX相場が開場する日数は、年間で約200日です。
その「200」という数字を長期線の設定にあてはめ、中期線と短期戦にそれぞれ半分の数値となる「100」と「50」の数値を当てはめたパターンです。
比較的長期でポジションを持つことになるスイング投資では、1トレードに要する期間が数ヶ月以上にわたることも珍しくありません。
となれば、誰もが意識せざる得ない「1年間」という区切りを取り入れ、長期トレードに活かそうというわけなのです。
また本節で紹介した移動平均線は、必ずしも正解となる設定値ではなく、あくまでも傾向の話。
じっくりと時間をかけて、また他のインジケーターとの組み合わせ・相性も考えながら、自分に適した設定を探してみてはいかがでしょうか。
MT4と移動平均線の設定:まとめ
本記事では、MT4における移動平均線の設定について、以下のポイントを中心に解説しました。
MT4における移動平均線の表示方法
移動平均線の各種設定方法
トレードスタイルごとにおすすめの期間設定について
移動平均線は、それ1つで生計を立てるトレーダーも存在するほど、シンプルでありながら奥深いインジケーターです。
またゴールデンクロス・デッドクロス、グランビルの法則など、移動平均線が使われるエントリー手法も多いため、扱い方を知っておいて損することはありません。
特に初心者の方であれば、まずはインジケーターの基本として移動平均線から学んでみてはいかがでしょうか。
以上、参考にしていただければ幸いです。