豪ドル円見通し 米FOMC通過後の上昇一服、82円台維持できず

豪ドル

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月17日の相場分析です。

概況

豪ドルの12月16日終値は81.674円、前日比0.140円安と小幅下落した。取引レンジは82.433円から81.422円。

12月16日早朝の米連銀FOMCの声明発表からいったんドル高に振れたものの早々にドル全面安となったために豪ドル米ドルが急反騰し、ドル円もドル高局面で114円台序盤へ上昇してからも概ね114円台維持してしっかりしたために豪ドル円は12月15日終値時点で前日比0.986円高と大幅高となり当日安値から高値まで1円を超える上昇規模の日足大陽線となった。

12月16日も夜へ続伸して82.433円まで高値を切り上げたが、その後は急伸していたポンドやユーロが反落、ドル円が114円台を維持できずに113.50円台へ失速したために豪ドル円も82円を割り込んで17日早朝には81.422円まで反落した。日足はほとんどを長い上ヒゲとし、前日とは真逆に当日高値から安値まで1円を超える規模の下落となった。

主要中銀が引き締めへ傾斜する中で豪中銀のスタンスは緩い

豪中銀のロウ総裁は12月16日の講演においては「2022年に利上げが必要になる可能性は低い」「現在の予想よりも早期に景気が回復した場合には早ければ来年2月に債券買い入れプログラムを終了する可能性がある」等と述べた。

豪州の景気回復と物価上昇、雇用改善を踏まえて豪中銀は前回会合で2024年までは利上げの条件が揃わないだろうという見方から量的緩和終了への議論を始める姿勢へと若干引き締めへのバイアスをうかがわせる姿勢を示したが、豪消費者物価上昇率等は主要国よりも相対的に低いとして他の主要中銀よりも緩和的な姿勢にとどまっていた。

今回の講演もそうした流れに沿ったものだが、米連銀が12月16日早朝のFOMC声明で来年3回の利上げ予想を示し、16日夜には英中銀が予想外に利上げに踏み切ったこと、ノルウェー中銀やメキシコ中銀が利上げするなど全般的に引き締めへ進む中においては豪中銀の姿勢はかなり緩い印象だ。

テクニカルポイント、82円の壁

豪ドル円は12月3日安値78.787円で9月22日安値78.837円をわずかに割り込んだが、8月20日安値77.896円割れには至らずに切り返してきた。12月16日には82.433円まで上昇したものの82円台を維持できずに反落している。

FOMC後の急騰一服で押し目形成とし、高値切り上げへ進めば12月3日安値を起点とした上昇基調も二段目の上昇継続として83円台、さらに84円を目指す可能性も出てくると思われるが、8月20日安値からの反騰時は9月3日高値82.023円まで上昇したところから下落に転じており、今回もほぼ同規模の上昇で82円台に到達したところから失速しているため、早々に82円台回復へ持ち直しできないようだと、9月3日からの下落時の再現となる可能性も考えられる。

豪ドル円にとってはドルストレートでのドル全面安基調が継続し、株高によるリスク選好感の継続、原油高等による資源エネルギー価格高騰の継続なら資源通貨としての上昇継続性が保たれると思われ、そこにクロス円全般の上昇感が重なれば上昇に勢いも付くことが考えられる。しかし徐々に主要中銀が引き締めへ向かう中、インフレ対策と感染対策による景気回復基調の鈍化懸念も抱えているため、まだ本格的な上昇期入りというには早い印象だ。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

12月14日昼安値を起点として上昇期に入ってきたとして高値形成期は15日夜から17日夜にかけての間と想定していたが、16日夜高値から1円を超える規模の反落となったため、現状は16日夜高値を起点として下落期に入ったところと思われる。安値形成期は17日午前から21日昼にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、82円台回復へ戻すようなら早々に目先の底を付けて新たな上昇期に入ったと仮定し、12月16日夜高値を上抜く場合は21日夜から23日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月16日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化しているが先行スパンの上限が下値を支えている。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ足が速まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月16日夜の70ポイント台後半から40ポイント台まで低下した。60ポイントへ上昇する場合は上昇再開感が出てくると思われるが、50ポイント台に乗せても維持できないうちはもう一段安余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント弱を目指す流れとみる。

12月17日の売買戦略

12月4日早朝安値からの上昇基調は継続していると思われるが、当日高値から1円以上の急落となったために目先は足場固めできるかどうかを試すところとみる。早ければ82円超えから上昇再開に入るとみるが、82円以下での推移中はもう一段安警戒とし、81.40円割れからは81円前後試し、下げ足が速まる場合は14日昼安値80.482円に迫る可能性があるとみる。

81円以下は押し目買いゾーンとみるが、81.50円以下で週を終える場合は週明けも安値試しへ進みやすいと注意する。まずは昨晩の反落の落ち着き処を見定めたい。

12月17日の主な予定

  • 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
  • 英国
    ー16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.8%、予想 0.8%)
    ー16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -1.3%、予想 4.2%)
    ー16:00 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.6%、0.8%)
    ー16:00 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 -1.9%、予想 2.4%)
  • ユーロ圏
    ー16:00 11月 独生産者物価指数 前月比 (10月 3.8%、予想 1.4%)
    ー18:00 12月 独IFO企業景況感 (11月 96.5、予想 95.3)
    ー19:00 10月 ユーロ圏建設支出 前月比 (9月 0.9%)
    ー19:00 10月 ユーロ圏建設支出 前年同月比 (9月 1.5%)
    ー19:00 11月 ユーロ圏消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 4.9%、予想 4.9%)
    ー19:00 11月 ユーロ圏消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)
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