豪ドル円 円安と豪ドル安のせめぎ合いで揉み合う

豪ドル円 円安と豪ドル安のせめぎ合いで揉み合う

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月25日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月24日終値は83.031円、前日比0.161円安と小幅下落した。取引レンジは83.231円から82.741円。

10月21日高値86.248円を起点として下落期に入ってきたが、11月19日の豪ドル米ドルの下落と円高が重なったところで82.160円まで下げた後はやや持ち直している。

11月22日のパウエル米連銀議長再任決定からドル高感が増しているところだが、豪ドル米ドルが10月28日以降の安値を更新し続けているのに対してドル円が115円到達からさらに高値を伸ばして年初来高値を更新しているため、豪ドル円は豪ドル安に圧迫されつつも円安に支えられて確りしているが、豪ドル安と円安も拮抗しているために22日夜以降は83円を挟んで揉み合いの様相が続いている。

注目材料 7-9月期設備投資は予想を下回る

オーストラリア統計局が11月25日午前に発表した7-9月期の企業設備投資は前期比2.2%減の327億豪ドルとなり市場予想の2.0%減を若干下回る低下となった。

4-6月期は当初の4.4%増から3.4%増へ下方修正された。7-9月期は感染拡大により全土でロックダウンが実施されていた時期でもあり、その影響が出たと思われる。

7-9月期の建設投資は0.2%減となり4-6月期の4.6%増から大幅に低下した。機械設備投資は4.1%減となり前期の4.3%増から大幅に悪化した。

11月23日に発表されたマークイットによる11月製造業PMIは58.5となり10月の58.2から若干上昇、サービス業PMIは55.0となり10月の51.8からは改善している。長期に渡ったロックダウンの解除により徐々に豪景気も回復へ進むと思われるが、世界規模での感染再拡大が観光面やサプライチェーンの停滞による輸出鈍化等への懸念を生じさせることも警戒しておく必要がある。

注目情勢 ドル全面高続く

11月24日にメジャー通貨の加重平均であるドル指数は高値で96.94ポイントへ上昇して2020年7月以来の高値水準となった。11月19日からは4連騰だが、昨年9月以降に超えられなかった95ポイントの壁を超えて勢いを増している。

ドル指数はユーロが最大の構成要素になるのでユーロドルを概ねひっくり返した姿でもあるが、1月6日と5月25日の両安値をダブル底として上昇に入り、8月時点でダブル底完成目安の3月31日高値を超え、10月末からは週足チャートで4週連続の陽線で上昇している。

欧州の感染再拡大が深刻化している中でECBは早期の利上げへ進むのも難しく金融緩和と企業支援を継続せざるを得ない。一方でインフレ対策を最重要課題とバイデン大統領が演説し、意に沿った形でパウエル米連銀議長が再任されたことで米連銀によるテーパリングの早期終了と利上げ時期の前倒し感が強まり、米長期債利回り上昇とドル高が加速し始めている状況だ。

豪ドル米ドルは10月28日高値からの下落が続き、11月17日以降は連日にわたってこの間の安値を更新している。米国ほどにはインフレ率は高くなく深刻ではないとして豪中銀は2024年までは利上げしない可能性が高いという姿勢を繰り返し強調しており、米豪の中銀のスタンスの差も豪ドル米ドルの下落につながっている。

豪ドル米ドルが下落してもそれを上回るドル円の上昇があれば豪ドル円も一段高へ進む可能性も出てくるが、やはり豪ドル円が本格的に上昇するには豪ドル米ドルの上昇再開が欲しいところだ。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

11月19日夜へ一段安したところからの持ち直しに入り、22日深夜高値から23日昼高値、24日朝高値と高値を若干切り上げているものの83円台序盤には抵抗感もあって勢い付けない状況にある。

一方で安値は23日夕安値82.651円から24日午後安値82.741円へやや切り上がっており、抵抗線が若干切り上がり気味で支持線も切り上がる持ち合いの様相といえる。

このため、24日朝高値83.243円を超えてくれば24日午後安値を起点として持ち合い上放れに入るとみて27日早朝から12月1日朝にかけての間への上昇を想定するが、24日午後安値を割り込む場合は24日朝高値を起点とした下落期とみて25日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い推移のため方向感に欠ける。24日朝高値超えからは上向きとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、24日午後安値割れからは下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合いの様相で50ポイントを挟んでの小幅騰落を繰り返している。60ポイント以上での推移中は上向きとして70ポイント台を目指す流れとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す下落を想定する。

11月25日の売買戦略

豪ドル安と円安が拮抗して持ち合いの様相のため持ち合い放れにつくスタンスで構えたい。

24日朝高値超えからは上放れとみて83円台中盤(83.35円から83.65円)を目指す流れとし、その後も押し目買い有利の展開と考えるが、24日午後安値割れからは下放れとみて82円台前半(82.50円から82.00円)を試して行く流れとし、その後も戻り売り有利の展開と考える。

11月25日の主な予定

  • ドイツ
    ー16:00 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 1.8%、予想 1.8%)
    ー16:00 7-9月期 GDP改定値。季調済 前年同期比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
    ー16:00 7-9月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
    ー16:00 12月 GFK消費者信頼感 (11月 0.9、予想 -1.0)
  • ユーロ圏
    ー17:00 ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演
    ー17:10 エルダーソンECB理事、講演
    ー21:30 欧州中銀、議事要旨公表(10月28日分)
    ー22:30 ラガルドECB総裁、EU司法関連会議参加
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