ポンド円見通し 150円挟んだ揉み合い、英国でオミクロン株死者発生が重石

2021年12月14日 ポンド円見通し 150円挟んだ揉み合い、英国でオミクロン株死者発生が重石

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月14日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月13日終値は150.077円、前日比0.367円安と下落した。取引レンジは150.756円から149.870円。

12月8日夜安値で149.360円へ下落した後は9日夜安値149.488円、10日深夜安値149.671円と底上げをして13日夜には150.756円へ戻していたが、深夜からの失速で150円を割り込み、14日午前にかけては150円を挟んで小幅なレンジで揉み合いとなっている。

英国でオミクロン株感染者における初の死者が確認されたこと、中国本土での感染確認などにより12月6日から楽観的な市場心理を回復していた流れに水を差されてNYダウが反落、株売り債券買いで米長期債利回りが低下したもののリスク回避感優勢でユーロ、ポンド、豪ドルなどが下落、クロス円全般も円の買い戻しにより下落した。

注目情勢 英国で初のオミクロン株死者

英国でオミクロン株感染者の死者が発生した。ジョョンソン首相は12月13日に少なくとも1名がオミクロン株感染で死亡したと発表しているが、12月12日までに英国のオミクロン株感染者数は3000人を超える急増となっている。アイルランドでは感染者全体の11%がオミクロン株とされている。12月13日の英国感染者総数は5万4661人だが連日5万人前後の規模での感染者増が続いている。

中国本土でも海外からの入国者で初のオミクロン株感染者が確認された。北京五輪が開催される近郊都市の天津市とされており、中国当局による感染抑制のための規制も厳しくなるのではないかと思われる。

12月14日早朝時点で世界65か国でオミクロン株感染が確認されているが、欧州では北欧、東欧、南欧の全体に広がっており25か国に及んでいる。

12月16日夜に英中銀は金融政策委員会(MPC)を開くが、感染状況を踏まえればインフレ対策としての利上げへは踏み切れずに現状維持にとどまるのだろうと予想される。

英国ではオミクロン株発生報道以前に欧州全体での感染再拡大の波と同調して感染拡大が続いており、12月8日にはジョンソン首相が在宅ワーク推奨や公共の場でのマスク着用、ブースター接種奨励などの対策強化へと乗り出しているが、景気回復の腰折れも懸念されるところだ。

テクニカルポイント、150円を挟んだ揉み合いから抜け出せず

ポンド円は12月13日夜の上昇で150.756円を付けたものの151円に届かず、12月1日午後高値151.438円から12月7日夕高値151.127円へと戻り高値が切り下がってきた流れから脱却できずに失速している。

今年4月以降、150円を割り込んだ水準では買い戻されて反騰するパターンを繰り返しており、10月20日高値158.219円からの下落により150円割れに至った現状もこれまでと同様の切り返しへ進む可能性が期待されるところだが、7月や9月等の150円割れからの反騰は数日でV字反騰に入ったことと比較すると、今回は150円台を回復しても維持しきれずに戻り高値が切り下がる状況で再び150円を割り込むなど、上値が重く一挙に切り返せない状況に陥っている印象だ。このため現状を大幅下落一服で150円を挟んだ下げ渋り持ち合いとすれば、持ち合い下放れへ進む可能性を警戒すべきところと考えるべきかもしれない。特に欧州感染拡大、英国でのオミクロン株流行拡大によるリスク回避感が強まるようだと流れは下向きへと進みかねないと注意したい。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

12月4日早朝安値から3日半となる12月9日夜安値を起点として戻していたが、12月7日夕高値から4日目となる12月13日夜高値でピークを付けて下落期に入っていると思われる。安値形成期は14日夜から16日夜にかけての間と想定されるので13日夜高値を上抜き返せないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では12月13日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しつつあるため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は13日夜高値を超えるところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は12月13日夜からの反落で50ポイントを割り込んでいる。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台を試す流れとし、強気転換は50ポイント台回復・維持へと戻すところからとする。

12月14日の売買戦略

150円を挟んでの揉み合いだが、戻り高値切り下がり基調の中で失速してきたため、12月4日早朝安値を試し、あるいは底割れへ向かいやすい状況に入っているのではないかとみて戻り売り有利の展開と考える。

150.25円から150.50円にかけてのゾーン戻り売りにつかまりやすいとみる。
12月10日深夜安値149.671円割れからは12月4日早朝安値148.983円試しへ向かうとみるが、149円台序盤へ下げるところからは先行きで一段安へ向かいやすい流れと思われる。

12月14日の主な予定

  • 英国
    ー16:00 11月 失業保険申請件数 (10月 -1.49万件)
    ー16:00 11月 失業率 (10月 5.1%)
    ー16:00 10月 失業率・ILO方式 (9月 4.3%、予想 4.2%)
  • ユーロ圏
    ー19:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.2%、予想 1.2%)
    ー19:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.2%、予想 3.2%)
  • 米国
    ー22:30 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.5%)
    ー22:30 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 8.6%、予想 9.2%)
    ー22:30 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
    ー22:30 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 6.8%、予想 7.2%)
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