豪ドル円 8日連続陽線、19日午前も高値切り上げで5月10日高値に迫る

豪ドル円 8日連続陽線、19日午前も高値切り上げで5月10日高値に迫る

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月19日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月18日終値は84.741円、前日比0.024円安と小幅下落した。取引レンジは85.010円から84.276円。

10月7日から15日まで7日連続の陽線で7連騰となり、週明け18日早朝には85.010円まで高値を切り上げたが、85円台到達に対する高値警戒感から18日夜にかけてはジリ安の展開で84.276円までいったん下げた。深夜からは持ち直しに入ったが、19日早朝の終値時点では前日比で若干のマイナスとなり8連騰にはならなかったが、日足は下ヒゲを付けた陽線となり8日連続陽線だった。

10月19日午前地盤には85.020円へ上昇して18早朝高値を超えて8月20日安値77.896円以降の高値を更新している。

注目材料 豪中銀の理事会議事要旨は年末への景気回復期待

豪中銀は10月理事会の議事要旨を19日午前に公開した。議事要旨では「デルタ変異株の流行が豪経済の回復を阻害したが、一時的に中断しただけでワクチン接種率の上昇が続くのに伴い景気は持ち直す」と景気回復への強気な見通しを示した。7月からのロックダウン長期化により7-9月期の経済成長はマイナスが見込まれているが、10月11日のシドニーでのロックダウン解除から徐々に規制緩和・経済活動再開に入っているため、10-12月期はプラスへ持ち直すとしている。また「金融緩和の度合いを弱めれば住宅価格と与信の伸びが抑えられ、就業者数減少や賃金の伸び鈍化にもつながる」として2024年までは利上げしない姿勢を改めて強調した。

豪中銀は量的緩和政策による資産購入については9月から減額しつつ期限を来年2月半ばまで延長して緩和基調を維持しているが、ワクチン普及率が7割を超えたところからロックダウンが解除されてゆくウィズ・コロナ政策を踏まえて景気が持ち直してゆくことを当面は支援するスタンスだ。NZ中銀が利上げに踏み切り、英中銀が年内に利上げする公算となっていることなどと比較すればやや出遅れているところだが、世界規模での資源エネルギー不足と原油等の価格高騰もあって豪10年債利回りは上昇基調にあり、豪中銀による景気回復後押しは今のところ豪ドルにはプラス効果となっているようだ。

注目ポイント 豪ドル米ドルが9月3日高値に迫る

豪ドル米ドルは10月19日午前高値で0.74449ドルへ上昇して9月30日安値0.71687ドル以降の高値を更新し、9月3日高値0.74773ドルにあと一歩へ迫っている。
豪ドル円は既に9月3日高値を大幅に超えて5月10日高値に迫っているが、ドル円の大上昇が押し上げて来たためであり、豪ドル米ドルが9月3日高値を超えて8月20日以降の高値を更新して二段上げに発展してくれば、円安と豪ドル高の両面からの押し上げも威力が増すことが考えられる。

10月18日に発表された中国の7-9月期GDPの伸びが冴えなかったことはやや気がかりではあるが、原油相場の高騰が続いて資源エネルギー価格の上昇=資源通貨高の連想も継続しているため、豪ドル米ドルが9月3日高値を超えてテクニカル的な上昇感を増せば豪ドル円にとっても上昇加速のきっかけとなりえると注目したい。

注目ポイント 原油高で資源通貨買い

NY原油先物の期近2021年11月限は10月15日に82.66ドルへ上昇、10月11日に付けた年初来高値82.18ドルを超えて2014年10月以来の高値水準となった。2018年10月3日に76.90ドルまで上昇したところをピークとして需給緩和で下落期に入り、2020年4月にはパンデミック発生による物流停滞で地上在庫が溢れる事態に陥ったことで4月の納会前日には投げ売りを消化しきれずに先物価格としてマイナス40ドルを超える異常な暴落に見舞われたが、その後は景気回復期待から持ち直し、世界的な金融緩和と株高ドル安に押し上げられてきた。7月6日高値の後はいったん下げていたものの世界的なエネルギー価格高騰の波により一段高へと進んでいる。

欧州での天然ガス高騰、中国の石油石炭不足での電力供給制限で製造業にも影響が出ているが、しばらくは景気回復による需要拡大と感染拡大の影響が残っているサプライチェーンの混乱により増産供給が追い付かない状況にあり原油価格等の高騰が続きそうだが、鉄鉱石や石炭の輸出国である豪ドルの資源通貨買いも続きやすいと思われる。

注目ポイント 米豪の長期債利回りはともに上昇で豪ドル高に

世界的な物価上昇が主要国中銀を金融緩和から引き締めへのスタンスの変更を迫っていることが長期債利回り上昇を招いているが、米長期債利回り上昇と共に独伊英豪等の長期債利回りも上昇しているため、必ずしも米長期債利回り上昇=ドル全面高とならずにいる。もちろん米10年債利回り動向によってドルの強弱も大きく左右されて上昇が顕著になればドル高反応をもたらしやすく、米雇用統計やFOMC等の重要イベント後ではその反応も大きくなる。しかし、米長期債利回り上昇に負けずと豪10年債利回りも上昇基調にあることが豪ドル米ドルを押し上げている。

豪10年債利回りは今年2月に1.97%へ上昇したところから8月に1.05%まで低下していたもののV字反騰型で上昇再開に入っており、先週は1.77%まで高値を切り上げてきている。週足では8週連続の陽線での上昇であり、9月末からの豪ドル米ドルの反騰を支えているが、当面はこの状況も続きやすいと思われる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月1日夕安値からの上昇基調を続けてきたが、10月13日午前へ小反落から一段高に入り、15日夜高値でいったん目先のピークを付けたものの18日夜安値からの切り返しで高値を更新してきている。このため現状は10月18日夜安値を起点として新たな上昇期に入ったところであり、10月15日夜高値を基準として20日夜から22日夜にかけての間への上昇が想定される。弱気転換は18日夜安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では10月18日夜への下落で遅行スパンがいったん悪化したものの19日午前の上昇で再び好転しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は10月18日夜に30ポイント台へ低下したがその後の反騰で70ポイントに迫っている。50ポイント以上での推移中は上昇継続とし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

10月19日の売買戦略

中勢の上昇基調はさらに継続とみて押し目買い有利、大きく突っ込むところはバーゲン買いされやすい展開が続くとみる。
84.50円以上での推移中は上昇余地ありとして85円台中盤(85.30円から85.70円)を目指すとみる。85.50円以上はいったん売られやすいとみるが、84.50円以上での推移が続くうちは20日も高値試しを続けやすいとみる。

10月19日の主な予定

  • ユーロ圏
  • 18:00 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%)
  • 18:00 8月 建設支出 前年同月比 (7月 3.3%)
  • 21:00 パネッタECB理事、講演
  • 22:00 (欧) レーンECB理事、講演
  • 英国
  • 19:00 マン英中銀委員、講演
  • 21:05 ベイリー英中銀総裁、気候変動関連の講演
  • 米国
  • 21:30 9月 住宅着工件数 年率換算件数 (8月 161.5万件、予想 162.0万件)
  • 21:30 9月 建設許可件数 年率換算件数 (8月 172.8万件、予想 168.0万件)
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