豪ドル円 4連騰で84円に迫ってからは豪ドル米ドルが調整気味でやや足踏み

豪ドル円 4連騰で84円に迫ってからは豪ドル米ドルが調整気味でやや足踏み

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月13日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月12日終値は83.522円、前日比0.263円高と続伸した。取引レンジは83.798円から83.004円。

10月8日の米9月雇用統計発表後からのドル円の急伸に加えて豪ドル米ドルも9月30日以降の上昇基調を継続したことで10月7日からの連騰を継続、10月11日には前日比1.227円高となる日足大陽線で83円を突破した。

10月12日もドル円が夕刻に113円をわずかに割り込んだところから一段高となり、豪ドル米ドルも12日夜に9月30日以降の高値を更新したことでこの日の高値となる83.798円へ高値を切り上げたが、深夜から13日朝にかけて豪ドル米ドルが反落、ドル円も12日夜高値113.78円以降はややジリ安の推移となったことで豪ドル円の上昇にも一服感が出ており13日午前には83円台序盤へジリ安の推移となっている。

注目材料 NAB企業信頼感指数は大幅改善

10月12日午前に発表された豪ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)による9月の企業景気信頼感指数はプラス13となり8月のマイナス6から19ポイントの大幅改善となった。現況を示す業況指数はプラス5となり前月のプラス15から悪化した。

この調査は9月17日から9月30日までの間に実施されているが、オーストラリア全土での長期にわたるロックダウンの影響で現況指数は悪化したものの、ワクチン普及によるロックダウン解除方針が逐次示されてきたことで先行きへの期待感を示す信頼感指数は大きく改善したといえる。

10月13日朝に発表された10月のウエストパック消費者信頼感指数は104.5となり9月の106.2からは低下した。前月比では1.5%減となったが、5月以降は前月比マイナス5%前後からプラス2%までの範囲でのジグザグ推移でありロックダウン長期化の影響で低調だが底固さも見せている。

シドニーはワクチン接種率70%超えのノルマをクリアして予定通りに10月11日からロックダウンが解除されており、今後も解除が続けば企業及び消費者のセンチメントも改善してゆくのではないかと思われる。

注目情勢 原油高騰による資源通貨買い

豪ドルは資源通貨の代表格であり原油相場との同調性も顕著だ。豪ドル米ドルは2月天井からの下落が続いてきたが8月23日安値から反騰している。これはNY原油が7月6日高値から8月23日まで急落したところから反騰入りしてきたことに下支えられている。

リーマンショック発生までのBRICs高度経済成長による国際原材料相場の高騰時に豪ドル米ドルも原油相場の大上昇と同調して2001年4月底から2008年7月15日高値まで歴史的な上昇となった。リーマンショックからの出直りも原油相場の反騰と同調し、2014年から2015年に豪ドル米ドルが大幅下落したところも原油相場が第二の逆オイルショックと呼ばれた暴落に見舞われた時と同調している。

原油も豪ドルも共に昨年のコロナショック暴落から出直ってきた流れにあるが、豪ドルが2月高値以降の下落基調からの脱却に原油の高騰が一役買っているといえる。原油はすでにコロナショック以降の高値を更新しているが、インフレ進行により米長期債利回りが上昇するとともに豪10年債利回りも上昇していることで豪ドル米ドルにおけるドル高圧力も抑えられ、原油高騰が豪ドルを下支える構図となっている印象だ。

10月12日はNY原油も上昇一服、ユーロの下落もあり豪ドル米ドルも上昇一服となっているが、NY原油が高値更新へ進めば豪ドル米ドルも押し上げられやすいと思われる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月1日夕安値からの上昇基調を続けてきたが、12日夕刻へ小反落してから12日夜高値へ上昇し、その後にジリ安となっているため、12日夕安値83.004円以上での推移中は上向きとし、12日夜高値を超えるところからは12日夕安値を起点とした上昇期として14日夜から18日深夜にかけての間への下落を想定する。12日夕安値を割り込む場合は12日夜高値を起点としていったん調整安に入るとみて13日の日中から14日早朝にかけての間への下落を想定する。ただし12日夕安値を割り込んでからの反騰でこの間の高値を更新するところからは新たな上昇期入りとして15日夜から19日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月6日夜からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いてその後も両スパン揃っての好転を維持してきたが、12日夜高値からのジリ安により遅行スパンは悪化しやすくなっている。遅行スパン悪化からは先行スパンの下限を試す下落を想定するが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化した後に再び好転するところからは上昇再開とみる。ただし先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると注意する。

60分足の相対力指数は10月11日深夜高値から12日夜高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて失速気味の推移となっている。60ポイント台回復からは上昇再開とするが、60ポイント以下での推移中は一段安警戒として30ポイント台へ低下する可能性があるとみる。

10月13日の売買戦略

先週末からの急騰一服でやや調整的な動きと思われる。83円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは高値圏を維持した上昇一服による持ち合い形成とし、12日夜高値超えからは84円台中盤(84.30円から84.70円)を目指す上昇を想定して押し目買い有利の展開とみる。83円割れから続落の場合は83.70円前後への下落を想定するが、83.70円以下は押し目買いされやすいところとみてその後に83.30円を超えるところからは上昇再開、高値追及へ向かう流れと考える。
利食いをこなしながら先高期待を継続して突っ込んだところは買い拾うスタンスで構えておきたいところと思う。

10月13日の主な予定

  • 英国
  • 15:00 8月 月次GDP 前月比 (7月 0.1%、予想 0.5%)
  • 15:00 8月 鉱工業生産指数 前月比 (7月 1.2%、予想 0.2%)
  • 15:00 8月 鉱工業生産指数 前年同月比 (7月 3.8%、予想 3.1%)
  • 15:00 8月 貿易収支・物品 (7月 -127.06億ポンド、予想 -120.00億ポンド)
  • 15:00 8月 貿易収支・全体 (7月 -31.17億ポンド、予想 -28.00億ポンド)
  • ユーロ圏
  • 18:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.5%、予想 -1.6%)
  • 18:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.7%、予想 4.7%)
  • 米国
  • 21:30 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
  • 21:30 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 5.3%、予想 5.3%)
  • 21:30 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
  • 21:30 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 4.0%、予想 4.0%)
  • 27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)
豪ドル見通し5年後 豪ドルの5年後見通しは?100円超えの可能性や相場分析から見る買い時とは【2022年最新】