ポンド円見通し リスク回避型の展開続き10月20日以降の安値更新

ポンド円見通し リスク回避型の展開続き10月20日以降の安値更新

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月2日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月1日終値は149.707円円、前日比0.792円安と続落した。取引レンジは151.438円から149.619円。

11月26日に変異種オミクロン株の発生と感染力の強さを警戒して金融市場全般がリスク回避型の動きとなる中、ポンド円は11月26日当日に153.671円から150.720円まで3円近い急落となったが、今週に入ってからも29日、30日、12月1日と連日の安値更新が続いている。

11月30日にはモデルナ社CEOによる従来ワクチンの有効性が低いと発言したことで一段安となり、12月1日は米国で初めて感染者が確認されたことでNYダウが大幅下落する中で安値を更新、終値ベースでも150円を割り込んだ。

英国でオミクロン株の感染拡大

英国のジャビド保健相は12月1日に英国内で新たに22人のオミクロン株感染者が確認されたと発表した、英国のオミクロン株感染者累計は32人となったが、さらに増加する見通しだ。

12月2日朝時点では、世界で26か国の感染が確認されており、12月1日には米国で初めての感染者が確認された。欧州ではドイツ、フランス、英国、イタリア、スペイン、ポルトガル、スエーデン等と全域に広がりつつあるが、アジアでも香港、日本、韓国と広がっている。

オミクロン株がデルタ株よりも弱毒性ならデルタ株を駆逐して感染しても無症状か軽症に収まってパンデミックが終息する可能性もあり得るが、デルタ株並みの重症化率となれば医療逼迫や渡航制限、経済活動規制等が強まって景気回復の腰折れとなる可能性も懸念される。状況がある程度見えてくるにはまだ2週間程度はかかりそうだ。

英政府は12月1日にファイザー製とモデルナ製のワクチン1億1400万回分の追加購入で合意したと発表した。合意にはオミクロン株や今後出現し得る別の変異株に対応するワクチンが必要な場合にも改良を加えたワクチンが提供される内容となっているようだ。

テクニカルポイント 戻り高値切り下がり基調

ポンド円は7月20日以降、何度か150円を割り込んだところでは買い戻されて150円弱から148円台にかけての間で確りした下値支持帯を構築してきたが、今回はそれが破られつつあるところだ。12月1日は終値ベースで150円を割り込んできているが、12月2日朝安値では149.564円を付けて12月1日未明安値149.730円をいったん割り込んでいる。

12月1日夜にかけては151円台を回復するところまで反騰したがその後に底割れへ揺れ返しの下落となっており、2日朝安値からも150円台回復へ戻すなど、安値更新を繰り返しつつも戻りも大きい状況となっている。

テクニカル的に重視されるのは、戻り高値切り下がり基調から抜け出せるかどうかであり、11月27日早朝に151円割れへと急落した後は、11月29日午前高値151.920円、11月30日夕高値151.630円、12月1日夕高値151.438円と高値は切り下がり基調にある。

12月1日夕高値を上抜けば高値切り下がり基調から抜け出すとともに12月1日未明と12月2日朝の両安値をダブル底とした上昇期入りとばる可能性も開ける。しかし今回も戻り高値切り下がりとなって150円を再び割り込んでくる場合はもう一段安へ進み、7月以降繰り返してきた150円割れからの切り返しがきかなくなって下げ足が速まる可能性があると警戒される。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

12月1日未明安値から1日夕刻へ戻してから底割れしているため、現状は12月1日夕高値を起点とした下落期に入っていると思われる。ダブル底形成の可能性もあるが、151円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、2日朝安値を割り込むところからは次の安値形成期となる4日未明から8日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では上下に振れ幅の大きい騰落を切り返しているが先行スパンを上抜き返せない状況が続いているため、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン突破からは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2日早朝に30ポイントを割り込んだところから戻している。50ポイント台を維持して高値切り上げに入る場合は60ポイント台後半への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

12月2日の売買戦略

やや乱調な展開だが戻り高値切り下がり基調の範囲とみて戻り売り有利の情勢が継続していると考える。
150.50円から151円手前までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。150円割れからは下げ再開を疑い、2日朝安値149.564円割れからは148円台後半へ向かう流れとみる。

12月2日の主な予定

  • ユーロ圏
  • 19:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 2.7%、予想 3.5%)
  • 19:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 16.0%、予想 19.0%)
  • 19:00 10月 失業率 (9月 7.4%、予想 7.3%)
  • 米国
  • 22:30 新規失業保険申請件数 (前週 19.9万件、予想 24.0万件)
  • 22:30 失業保険継続受給者数 (前週 204.9万人、予想 200.0万人)
  • 25:00 クオールズ米連銀理事、講演
  • 25:30 ボスティック・アトランタ連銀総裁、インタビュー
  • 25:30 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演