豪ドル円 2日連続陰線で調整だが、足場固めから上昇再開を伺う

豪ドル円 2日連続陰線で調整だが、足場固めから上昇再開を伺う

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月25日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月22日終値は84.721円、前日比0.392円安と続落した。取引レンジは85.537円から84.603円。

9月22日安値78.837円まで下げたところから切り返しに入り10月8日に9月3日高値を超えて8月20日からの上昇が二段目に入って勢い付き、10月7日から10月20日まで10日連続の日足陽線による大上昇で5月10日に付けた昨年3月底以降の最高値85.795円を更新、10月21日は2018年2月以来の86円に到達して86.248円まで高値を伸ばした。ここまではドル円の上昇と豪ドル米ドルの上昇が重なって勢い付いた展開だったが、21日から22日にかけてはドル円が反落、豪ドル米ドルの反落も重なったことで豪ドル円は利益確定売りが急がれて失速となり、21日に前日比0.820円安の下落、22日も続落で84円台中盤まで押された。

10月23日未明安値からのジリ高で25日午前序盤には85円台に到達しており、目先は2日間の調整安が落ち着いて足場を固め始めたところという印象だ。

注目ポイント 原油高続き資源通貨の上昇基調も継続しやすい環境

10月22日のNY原油は前日比1.26ドル高と上昇、高値では84.22ドルを付けて10月20日高値84.25ドルに迫った。20日高値から21日安値80.79ドルまでいったん下げたところから持ち直しているが、週明けの25日午前には84.40ドル台まで高値を切り上げている。

中国が石油石炭不足により電力供給に支障を来して製造業関連工場等が操業停止に追い込まれる事態となった後、中国当局は石油と石炭の輸入拡大を急ぎ、特に火力発電の支障対策として石炭価格高騰の規制に動き出している。相場の上限規制等の動きにより石炭価格がいったん急落し、原油価格もそれになびいたが、資源不足は長期的に継続すると市場は受け止めており原油価格の高騰は暫く続きそうだ。

豪ドル米ドルは資源輸出国通貨であり、資源相場の代表である原油相場との同調性も顕著だが、昨年春のコロナショック暴落後の出直り相場としては原油相場の高騰ぶりと豪ドル米ドルの上昇とを比較すると豪ドル米ドルに出遅れ感がある。逆に言えば原油相場の高騰へとこれから追い付こうとする動きも出やすいといえる。

資源価格の高騰要因としては感染拡大による生産・物流障害と急激な景気回復による需要増とのギャップが挙げられるが、最近はロシアの感染爆発等が天然ガスや石油、貴金属等の供給への支障を招くのではないかとの懸念も上がってきている。

注目ポイント 豪中銀の長期債利回り抑制姿勢

10月22日に豪中銀は3年債利回りを目標水準に維持するために2024年4月償還の3年債10億豪ドルを買い入れた。このオペにより24年4月償還債利回りは0.14%へと低下したが、豪中銀の誘導目標の0.10%を依然として上回っている。豪中銀は量的緩和による資産購入規模を縮小し始めて引き締め姿勢へと徐々に転換する動きを見せているものの、2024年までは利上げをしないとの姿勢を繰り返し強調してきた。3年債利回りについてはYCC(イールドカーブコントロール)の対象として抑制目標を掲げており、市場利回りが誘導目標を超えたことに対して方針通りに買いオペで対処したことにより、豪中銀の利回り抑制姿勢は堅持されているとの印象を市場に与えた。

しかし、現実のインフレ進行によりいずれは豪中銀も利上げに踏み切らざるをえないと市場は見ており、豪3年債、5年債、10年債の利回りは上昇基調を継続し、そのことが豪ドルを下支えしている。
今週は10月27日に7-9月期の豪四半期消費者物価上昇率、28日に7-9月期の輸入物価指数の発表がある。それらが市場予想を上回るようだと豪中銀への利上げ圧力も増すと思われる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月1日夕安値からの上昇基調を続けてきたが、10月21日昼高値86.248円をピークとして下落に転じた。22日午前に84.883円まで下落してから22日夕刻に85.537円までいったん戻したものの23日未明安値84.603円まで一段安している。このため、10月18日夜安値から3日半となる22日午前安値でいったん底を付けたものの底割れから新たな下落期に入っている可能性と、18日夜安値から4日強となる23日未明安値で底打ちして上昇期に入ってきた可能性も考えられる。いずれへ進むのか、22日夕高値85.537円を超えるかどうかを目安とする。22日夕高値超えへ進めないうちは一段安警戒として23日未明安値割れからは27日午前から29日午前にかけての間への下落を想定し、、22日夕高値超えからは上昇期入りとして26日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月21日午後の下落で遅行スパンが悪化、深夜への続落で先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。23日未明安値からの反発が続けばともに好転してくると思われるが、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒とし、先行スパンを上抜くところからは上昇期に入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は23日未明への下落で30ポイントまで低下してから50ポイントまで戻しているので反騰入りしている可能性がある。50ポイントを超えても維持できずに40ポイント割れとなる場合は21日昼高値からの下落基調継続とするが、50ポイント台を維持し始める場合は上向きとし、22日夕高値超えからは60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。

10月25日の売買戦略

中勢の上昇基調は継続とみるが、目先は調整安の落ち着き処を探るところであり、23日未明安値を起点として新たな上昇期に入ってくるか、もう一段安へ向かうのか、確り見定めたいところだ。
10月23日未明安値84.603円を割り込まない範囲では押し目買い有利とし、10月22日夕高値超えからは上昇期入りとして21日昼高値86.248円超えを目指す上昇を想定する。
10月23日未明安値を割り込む場合は84円前後への下落を想定するが、84円以下は突っ込み買いされやすい水準とみる。

10月25日の主な予定

  • 10/25(月)
  • 休場、ニュージーランド(レーバーデー )

今週の豪関連主な予定

  • 10/26(火)
  • 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(10/28まで)
  • 米下院金融委小委員会、中国企業の米上場に関する公聴会
  • EU、エネルギー危機関連臨時会合
  • 10/27(水)
  • 09:30 7-9月期 豪消費者物価 前期比 (4-6月 0.8%、予想 0.8%)
  • 09:30 7-9月期 豪消費者物価 前年同期比 (4-6月 3.8%、予想 3.1%)
  • 10/28(木)
  • 09:30 7-9月期 豪輸入物価指数 前期比 (4-6月 1.9%、予想 3.5%)
  • 10/29(金)
  • 09:30 9月 豪小売売上高 前月比 (8月 -1.7%、予想 0.3%)
  • 09:30 7-9月期 豪生産者物価指数 前期比 (4-6月 0.7%)
  • 09:30 7-9月期 豪生産者物価指数 前年同期比 (4-6月 2.2%)
  • 09:30 9月 豪民間部門信用残 前年比 (8月 4.7%)
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