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おはようございます。大塚亮です。
2021年11月22日の相場分析です。
目次
概況
ポンド円の11月19日終値は153.349円、前日比0.879円安と下落した。取引レンジは154.4404円からから152.520円。
11月12日から3連騰、17日に154.698円まで高値を切り上げたところで上昇一服となったものの18日昼安値からは持ち直しに入っていた。ところが19日夕刻からドル円の急落とポンドドルの下落が重なったことでこの日の高値154.440円から19日夜安値152.520円まで急落した。やや売られ過ぎとして深夜に153.182円まで戻したもののその後は153円台前半での揉み合いとなって週を終えている。
注目情勢 ドル円が二段目の下落、ポンドも戻り一巡で失速
欧州での感染再拡大、特にオーストリアでのロックダウン再開とドイツの新規感染者が6万5千人を超えて過去最多となったことからリスク回避的な動きが強まってユーロドルが年初来安値を更新するところへ急落、12日から5日連続の日足陽線で戻していたポンドドルもつれ安となって急落、さらにクロス円全般の下落と米長期債利回り低下を見てドル円も当日高値から安値へ1円近い急落となった。ポンド円はポンド安と円高が重なったことで数時間で2円近い急落商状となった。
ポンドドルは17日昼安値1.33961ドル割れは回避したものの1.34072ドルまで下げており、11月12日午前安値1.33531ドルからの底上げ基調を維持できるかどうか微妙な状況だが、17日昼安値を割り込む場合は戻り一巡からの下げ再開となる可能性がある。
ドル円は11月18日昼安値113.876円を割り込んで113.586円まで下げており、11月18日午前高値で115円手前へ上昇したところで行き詰まっての下落が二段下げ型に発展している。調整安がやや長引きやすい姿となっているが、感染再拡大問題によりドルストレートではドルの買い戻し、クロス円では円の買い戻しとなりポンド円としてはポンド安と円高が重なって両面から圧される可能性が高くなった印象だ。今のところは11月12日朝安値152.356円を割り込んでいないため19日夜安値をダブル底として持ち直す可能性はあるものの、12日朝安値を割り込む場合は10月20日高値からの下落が二段目の下げに入り下げ足が速まる可能性があると注意したい。またその場合は7月20日安値148.458円や9月21日安値148.947円等の150円割れを切り返せるかどうかを試す流れへ進みやすくなるとみる。
注目情勢 英中銀への利上げ圧力
英中銀は11月4日のMPC(金融政策委員会)では政策金利を過去最低の0.1%に据え置き量的緩和規模も現状維持とした。10月時点では11月と12月の二会合連続で利上げされるのではないかとの見方も強まっていたが利上げを躊躇し、9名のうち7名が現状維持、2名が利上げ支持となっていた。また景気が想定通りに推移すれば「向こう数か月で利上げが必要になる」として先行きの利上げへ含みを持たせた。
11月15日にベイリー英中銀総裁は英国下院財務委員会で「インフレを巡る状況に非常に不安を感じている」「11月4日の会合における利上げ見送りは個人的には非常にぎりぎりの判断だった」と述べて利上げの必要性を示唆したが思案中という印象のままだった。
11月17日に英国立統計局が発表した10月の英国消費者物価上昇率は前年比4.2%となり凡そ10年ぶりの伸びとなったことは英中銀への利上げ圧力が増す材料と市場は受け止めた。17日に英中銀のマン委員(11月4日会合では現状維持とした)は「英中銀がインフレを2%に低下させるために適切な政策対応を講じる能力と意志に対する信認を感じている」と述べて利上げ支持姿勢を示した。
11月19日に英中銀チーフエコノミストのピル理事は「12月に利上げが決定される可能性が高まっているが自身は最終的な判断を下したわけではない」と述べており、利上げへの躊躇がみられる。
注目情勢 欧州の感染再拡大
徐々に英中銀への利上げ圧力が増しているのだが、一方では欧州の感染再拡大による景気回復の腰折れも懸念されている。ドイツの感染急増はここ2か月で倍増のペースで拡大しており、6万人を超える新規感染者数は第二波や第三波における3万人強のピークを大幅に超えている。
英国も1月8日に67000人を超えるピークから一時は2000人弱の日々が続くところまで落ち着いていたが7月に5万人を超えるところまで急増してからはピークアウトせずに4万人前後の規模での推移が続いている。11月19日の為替市場は欧州の感染再拡大へと再び目を向けたため、しばらくは欧州及び英国の感染状況からも目が離せないところだ。英中銀の次回金融政策決定会合は12月16日に予定されている。
短期テクニカル
ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。
11月19日夕高値から19日夜安値まで数時間で2円近い急落からいったん戻しているが、乱高下型の波乱のため方向感には欠ける。
153.75円を超えてその後も153.50円以上での推移に入るならば11月19日夜安値を直近の底とした上昇期として22日午後から24日夕にかけての間への上昇を想定する。ただし、22日の日中を戻せずに153円を割り込む場合は下げ再開を警戒し、19日夜安値を割り込む場合は新たな下落期入りとみて24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月19日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。急落後の下げ渋りが続けば遅行スパンは好転しやすくなるが先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。遅行スパンが好転できずに19日夜安値を割り込む一段安に入る場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月19日夜の急落で10ポイント台へ低下したところから戻しているが50ポイントに届かずにいる。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、35ポイント割れからは再び10ポイント台を目指すとみる。50ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持し始める場合は反騰入りとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。
11月22日の売買戦略
11月19日夜の急落一服だが、一時的な急落からの反騰期待よりも戻り一巡による下落再開時の急落とみてもう一段安への警戒を優先する。
153.60円から153.75円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。153.75円を超える場合は154円試しとみるが反騰一巡後は再び反落しやすいとみる。19日夜安値からの戻り幅の半値を削るところからは下げ再開と考える。
153.75円超えへ進めずに153円を割り込むところからは下げ再開とみて19日夜安値152.520円試しとし、底割れからは152.00円、151.75円等を順次試してゆく流れとみる。またその場合は23日から24日にかけても安値試しが続きやすいとみる。
11月22日の主な予定
- 米国
- 24:00 10月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (9月 629万件、予想 620万件)
- 24:00 10月 中古住宅販売件数 前月比 (9月 7.0%、予想 -1.4%)
- 27:00 財務省2年、5年債入札
- ユーロ圏
- 24:00 11月 消費者信頼感速報値 (10月 -4.8、予想 -5.5)
今週の英国関連主な予定
- 11/23(火)
- 休場 日本
- 18:30 11月 製造業PMI速報値 (10月 57.8、予想 57.3)
- 18:30 11月 サービス業PMI速報値 (10月 59.1、予想 58.2)
- 24:00 ベイリー英中銀総裁、発言
- 27:00 ハスケル英中銀委員、講演
- 11/24(水)
- 特になし
- 11/25(木)
- 休場 米国
- 26:00 ベイリー英中銀総裁、イベント参加
- 11/26(金)
- 感謝祭翌日で米市場は短縮取引(債券、株式、商品)、為替は通常取引
- 22:00 ピル英中銀理事、講演