ポンド円 151円台で上昇一服持ち合い、ポンド高続かずドル円は8月11日高値に並ぶ

2021年9月27日 ポンド円 為替相場予想

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月27日の相場分析です。

概況

ポンド円の9月24日終値は151.430円、前日比0.065円高と小幅続伸した。取引レンジは151.733円から150.996円。

9月23日未明の米FOMC後の方向性が定まらずにいる。ポンドドルはFOMC後にいったんドル全面高となる中で23日早朝に1.36095ドルへ失速して9月14日以降の安値を更新したが、ドル高反応一巡から反騰に転じて24日未明には1.37497ドルへ上昇、FOMC前の水準を超えた、しかし24日は再びドル高がぶり返して1.360ドル台中盤へ失速している。一方でドル円は米長期債利回りの上昇を見て急伸となり、23日夜に110円に到達して17日夜高値を超え、24日も大幅続伸で9月8に高値110.44円も突破、さらに25日未明には110.79円を付けて8月11日高値に並ぶ上昇となった。

ポンド円はFOMC直後はポンド安と円安が交錯して小動き、23日夜にかけてはポンド高と円安が重なって急伸して151円台を回復、24日夕刻に151.733円まで高値を切り上げたが、その後は伸びずに151円台での揉み合いとなっている。

注目材料 英中銀は現状維持だが利上げの条件も揃い始める

英中銀は9月23日の金融政策委員会で政策金利を過去最低の0.1%で据え置き、量的金融緩和による資産買い入れ規模についても従来の8950億ポンドで据え置いた。政策金利の据え置きは委員9人の全会一致だったが、資産買い入れ規模については2人(ラムズデン副総裁とサンダース委員)8600億ポンドへの減額を主張した。

英中銀は2021年末時点のインフレ率は4%を超えて目標の2%を大きく上回る見通しとし、金利上昇の根拠が「強まった」との見方を示したが、「物価上昇は一時的」との従来からの認識を再確認し、現時点では金融緩和継続が妥当とした。

英中銀の金融政策発表後、金利先物市場で見られる来年2月までの利上げ確率は90%となりそれまでの60%から上昇した。シティは来年2月に0.25%、5月に0.5%へ利上げされると予想、JPモルガンは2022年の第1四半期に最初の利上げがあるとの予想を示した。

英中銀はエネルギー価格の上昇により今年10月以降に物価上昇率が4%を超えるとしたものの中期的には2%近辺に下落するとの見通しを示した。また世界経済の回復に減速の兆しがあるとし、英国の7-9月期GDP見通しを8月時点の2.9%から2.1%へ下方修正した。

注目材料 米FOMC後は米英共に長期債利回りが上昇

米FOMCは11月のテーパリング開始の可能性を示唆、2022年中に1回、2023年には3回の利上げを予想する見解を示した。当面はまだ緩和的な状況が続くこと、不透明感のあった状況がひとまず解消されてイベントも通過したとしていったんドル高に振れた為替市場はドル安再燃となったが24日にはドル高がぶり返す等、米長期債利回り上昇が単純にドル高に直結していない状況だ。

米10年債利回りは23日未明に1.29%までいったん低下したところから1.43%へ急伸して8月4日以降の高値を更新、24日も1.46%まで続伸している。一方で英10年債利回りはFOMC直後の0.79%から24日には0.96%へ上昇して5月の0.92%を超えて年初来及び昨年7月以降の高値水準を更新している。世界的な物価上昇がまだ続き、英中銀もいずれ利上げへ向かうとの見方が強まる中で英10年債利回りの上昇が勢い付いているため、米長期債利回りの上昇によるドル買い圧力よりも英10年債利回り上昇によるポンド買い圧力が勝る局面もある。一方でドル円は日本の長期債利回りの動きが鈍いために日米金利差拡大によるドル買い円売りが勢い付いている。ポンド円としては米長期債利回り上昇局面でもポンド高と円安が重なる場面、ポンド安でも円安が支える場面もある状況だ。

テクニカルポイント 7月20日安値割れ回避からの連騰

9月21日安値で148.947円まで下げたところでは8月20日安値149.182円を割り込んだが、7月20日安値148.458円割れは回避した。今年3月に150円台に到達して以降、主要な安値は3月24日の148.529円、4月23日の149.070円、7月20日及び8月20日の安値であり、いずれも150円割れを切り返してきたが、今回もそれらと同様に150円割れから切り返してきている。

一方で5月27日以降の戻り高値は6月23日高値155.148円、7月29日高値153.434円、9月14日高値152.845円と切り下がってきた。9月14日高値を超えれば戻り高値切り下がりの抵抗線突破により7月29日高値を超えて5月27日高値へ迫る可能性も浮上すると思われる。しかし高値切り上げへ進めないうちは今回の反騰も戻り高値切り下がりに終わる可能性も残るところだ。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

9月21日安値から下げ渋りに入り23日夜から急伸しているため、現状は9月21日夜安値を底として上昇期に入ったが、24日夕高値151.466円で目先のピークを付けて上げ渋りに入っている印象だ。24日夜安値を割り込む場合は27日の日中から28日夜にかけての間への安値試しへ向かうとみるが、24日夕高値を超える場合は21日夜安値から3日目となる24日夜安値で目先の底を付けて新たな上昇期に入るとみて29日午後から10月1日夕にかけての間への上昇が想定される。

60分足の一目均衡表では9月24日夕高値からの上げ渋りで遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンを上抜いた状況は維持されている。このため先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転からさらに高値試しが続くとみるが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は24日夜の下落で50ポイント割れまで下げてからは50ポイント台での横ばいとなっている。45ポイント割れからはさらに下げるとみて30ポイント前後を試す流れとみるが、65ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台中盤を目指す流れとみる。

9月27日の売買戦略

9月23日からの反騰一服の持ち合いとし、高値更新からは強気も勢い付くとみて9月14日高値152.845円を目指す上昇期に入ると仮定して押し目買い有利と考える。9月14日高値以上は反落警戒、利食い優先と考える。24日夜安値割れから続落に入る場合はいったん調整安に入るといて150.50円、次いで150.00円を試す流れと仮定して戻り売り有利の状況と考える。

今週の米英欧の注目指標

  • ユーロ圏
  • 20:45 ラガルドECB総裁、欧州議会出席
  • 米国
  • 21:30 8月 耐久財受注 前月比 (7月 -0.1%、予想 0.6%)
  • 21:30 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 0.7%、予想 0.5%)
  • 22:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
  • 25:15 ブレイナードFRB理事、講演
  • 英国
  • 27:00 ベイリー英中銀総裁、講演
  • 9/28(火)
  • ユーロ圏
  • ECBフォーラム(9/29まで、オンライン)
  • 21:00 ラガルドECB総裁、デギンドスECB総副裁、シュナーベルECB理事、ECBフォーラム
  • 英国
  • 21:50 マン英中銀委員、講演
  • 米国
  • 22:00 7月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (6月 1.6%、予想 1.5%)
  • 22:00 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (6月 19.1%、予想 20.0%)
  • 23:00 9月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (8月 113.8、予想 115.0)
  • 23:00 パウエルFRB議長、イエレン財務長官、上院銀行委員会出席
  • 9/29(水)
  • 英国
  • 17:30 8月 消費者信用残高 (7月 -0.4億ポンド、予想 3億ポンド)
  • 17:30 8月 マネーサプライM4 前年同月比 (7月 6.0%)
  • 24:45 ベイリー英中銀総裁、黒田日銀総裁、ラガルドECB総裁、パウエルFRB議長、パネル討論会
  • 米国
  • 23:00 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 -1.8%)
  • 23:00 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -9.5%)
  • 27:00 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
  • 9/30(木)
  • 英国
  • 15:00 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 4.8%、予想 4.8%)
  • 15:00 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 22.2%、予想 22.2%)
  • 15:00 4-6月期 経常収支 (1-3月 -128億ポンド、予想 -157億ポンド)
  • ドイツ
  • 16:55 9月 失業者数 前月比 (8月 -5.30万人、予想 -3.50万人)
  • 16:55 9月 失業率 (8月 5.5%、予想 5.5%)
  • ユーロ圏
  • 18:00 8月 失業率 (7月 7.6%、予想 7.5%)
  • 米国
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 35.1万件、予想 32.5万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 284.5万人、予想 281.5万人)
  • 21:30 4-6月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 6.6%、予想 6.7%)
  • 22:45 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 66.8、予想 65.0)
  • 23:00 米下院、FRBと財務省の新型コロナに関する公聴会
  • 10/1(金)
  • 休場 香港(国慶節) 中国(国慶節 10/7まで)
  • ドイツ
  • 16:55 9月 製造業PMI改定値 (速報 58.5)
  • ユーロ圏
  • 17:00 9月 製造業PMI改定値 (速報 58.7)
  • 18:00 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 3.0%)
  • 18:00 9月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (8月 1.6%)
  • 英国
  • 17:30 9月 製造業PMI改定値 (速報 56.3)
  • 米国
  • 21:30 8月 個人消費支出(PCE) 前月比 (7月 0.3%、予想 0.6%)
  • 21:30 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 4.2%)
  • 21:30 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 3.6%、予想 3.6%)
  • 23:00 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.0、予想 71.0)
  • 23:00 9月 ISM製造業景況指数 (8月 59.9、予想 59.5)