中央銀行の金融政策の違いが注目材料【YEN蔵のFX相場分析】

中央銀行の金融政策の違いが注目材料【YEN蔵のFX相場分析】

こんにちは。YEN蔵です。

今週の為替相場予測です。

今週(7月12日週)の振り返り

今週は米国のCPI(消費者物価指数)、パウエルFRB議長の議会証言と米国の金融政策を左右するイベントがありました。

13日に発表された6月の米国のCPIは前年比で5.4%と5月の5%から物価の上昇が加速しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比で4.5%とこちらも5月の3.8%から上昇が加速しました。

数字をうけてドルの強さを示すドルインデックスは92.829と週の高値まで上昇しました。ドル上昇の流れでドル円は110.70まで上昇、ユーロドルは1.1775まで下落しました。

しかし14日に行われたパウエルFRB議長による議会証言では、インフレの上昇は一過性、金融政策が依然かなり緩和的であることは適切、量的緩和縮小などの支援策の解除は景気回復が完了するまでと発言しました。ハト派的な姿勢が再確認されて、ドルは下落しドルインデックスは92.30付近まで下落し、ドル円は109.70まで下落、ユーロドルは1.1850まで上昇しました。

しかしドルインデックスは再び92.60付近まで上昇し、ドル円は110円付近、ユーロドルは1.1810付近で推移しています。

各国中央銀行の動きに注意

コロナの感染拡大からワクチン接種が進み世界経済が回復の過程にあります。その中で世界の中央銀行はバラまきまくったお金をそろそろ回収することを考える時期に来ました。ただすべての国が十分に回復しているわけでなく、その回復のスピードは国によって異なります。

そうなると金融緩和をそろそろ縮小しようとする国の中央銀行と、まだまだ緩和を継続しようとする国の中央銀行で温度差が出てきて、そのことが為替の動きに大きな影響を与えます。

いま緩和を縮小し始めた中央銀行がカナダ中央銀行とニュージーランド中央銀行です。14日に行われたニュージーランド中央銀行の理事会では予想通り政策金利を据え置きましたが大規模資産買い入れによる資産購入を23日から停止するというサプライズな決定をしました。資産買い入れを停止することで市場は早ければ8月、遅くとも10月か11月に利上げをするのではないかという予想が出てニュージーランドドルは上昇しました。

資産の買い入れを縮小したカナダ

14日にカナダ中央銀行は予想通り政策金利を据え置きましたが、債券買い入れを30億カナダドルから20億カナダドルに縮小しました。カナダ中央銀行の資産買い入れ縮小はこれで3度目になり、この決定を受けてドルカナダは一時1.2427まで下落しドル売りカナダ買いになりました。

緩和縮小を決定した通貨は一時買われるが親分のドルの動きが注目

このように緩和を縮小し、利上げが近づいたと市場が考える国の通貨は一時上昇しますが、それが長続きしません。それは結局ドルの方向がどちらになるのかという一番重要なテーマの答えが見つからないからです。市場は消費者物価指数の上昇などでドルが上昇しますが、パウエルFRB議長が火消しに走りドルの上昇を抑えるというパターンが続いています。

いくらニュージーランドドルやカナダドルの上昇があっても、それを上回るドルの上昇が起こるとニュージーランドドルやカナダドルは対ドルで売られてしまいます。

パウエルFRB議長がのらりくらりという姿勢を続ける限りは、このようにすっきりしない相場が続きそうです。

注目通貨はオージーキウィ

先ほど書きましたがドルの方向性が定まらないので、個々の通貨の事情ではなかなか方向性がはっきりしないのが今のマーケットです。それならばドルを外して通貨の強弱を考えればいいのではないかという方針で注目したのがオージーキウィです。

オージーキウィというのは皆さまあまりなじみがないかもしれませんが、豪ドルとニュージーランドドルの交換比率です。この2か国は経済規模や金利差などから一定のレンジで動く傾向があります。

ここ1年は1.04~1.10のレンジ、2015年以降でも1~1.15のレンジでほぼ動いており、このレンジを大きく抜けることはいまのところ可能性が低いです。

しかしニュージーランドの利上げが近い中で、豪州は首都のシドニーがロックダウンし金融政策の変更はまだ先になりそうです。そうなるとオージー売り、ニュージーランド買いが続くのではないかという予想です。

オージーキウィは1オーストラリアドル=〇〇ニュージーランドドルの取引ですから、オージーの下落はレンジの下限の1.04方向に向かう流れになるということです。

オージーキウィは1.0750付近がレジスタンスになり1.06付近に下落しています。短期的には2月3日の安値1.0540、そこを抜けると昨年12月の安値1.0420付近への下落を予想します。

中央銀行の金融政策の違いが注目材料【YEN蔵のFX相場分析】

ただ短期的にはRSIなどオシレータ―系指標がが、例えばRSIは20.6%まで低下していますから反発を予想します。戻りの目途は、ここまでサポートされていた1.0650付近、そこを抜けると一目の雲などが手中する1.0720付近への反発を予想します。

中央銀行の金融政策の違いが注目材料【YEN蔵のFX相場分析】

短期的には1.0550~1.0750のレンジを予想し戻り売りのスタンスを考えます。

チャートはオージーキウィ、ドルインデックスの 日足、25、75,250日移動平均線、RSI、MACD、スローストキャスティックス、DMIです。

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