「相関」だけで勝てる!通貨ペアの相関に注目したトレード手法とは?

「相関」だけで勝てる!通貨ペアの相関に注目したトレード手法とは?

FXの分析要因は様々ですが、通貨ペアの持つ相関も見逃せないポイントの1つです。

FXにおける相関とは、簡単に言えば「ある通貨ペアが上昇すると、関連した通貨ペアも上昇する」といった傾向を指します。

傾向であるため絶対的な指標とは呼べませんが、知っているか・知らないかで優位性に差が生まれることも事実。

本記事では、通貨ペアの持つ相関について、概要だけでなくトレードで役立つ手法も併せて解説していきたいと思います。

通貨ペア相関の基本知識

リアルタイムで動く為替相場に振り回されないめには?

相関・逆相関とは

FXの世界では、ある通貨ペアに対し、連動して同じ値動きをすることを「相関」、逆の値動きをすることを「逆相関」と言います。

例えば、豪ドル円とNZドル円は相関関係にあるため似たようなチャートが形成され、ドル円とユーロドルは逆相関の関係にあるため、一方が上昇すればもう一方は下落する傾向にあります。

トレードの際には、流動性やスプレッドの安定性等を重視することが多いかと思いますが、それに加えてこの相関性を意識することで、さらに値動きを予想しやすくなるでしょう。

通貨ペアの相関を用いるメリット

通貨ペアの相関関係を把握するメリットを端的に言うと、「一つの通貨ペアの動きを見るだけで、それと相関・逆相関にある通貨ペアの動きを予想できる」ことです。

相関関係にある通貨ペアを把握しておくことで、その通貨だけでなく、金融市場全体の動きを即座に把握できるようになるため、トレードに際して優位性が生まれます。

例えば、ドル円が上昇した場合には、相関の強いユーロ円は上昇する傾向にあり、また逆相関にあたるユーロドルについては下落する、といった予想がチャートを見なくてもできるわけです。

もちろん、相関関係だけを売買の判断基準にするのはおすすめしませんが、相場の把握という意味では貴重な情報源になりますので、知識として持っておいて損はないでしょう。

強い相関を持つ通貨ペアの見つけ方

通貨ペアの相関の強さを調べる方法としては、「セントラル短資:通貨ペアの相関係数」あるいは「OANDA:相関性チェックツール」等のサイトがおすすめです。

特におすすめなのが「セントラル短資:通貨ペアの相関係数(上画像)」で、口座開設不要で誰でも利用可能。

各通貨ペアの相関係数を一瞬にして調べ上げることができますので、口座内ポートフォリオのリスク分散(後述)に大いに役立つでしょう。

押さえておくべき通貨ペアの相関が強い組み合わせ

ここからは、相関の強い通貨ペアの組み合わせについて紹介していきます。

なぜ、相関の強い通貨ペアの組み合わせを覚えておくべきなのか、それはリスクヘッジ(詳細は後述)のためです。

口座内を含み損で圧迫させないよう、ぜひ以下の組み合わせを覚えておきましょう。

豪ドル円&ニュージードル円

豪ドル円とニュージードル円は、強い相関を持つことで有名です。

相関が強い理由:

経済の連動性が高いから → オーストラリアもニュージーランドも同じ立地条件を有しており、日本で言えば本州と沖縄のようなもの。

また輸出相手も中国が筆頭で、どちらも中国の動向に大きく影響を受ける。

 

以下のチャートは、豪ドル円とニュージードル円(橙色)のチャートですが、同じタイミングで上下していることが分かります。

ほぼ連動するこれらの通貨は、通貨ペアになるとどのような値動きになるのか、以下のチャートをご覧ください。

2015年以降のAUD/NZDのチャートの値動きは、ほぼ横ばいとなっており、誰が見ても明らかなレンジ相場となっています。

そのため、自動売買と相性の良い通貨ペアとされ、今後もこの値動きは続いていくでしょう。

ユーロ円&ポーランドズロチ円

ユーロ円とポーランドズロチ円もまた、強い相関を持つことで知られており、その特性を活かしたスワップポイント運用も存在しています。

相関が強い理由:

ポーランドもEU加盟国であるから →ポーランドもまたユーロの加盟国ですが、ユーロではなく自国通貨ズロチを使用しています。

また、ポーランドの貿易相手の大部分はユーロ圏となっているため、経済的にも影響を受けやすい。

以下のチャートは、ユーロ円とズロチ円(橙色)のチャートですが、やはり同じタイミングで上下していることが分かります。

通貨同士の相関が強いため、同じタイミングで上昇あるいは下落するため、これらの通貨ペアを同時に保有するのはおすすめできません。

大体ユーロ円の1/4の価格がズロチと匹敵するため、ズロチはミニユーロ的な認識を持っておくと良いでしょう。

ドル円&ユーロドル

ドル円とユーロドルは、逆相関が強いことで知られています。

そのため、ドル円が上昇すればユーロドルは下落、その逆も然りです。

逆相関が強い理由:

基軸通貨「米ドル」の影響が強いから →米ドルは基軸通貨であり、為替相場に大きな影響力を持っています。

そのため、米ドルにとってプラスの材料が出ればドル円チャートは上昇し、ユーロドルチャートは下落することになります。

為替においてユーロもまた大きな存在ですが、米ドルほどではないため、ドル円とユーロドルに逆相関が成り立つというわけです。

以下のチャートは、ドル円とユーロドル(橙色)のチャートですが、分かりやすく反対方向に推移していることが分かります。

これらの通貨ペアは別々の方向に推移していくため、同時に保有したとしても口座内の通貨は偏りません。

たとえば、ドル円とユーロドルを同時にロングした場合、どちらかは含み益、もう一方が含み損となる可能性が高いです。

特にトレンドが発生した際は、分かりやすく鏡写しのチャートとなるため、エントリーする際の判断材料にすると良いでしょう。

通貨ペアの相関を活用したトレード手法

手法1:為替変動リスクの排除

相関の強い通貨ペア同士を両建てすることで、為替変動のリスクを排除した上で、スワップポイントだけ賢く受け取ることができます。

その一例として挙げられるのが、ポーランドズロチ円とユーロ円です。

ポーランドはEU加盟国でありながら、自国通貨としてズロチを採用しており、ユーロと強い相関を持つことで知られています。

チャートを比較して分かる通り、非常に似通った値動きを見せており、ズロチ円をちょうど4.7倍した価格が、ユーロ円に匹敵するという具合です。

つまり「ズロチ円:4.7ロット(買)」に対して「ユーロ円:1ロット(売)」をそれぞれ保有することで、異なる通貨ペアでありながら両建てが完成します。

また両国の政策金利には大きな違いがあり、ポーランドズロチ:6.75%、ユーロ:2.00%。

ズロチ円の買いスワップを狙ってポジションを保有した際は、円高に傾いた際に、為替差益で大きなマイナスを被るかもしれません。

しかし、ズロチ円4.7ロットに対してユーロ1ロットのバランスで両建てすることで、為替差益はそのままに、スワップポイントだけ安定して受け取れるというわけです。

手法2:相関が生み出すレンジを活用

豪ドル・NZドルを一括りにしてオセアニア通貨と呼び、これらの通貨もまた強い相関を持つことで知られています。

例えば、豪ドル円とNZドル円の相関係数は「0.86」、チャート上で見ても際立って連動性が高い様子が読み取れるでしょう。

またAND/NZDのように、相関が強いもの同士で構成される通貨ペアのチャートは、「横ばい」「レンジ相場」になりやすいといった傾向があります。

実際2014年以降のAND/NZDチャートは1.0000〜1.1500の区間を推移しており、このレンジ内であれば今が安値圏なのか高値圏なのか、容易に判断できるようになります。

レンジを活用した勝ち方はこちらの記事を参考にしていただくとして、本節では「相関が強いもの同士で構成される通貨ペア = レンジ相場を作りやすい」ということを覚えておきましょう!

手法3:保有ポジションのリスク分散

トレード時において「運用する通貨ペアを偏らせない」という意識は非常に重要です。

例えば豪ドル円をメインに運用するトレーダーが居たとして、リスクヘッジを目的として新たにNZドルを運用に加えるのは適切と言えるでしょうか?

前節で紹介したチャートから分かる通り、豪ドル円とNZドル円は非常に強い相関を持ちますが、言い換えれば上昇も下落も同じタイミングで起こるということです。

豪ドル円、NZドル円どちらもロングポジションを保有していれば、上チャートの赤丸で囲ったタイミングにおいて、含み損が一気に加速することになります。

ゆえに相関が強い通貨ペア同士を運用してもリスクヘッジにはならず、これを避けるためには、やはり通貨ペアの持つ相関関係に精通しておく必要があるということです。

FXトレードで通貨相関を扱う際の注意点

ここまで、通貨相関を用いたトレードの手法や特徴について解説してきましたが、いくつか押さえておくべき注意点も存在します。

いきなり実践に入る前に、以下の注意点を踏まえるようにしてください。

注意点1:相関は変動し得る

上述した通貨ペア同士の持つ相関は、絶対的なものではありません

あくまでも傾向の1つであり、ちょっとしたきっかけで大きく崩れるリスクも考慮しておく必要があります。

そのため、通貨相関を過信しすぎないよう、ある程度の余力を持たせた運用を心がけて下さい。

注意点2:スプレッドの広がりは通貨ペアごとに異なる

通貨の相関を利用した「異通貨の両建て(上の手法1)」は、スプレッドの広がりに注意してください。

強い相関が保たれていれば、含み損と含み益は大体同じくらいの数値となり相殺されますが、相場急変時には大きくスプレッドが広がり、含み損の方のみ突出するリスクがあります。

含み益と含み損の均衡が崩れてしまえば、レバレッジの効かせ具合によっては強制ロスカットされることも考えられるでしょう。

初心者FXトレーダーが「通貨相関」を取り入れるなら?知っておくべきポイント3選

FXの経験が浅い人にとっては、いきなり通貨相関を意識したトレードは難しいかもしれません。

そこで、まずは以下に挙げる3つのポイントから、通貨相関の特長を捉えてみてはいかがでしょうか。

ポイント1:「クロス円」の枠組みを捉える

USD/JPYやEUR/JPYなど、クロス円の通貨ペアは相関が強く、同じタイミングで上昇・下落するということを覚えておきましょう。

例えば、以下の4つの通貨ペア「USD/JPY」「EUR/JPY」「AUD/JPY」「GBP/JPY」は、円安相場のためチャートの形状が右肩上がりに推移していることが分かります。

この特徴を覚えておくことで、複数の通貨ペア(クロス円)を同じ方向(買・売)でポジションを持つのはリスクがある、という認識が芽生えるでしょう。

なぜなら、下落した1つの通貨ペアで含み損を抱えるということは、その他の通貨ペアにおいても同じ状況で、含み損を抱える構造になっているからです。

ポイント2:トレードする通貨ペアは絞ること

以下の3点を意識して、トレードする通貨ペアを絞り込んでいきましょう。

  1. クロス円の通貨ペアは1種類まで
  2. クロスドルの通貨ペアは1種類まで
  3. 1&2以外の通貨ペアは1種類まで

これらを踏まえて通貨ペアを選定することで、口座内の通貨ペアは相関の弱い者同士が混在することになり、含み益・含み損を抱えるタイミングを各々分散させることができます。

初心者が運用するべき通貨ペアとは?難易度・特徴についてまとめて解説! 初心者が運用するべき通貨ペアとは?難易度・特徴についてまとめて解説!

ポイント3:各通貨ペアの動きは「地域」で覚える

通貨ペア同士がどれくらい相関を持つのか、厳密に覚える必要はありません

おすすめの覚え方としては、「同じ地域同士の通貨は相関が強い」といった感じで、ざっくりと頭に入れておくことです。

たとえば、オセアニア地域の豪ドルとNZドル、ヨーロッパ地域のユーロと英ポンドとポーランドズロチ、北アメリカの米ドル・カナダドル・メキシコペソなど、同じ地域に属する通貨ペア同士は、ほぼ間違いなく強い相関が認められます。

そのため、まずは各通貨ペアの動きを「地域」で一括りにして覚えると良いでしょう。

まとめ:通貨ペアの相関関係もトレード根拠の1つ!

本記事では、通貨ペアの相関関係について解説しました。

通貨ペアにおける相関とは、通貨ペア同士の結びつきの強さのことであり、簡単に言えば値動きの連動具合です。

豪ドルが好調であればNZドルも好調、そしてその逆も然り。

こういった通貨ペアの相関の基本を押さえておくことで、より有利な立ち回りが出来たり、不用意なエントリーを避けることができますので、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。

以上、参考にしていただければ幸いです。