FXで勝てない原因の大部分は、リスク管理が疎かになっているからです。
そもそもリスクとは「不確実性」のことであり、損切りやレバレッジを抑えることだけがリスク管理ではありません。
この後の相場がどのように変動しようとも生き残れる、そう事前に仕込みを入れる作業こそが真のリスク管理となります。
本記事では、FX初心者に向けて早期から徹底したいリスク管理のポイントについて解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
FXにおけるリスク管理の重要性について
リスク管理は欲望との戦い
例えば、ある瞬間から1つのポジションを保有したとして、そのポジションがその後一度も含み益を抱えない…という可能性は極めて低いでしょう。
チャート上の値動きはランダムウォーク性を帯びており、小刻みに振動していく中で、いつかはどこかのタイミングでプラ転するはずです。
しかし、そのプラ転する瞬間を待てるという人は少なく、だからこそ多くの人がFXで稼げておりません。
プラ転を待てないのは、レバレッジを掛けすぎたり、含み損に耐えきれなくなり、ロスカットを余儀なくされるからです。
極論いってしまえば、欲をかかずリスクを最大限まで抑えることができれば、全てのトレードで勝ちを取りに行けるでしょう。
FXの攻めと守り
FXを「攻め」と「守り」に分けて考えてみましょう。
攻めとは稼ぐための動き、レバレッジであったりトレード手法等が挙げられますが、多くの人がFXで稼ぐことを目的としているため、攻めに関して積極的にアプローチを行うはずです。
一方守りとは、資金を守ったり相場で生き残るためのテクニック、時には身銭を切る必要もあるため、蔑ろにされる傾向があります。
ただFXにおいて攻めと守りのバランスは半々ではなく、1:9あるいは2:8ほど、それ程までに守りを重視していかねばなりません。
そして守りを固める方法というのが、次節より解説するリスク管理のポイントになります。
FXにおけるリスク管理のポイント
よく言われるFXのリスク管理については、以下の項目が挙げられます。
「ルールを守って適切に損切りしていきましょう」
「レバレッジは極力抑えましょう」
「読めない展開でのエントリーは控えましょう」
これらについては、多くのサイトや書籍で語られている通り、確かに重要です。
ただ初心者の方が本当に知りたいのは、これらを深掘りしたより具体的なノウハウやテクニックではないでしょうか。
そこで本節では、再現性高くリスク管理できるよう5つのポイントについて紹介していきます。
ポイント1:分割エントリー
1回のエントリーに勝敗を委ねてはなりません。
1ロットのエントリーであるならば、0.3ロットを3回に分けるなど、1つのエントリーの比重を減らしていくことをおすすめします。
分割エントリーのメリットは、主に以下の2つ。
まず挙げられるのは、精神的にかかるプレッシャーを軽減できること。レバレッジに余裕が持てるようになり、より冷静な状態でトレードを続けられるでしょう。
2つ目は、含み損リスクの低減です。単発のエントリーでは含み損が大きくなるものの、エントリーを分割することで、含み損を平滑化することができます。
ポイント2:逆指値の徹底
逆指値は、毎回のエントリー時に設定することを忘れないでください。
なぜならFXでは、たった数十分で数千pips変動する相場も起こり得るため、仮に睡眠中にそういった事態が起きると、口座内のポジションは大変なことになります。
どれだけ損切りを徹底できる人でも、24時間をチャートを監視し続けることは不可能です。
そのため不足の事態に対応できるよう、逆指値を設定してリスク管理に努めなければなりません。

ポイント3:2%ルール
トレード1回あたりの許容損失額としては、口座資金の2%前後がおすすめです。
これには明確な理由があり、トレード1回あたりで大きく損失を出してしまうと、その後の復帰が難しくなるからです。
例えば100万円の資金があるとして、2%ルールにより損切りして98万円の資金が残ったとすれば、残金の2.0〜2.5%の利益を取れれば最初の元金に戻すことができます。
一方で、100万円から一気に90万円まで減ってしまうと、取り戻すためには10%以上の利益を取らなければならず、これは容易ではありません。
長期的に相場に生き残り、利益を積み上げていくためには、トレード1回の損失額の上限を設定し、大きな損切りのプレッシャーを除くことが重要となります。
適正ロットの把握
1回のトレードで致命的な損失を出さないためにも、口座資金に対する適正ロットは必ず把握しておかねばなりません。
以下の計算式をもとに、トレード時には毎回適正ロットを算出しておきましょう。
適正Lot:1トレードあたりの許容損失 < 証拠金(口座資金)の1 〜 2%
仮に口座内の証拠金が100万円だとすれば、1トレードあたりの損失額は1〜2万円以内ということになります。
そこで許容損失pips(想定される最大損失)が100pipsだとすると、適正は1.0〜2.0Lotになるというわけです。
ポジション偏りのリスク
得意の通貨ペアを定めてトレードすることは、非常に重要です。
しかし、通貨ペアを固定してしまうと、ポジションが偏るリスクが生じます。
例えば、ユーロ円ばかり集中してトレードしたとして、ユーロ圏の情勢が悪くなれば、ポジション画面は含み損で埋め尽くされるでしょう。
そのため、メインで扱う通貨ペアは分散させることが重要であり、「すくみ」が成り立つバランスの良いポートフォリオとなれば、口座の堅さも高まります。
「すくみ」については次節より詳しく解説していきますので、そちらを参考にしていただけると幸いです。
FXにおける「すくみ」とは
ポジションのリスク管理を行うためには、「すくみ」の考え方を理解しておかねばなりません。
FXにおける「すくみ」とは、異なる通貨ペアをそれぞれ保有することで、口座内のバランスを保ちつつ利益を上げる手法です。
一例として、下図のように3つの通貨ペアをそれぞれ保有することを考えてみましょう。
この状況で米ドルが10%上昇した場合、「米ドル/円は10%上昇」「ユーロ/米ドルは10%下落」「ユーロ/円は変わらず」という結果になります。
ユーロが10%上がった状況でも、円が10%上がった状況でも同じことが考えられるため、口座内の均衡は常に保たれるでしょう。
そこで含み益が出ているポジションだけを決済して、含み損に対してはレートが戻るのを待つ、というのが「すくみ」を利用した運用手法です。
「すくみ」を利用することで、口座全体の抱える含み損リスクを大きく低減できるようになりますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
まとめ:リスク管理を徹底しよう!
本記事では、FXにおけるリスク管理のポイントについて解説しました。
FXで長く生き残るためには、リスクに対して敏感になり、些細なことでも徹底していかねばなりません。
「攻め」よりも「守り」、「利益」よりも「生き残る」ことを最優先に考え、日々のトレードで経験を積み上げていきましょう。
以上、参考にしていただければ幸いです。