ポンド円 ポンドドルが一段安、円安に支えられるもポンド円の上値重い

ポンド円 ポンドドルが一段安、円安に支えられるもポンド円の上値重い

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月11日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月10日終値は152.660円、前日比0.391円安と下落した。取引レンジは153.749円からから152.575円。

11月4日夜の英中銀MPCが利上げを見送りをきっかけとして急落した後は153円を割り込むところは買い戻されて153円台前半を中心とした持ち合いにとどまっていた。

11月10日夜の米10月消費者物価上昇率が予想を大幅に超えたことで米長期債利回りが急上昇してドル全面高となる中、ポンド円はドル円の急伸により深夜高値153.749円までいったん反騰したもののポンドドルの急落に圧されて11日早朝には152.575円へ下落して8日朝安値を割り込み10月20日高値158.219円以降の安値を更新した。

注目材料、ドル全面高でポンドドルは9月29日安値を割り込み6月1日以降の安値更新

米労働省が11月10日夜に発表した10月の米消費者物価指数が前月比0.9%上昇で9月の0.4%から大幅に加速、前年同月比は6.2%上昇となり9月の5.4%を超えて1990年11月以来31年ぶりの伸び率となった。コア指数の前月比も0.6%上昇で9月の0.2%から大幅に加速して前年同月比は4.6%上昇で1991年8月以来30年ぶりの伸び率となった。

市場予想を大幅に超える上昇率となったことで米連銀の「利上げを急がない」姿勢に対して利上げ催促的な市場心理となり米長期債利回りが急伸、英10年債利回りも上昇したものの米長期債利回り上昇によるドル全面高の流れが優勢となってポンドドルが急落した。

ポンドドルは11日早朝には11月5日夜安値1.3424ドルを割り込んで1.33ドル台に入り、10月20日高値1.3833ドル以降の安値を更新したが、9月29日安値1.34120ドルも割り込んでおり、今年6月1日に付けた昨年3月以降の最高値1.4249ドル以降の最安値更新となった。底割れにより先安感が増している。

注目材料 今晩は英GDP発表あり

11月11日は米国市場がベテランズデーで祝日となり株式と商品市場以外は休場となるので、深夜以降の為替市場は米国勢抜きで閑散となりやすいが、夕刻には英国の7-9月期GDP速報値の発表など英国指標の発表が集中する。

7-9月期の英GDP速報値に対する市場の事前予想では、前月比が4-6月期の5.5%増から1.5%増へと鈍化、前年同期比が4-6月期の23.6%増から6.8%増へと鈍化すると見込まれている。前年同期比が4-6月期から鈍化するのは当然ながら、7-9月期が予想を下回るようだと物価上昇や感染拡大が止まない状況下では景気回復の腰折れ不安も出やすいところだ。9月の鉱工業生産や製造業生産の発表もあるが、いずれも8月からの鈍化予想となっている。

ポンドドルが6月以降の安値を更新するところまで下げている状況のため、予想を下回る場合はポンド安へ反応しやすいと注意したい。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

11月4日夜の急落で2日夕安値を割り込んで一段安となったが、11月8日朝安値の後はやや戻して153円を挟んだ揉み合いとなっていたため、10日午前時点では11月8日朝安値で目先の底を付けたものの戻しきれない状況とした。

11月10日深夜にいったん戻してからこの間の安値を更新しているため、現状は11月10日深夜高値を起点として新たな下落期に入ったと思われる。安値形成期は11日朝から15日朝にかけての間と想定するが、長引く可能性もあると注意し、強気転換は10日深夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では10日夜の上昇で遅行スパンがいったん好転したもののその後の反落で悪化し、先行スパンに対してもいったん上抜けてから再び転落している。まだ153円を挟んでの揉み合いの範囲でもあるので、10日深夜高値を超えないうちは一段安警戒とし、先行スパンから転落しているうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は10日夜高値超えからとしその際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月10日夜に70ポイント手前へ上昇してから30ポイント台へいったん低下した。その後はやや持ち直しているものの、この間の安値を更新した後のため60ポイントを超えないうちは一段安警戒とし、再び40ポイントを割り込むところからは下げ再開として20ポイント割れを目指すとみる。

11月11日の売買戦略

ドル全面高の中でドル円の急伸とポンドドルの一段安が交錯する状況にあり、円安とポンド安のタイミングのずれないしはそれぞれのリバウンドのずれによっては10日深夜高値を超える可能性も一段安へと下げが加速する可能性もあるところとみるが、基調は安値更新からさらに一段安へ進みやすいところと考えて戻り売り有利の情勢とみる。

153.00円から153.50円手前は戻り売りゾーンとし、安値更新からは152円試しとし、下げ足が速まる場合は151円台中盤(151.70円から151.30円)を目指すとみる。10日深夜高値153.749円を超える場合は154円に迫るとみるがそこも戻り売りされやすいとみる。

11月11日本日の主な予定

  • 休場、米国(ベテランズデー、政府・為替・債券は休場、株式・商品は通常取引)
  • 休場、カナダ(戦没者追悼日、株式通常取引、商品、債券休場))
  • 英国
  • 16:00 9月 月次GDP 前月比 (8月 0.4%、予想 0.4%)
  • 16:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 5.5%、予想 1.5%)
  • 16:00 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 23.6%、予想 6.8%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.8%、予想 0.2%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.7%、予想 3.1%)
  • 16:00 9月 製造業生産指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.2%)
  • 16:00 9月 貿易収支・物品 (8月 -149.27億ポンド、予想 -143.00億ポンド)
  • 16:00 9月 貿易収支・全体 (8月 -37.16億ポンド、予想 -32.560億ポンド)