豪ドル円 豪ドル米ドルが急落するも豪ドル円は円安に支えられる

豪ドル円 豪ドル米ドルが急落するも豪ドル円は円安に支えられる

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月11日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月10日終値は83.448円、前日比0.152円高と小幅上昇した。取引レンジは83.952円から82.999円。

11月10日夜の米10月消費者物価上昇率が予想を大幅に超えたことでインフレ進行懸念が拡大して米長期債利回りが急伸、為替市場はドル全面高の様相となり豪ドル米ドルは10月28日高値以降の安値を更新する一段安となったが、一方ではドル全面高によりドル円が急伸して11日未明には114円に到達、当日安値で113円を割り込んでいたところから1円を超える上昇規模となたことで豪ドル円は豪ドル米ドルの下落に圧迫されつつも円安に支えられて10日午後安値82.999円から10日深夜高値83.952円まで反発した。しかし84円に届かず、ドル円の急伸が一服する中で豪ドル米ドルの下落継続により豪ドル円は深夜から反落して上値の重い状況となっている。

注目材料、米消費者物価上昇率が31年ぶりの高水準へ跳ね上がる

米労働省が発表した10月の消費者物価指数は前月比0.9%上昇で9月の0.4%及び市場予想の0.6%を大きく上回った。前年同月比は6.2%の上昇で9月の5.4%及び市場予想の5.8%を大きく上回り1990年11月以来31年ぶりの高水準となった。エネルギーと食料品を除いたコア指数でも前月比が0.6%上昇で9月の0.2%及び市場予想の0.4%を超え、前年同月比では4.6%上昇となって9月の4.0%と市場予想の4.3%を上回り1991年8月以来30年ぶりの高水準に達した。

米連銀等は物価上昇を意識しつつもパンデミックからの景気回復途中におけるサプライチェーンのボトルネックによる「一時的なもの」として早晩収まるとの予想で利上げを急がない姿勢を強調してきた。豪中銀等も同様で11月2日の理事会ではYCCによる長期金利上昇抑制政策をやめたものの利上げはまだ先とした。しかし米国の物価上昇率が跳ね上がったことで米長期債利回りは利上げ催促的に急伸、豪長期債利回りも連れて上昇したが米長期債利回り上昇によるドル全面高の勢いが勝ったことで豪ドル米ドルが急落、ドル円が急上昇したことで豪ドル円は支えられているものの上値を抑えられている。

注目材料 豪雇用統計で予想以上に失業率が悪化

オーストラリア統計局が11月11日午前に発表した10月の豪雇用統計では、失業率が5.2%となり9月の4.6%から大幅に悪化、市場予想の4.8%を上回った。シドニーの長期ロックダウンは10月半ばから解除されたもののまだ影響が残ったようだ。またロックダウン解除へ向けて求職者が増えたことで失業率が上昇した側面もあると思われる。

労働参加率は64.7%で9月の64.5%から若干上昇したが市場予想の64.9%には届かず。
就業者数は市場予想が5万人増だったが前月比4万6300人減少した。フルタイムは4万400人減少の894万1200人、パートタイムは5900人減少の389万4000人となった。

地域別の失業率では、ニューサウスウェールズ州が5.4%、ビクトリア州が5.6%、クイーンズランド州が5.1%、南オーストラリア州が5.3%、西オーストラリア州が3.9%、タスマニア州が5.1%。北部準州が3.9%、キャンベラを含む豪首都特別地域(ACT)は6.6%。と都市部の悪化が目立った。

豪雇用統計発表後に豪ドル米ドルは一段安となっている。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は11月4日の急落から84円を挟んだ持ち合いに入っていたが、9日に持ち合いを下放れしたために11月8日朝安値を底割れしたことによる下落期入りとしていた。

11月10日午後安値から深夜へいったん反発しているため、現状は10日午後安値で目先の底を付けて戻したが、既に10日深夜高値でピークアウトして下落に転じ始めているところと思われる。このため、10日深夜高値を超える場合は11日午後から15日午後にかけての間へ高値を切り上げる可能性があるものの、83.50円以下での推移中は下向きとして10日午後安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして15日午後から17日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンからもいったん上抜けたが、その後の反落で先行スパンから転落しつつあり、遅行スパンも悪化しやすい状況にある。このため遅行スパン好転中は上昇再開余地ありとするが、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10日夜の反騰時に70ポイントに到達したがその後の反落で50ポイント割れまで低下しているので既に戻りが一巡している可能性がある。60ポイント超えからは上昇再開の可能性があるとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台前半への低下へ向かうとみる。

11月11日の売買戦略

ドル円が急伸したが豪ドル米ドルの下落も厳しくなっているため、円安要因で上昇するところは戻り売りにつかまりやすいとみる。豪ドル米ドルの下落基調が続くうちは戻り売り有利の展開と考える。

83.70円から84円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。83.50円以下での推移中は下向きとし、83円割れからは82.50円、82.00円を順次試す流れとみる。

11月11日の主な予定

  • 休場、米国(ベテランズデー、政府・為替・債券は休場、株式・商品は通常取引)
  • 休場、カナダ(戦没者追悼日、株式通常取引、商品、債券休場))
  • オーストラリア
  • 09:30 10月 新規雇用者数 (9月 -13.80万人、予想 5.00万人、結果 -4.63万人)
  • 09:30 10月 失業率 (9月 4.6%、予想 4.8%、結果 5.2%)
  • 英国
  • 16:00 9月 月次GDP 前月比 (8月 0.4%、予想 0.4%)
  • 16:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 5.5%、予想 1.5%)
  • 16:00 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 23.6%、予想 6.8%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.8%、予想 0.2%)
  • 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.7%、予想 3.1%)
  • 16:00 9月 製造業生産指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.2%)
  • 16:00 9月 貿易収支・物品 (8月 -149.27億ポンド、予想 -143.00億ポンド)
  • 16:00 9月 貿易収支・全体 (8月 -37.16億ポンド、予想 -32.560億ポンド)
豪ドル見通し5年後 豪ドルの5年後見通しは?100円超えの可能性や相場分析から見る買い時とは【2022年最新】