豪ドル円 6日連続陽線、86円台序盤に抵抗感、豪中銀政策発表待ち

豪ドル円 6日連続陽線、86円台序盤に抵抗感、豪中銀政策発表待ち

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月2日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月1日終値は85.732円、前日比0.017円高とわずかに続伸した。取引レンジは86.054円から85.608円。

9月22日安値78.837円を起点として大上昇に入り、9月3日高値を超えて二段上げ型へ発展、さらに10月21日高値86.248円で5月10日高値85.795円を上抜いて昨年3月コロナショック以降の最高値を更新してきた。上昇一服で10月23日未明安値84.603円まで下げたものの、10月25日からは6日連続の日足陽線で持ち直している。

10月27日高値86.052円、11月1日高値86.054円と二度、86円台に到達したが、11月2日午後の豪中銀金融政策発表前ということで10月21日高値を超えて一段高に入るには時期尚早としてやや上値が重くなっているものの、豪中銀が従来よりもタカ派的になるのではないかとの思惑で安値は買い拾われて徐々に切り上がっている状況だ。

注目材料 3年債の買いオペを3日続けて見送る、豪中銀は利上げ準備姿勢を示すか

11月2日の12時半に豪中銀は金融政策を発表する。市場の事前予想では、政策金利を現状の0.10%で据え置くと見られるが、YCC(イールドカーブコントロールによる長期金利抑制)の対象となる対象銘柄を2024年4月償還よりも早いものに変更するか、YCCそのものを止めるのか注目される。またロウ中銀総裁は2024年までは利上げしないとして長期的な金融緩和による景気刺激を続ける姿勢を繰り返し強調してきたが、世界的な物価上昇とオーストラリアでのロックダウン解除による年後半への景気回復期待及び住宅市況の過熱状態を踏まえて利上げ時期の前倒しを示唆する可能性がある。

債券先物市場では来年4月までには政策金利が現在の0.1%から0.25%へ引き上げられることが既に織り込まれており、3年債利回りは10月29日に1.25%へと大幅上昇して年初来高値を更新して2019年5月以来の高水準に達し、その後は中銀理事会を控えてやや下げているものの11月2日午前時点では1.07%近辺で確りしている。

豪中銀はYCC政策として3年債利回りの誘導目標を0.1%としてきたが、10月28日と29日の両日に2024年4月償還債の買い入れを見送った。11月1日も3日連続で見送っている。

注目材料、豪不動産市況は過熱、求人広告も回復

豪不動産コンサルティングのコアロジックが11月1日に発表した10月のオーストラリア住宅価格は前月比1.5%上昇で平均価格は68万6339豪ドルとなり10か月連続で過去最高を更新した。前月比は9月と同じだが、前年比は21.6%の大幅上昇であり、1989年以来で最大となった。コロナ感染拡大により地方への引っ越し需要が増えていることと不動産価格上昇による投資拡大で過熱している。シドニーの価格中央値は101万豪ドル(凡そ75万8914米ドル)まで跳ね上がっている。

豪中銀は住宅市況の過熱を抑制するための利上げは得策ではないとの姿勢を示してきたが、過熱への対処も求められるところだ。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が11月1日に発表した新聞とインターネットの10月求人広告件数(週平均)は前月比6.2%増の20万3428件となり9月のマイナス2.8%からは大幅な改善となった。ロックダウン明けにより今後もさらに拡大することが見込まれ、雇用回復も進むことは豪中銀にとっては金融引き締めへ舵を切りやすい材料といえる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月23日未明安値を起点として上昇基調に入り、10月27日午前高値から27日夜安値へいったん下げたところを新たな起点として上昇基調を継続している。

現状は10月27日夜安値と28日午前安値をダブルボトムとした上昇期とし、11月1日午前から3日午前にかけての間への上昇余地ありとしてきた。
11月2日午前に85.612円まで小反落してからやや持ち直しているので11月2日午前安値を起点として新たな上昇期に入る可能性も考えられる。豪中銀の金融政策への反応次第だが、弱気反応ないしはいったん上昇してから反落して85.50円割れへ急落の場合は1日深夜高値ないしは直前高値を起点とした下落期入りとして2日夕から4日午前にかけての間への下落を想定する。一段高へ進んで上昇基調を維持する場合は11月2日午前安値を起点とした上昇期入りとみて4日夜から8日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンを上抜いた状況を維持しているので先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は70ポイント手前から50ポイント弱の範囲内で推移している。60ポイント超えから続伸なら70ポイント台後半を目指すとみるが、45ポイント割れからは下げに入るとみて30ポイント割れを目指すと考える。

11月2日の売買戦略

昨年3月底からの上昇基調はなお継続中とし、豪中銀が従来よりややタカ派的な姿勢を示すと仮定して一段高へ進む場合は流れに乗るスタンスで構えたい。さほどタカ派的ではないか緩和継続姿勢を改めて強調するような場合は失望売りからの急落も警戒されるが、いずれは主要国中銀の全般的な傾向としての引き締め化へ同調してゆくとすれば、大きく突っ込んだところは買い場となるのではないかと考える。

10月21日高値86.248円を超えるところからは87円台を目指す流れとし、85.50円割れから失速する場合は85円前後試しとその後の反騰入りをイメージしたい。

11月2日の主な予定

  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
  • 12:30 豪中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
  • 12:30 豪中銀 3年債利回り誘導目標 (現行 2024年4月債、0.10%)
  • 12:30 豪中銀 債券購入規模 (現行 週40億豪ドル)
  • 14:50 デベル豪中銀副総裁、パネル討論会参加
  • 欧州
  • 17:55 10月 独製造業PMI改定値 (速報 58.2、予想 58.2)
  • 18:00 10月 欧製造業PMI改定値 (速報 58.5、予想 58.5)
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