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おはようございます。大塚亮です。
2021年11月8日の相場分析です。
目次
概況
ポンド円の11月5日終値は152.985円、前日比.568円安と下落した。取引レンジは153.780円から152.813円。11月4日夜の英中銀MPC(金融政策委員会)が政策金利と量的金融緩和の規模を現状維持としたことで利上げの可能性を予想していた市場にとっては失望としてポンド売りが加速、4日は午前高値156.244円から153.121円まで当日の高安で3円を超える急落となった。11月5日午前にやや戻したものの154円には届かず、11月5日夜の米10月雇用統計発表後はドル円が下落する一方でポンドドルが反発したものの強弱相殺で勢い付かず、153円を挟んだ弱持ち合いでの推移にとどまって週を終えた。
注目情勢 英10年債利回り大幅低下、英中銀の12月利上げ確率も低下
英中銀は11月4日のMPC(金融政策委員会)で政策金利を過去最低の0.1%で据え置き、パンデミック対策としての資産購入による量的緩和ついても現状の規模を維持するとした。市場は10月時点で11月と12月の2会合連続で利上げに踏み切るのではないかと予想して英長期債利回りは急ピッチで上昇してきた。しかし直前には中銀の利上げ姿勢が軟化しているとして利上げを回避して現状維持となるのではないかと見方も変わてきていた。現状維持決定を受けてポンドは急落した。
英中銀はインフレ進行度合いによっては「数か月以内に利上げの必要がある」とし、ベイリー英中銀総裁は早ければ次回の12月会合で利上げする可能性もあるとしたが、市場はしばらく様子見の現状維持が続くのではないかと受け止めて金利先物市場等に織り込まれる12月会合での利上げ確率はこれまでのほぼ100%だったところから60%程度に低下している。
英10年債利回りは2021年初頭の0.15%から上昇し、6月に0.92%へ上昇してから8月には0.48%へいったん大きく低下していた。しかし物価上昇による利上げ時期接近を意識して米長期債利回り等と共に上昇に入り、6月のピークを超えて一段高となっていた。しかし英中銀は市場の利上げ想定をやや先走った反応として諫める姿勢を示したことで流れも変わった印象だ。英10年債利回りは10月21日に1.22%まで上昇していたところから低下し始めていたが、11月4日に1.07%から0.92%へ急落、11月5日終了時点では0.85%まで大幅低下している。
10月28日のECB理事会、11月2日の豪中銀理事会、11月4日未明の米FOMC、4日夜の英中銀MPCと主要国中銀の金融政策決定会合が続いたが、米FOMCが量的緩和の縮小への舵取りをし始めたり豪中銀がYCCによる長期金利上昇抑制姿勢をやめたりしたものの、全体のトーンとしては「利上げは急がない」姿勢が強調された印象だ。暫くは次回会合へ向けた各国中銀の温度差を見定めながら為替市場も動くことになるのだろう。
中勢テクニカル、5月天井破りによる上昇再開できるか試す
ポンド円は昨年3月のコロナショック暴落で123.34円まで急落したところから持ち直し、昨年9月高値142.712円までを中勢の一段目、9月底から今年5月までを二段目の大上昇とし、7月20日と9月21日の両安値をダブル底とした上昇で5月天井を破って三段目の上昇期に入った。しかし10月20日高値158.219円から11月8日早朝時点の安値152.668円までの下げ幅は5.551円安となり9月21日安値148.947円からの上昇幅9.272円高に対する半値押しラインを超えておよそ6割を削っている。
現状から155円を超える反騰へ進めば大きな調整安を消化して上昇再開に入り、10月20日高値を超えて中勢レベルでの三段目の上昇を発展させてゆく可能性も考えられるが、151円を割り込んで9月21日安値に迫るようだと、三段目の上昇が短期に終わって大きな下落期に入る可能性への懸念も大きくなると思われる。
当面は152円台中盤の現状で足場が固まるか、さらに深押しへ進むのかを見定める必要がありそうだ。
短期テクニカル
ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。
11月2日夕安値からの反発が11月4日午前高値で一巡となり、11月4日夜の急落で2日夕安値を割り込んで一段安となったため、11月5日午前時点では11月4日午前高値を起点とした下落期とし、安値形成期を11月5日夕から9日夜にかけての間と想定した。既に反騰注意期に入っているので、154円を超えないうちは8日夜から9日にかけての一段安余地ありとするが、154円を超える上昇がみられる場合は上昇期入りとみて9日午前から11日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているものの下落角度が鈍ってきたために遅行スパンは好転しやすい位置にある。このため遅行スパン好転からは反騰入りの可能性ありとし、154円超えから先行スパンへ潜り込み始めるところからは上昇再開と仮定して遅行好転中の高値試し優先とする。ただし先行スパン上限が154.68円前後にあるため戻りを抑えやすいと注意し、先行スパン突破に成功しないうちは遅行スパンが好転した後に悪化するところからは下げ再開を疑う。
60分足の相対力指数は4日夜の急落で20ポイントを割り込んだ後はジリ高の推移で8日午前序盤には40ポイントを超えてきている。相場が安値を切り下げてきたのに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行型だが、長続きしない可能性もあると注意し、40ポイント以上での推移中は60ポイントを目指す上昇を想定するが、30ポイント割れからは下げ再開とみて再び20ポイント割れを試す流れとみる。
11月8日の売買戦略
11月4日未明の米FOMC、4日夜の英中銀金融政策発表と5日夜の米雇用統計と重要イベントを通過してきたことで目先は材料一巡からいったん買い戻されてもよいところとみる。
中勢レベルでは10月20日高値からの調整安規模がまだ深まる可能性もあると注意するが、153.50円超えを強気転換注意とし、154.0円超えからは154円台中盤(154.25円から154.65円)を試すとみる。ただし154.25円以上は戻り売りにつかまりやすいとみる。
153円台を維持できずに安値更新へ走る場合は152.00円、151.50円を順次試す下落を想定するが、151.50円以下は反騰注意と考える。
11月8日主な予定
- 欧米中銀高官による講演等
- 22:10 レーンECB理事、講演
- 23:00 クラリダFRB副議長、講演
- 24:30 パウエル米連銀議長、会議冒頭挨拶
- 26:00 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
- 27:50 エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
今週の英国関連主な予定
- 11/9(火)
- 09:01 10月 英小売連合(BRC)小売売上高 前年同月比 (9月 -0.6%)
- 25:00 ベイリー英中銀総裁、討論会参加
- 11/10(水)
- 米国市場が11日に祝日のため米週間失業保険申請件数が1日前倒し、米消費者物価の発表もある
- 11/11(木)
- 休場 米国(ベテランズデー、政府・為替・債券は休場、株式・商品は通常取引)
- 休場 カナダ(戦没者追悼日、株式通常取引、商品、債券休場))
- 09:01 10月 英RICS住宅価格指数 (9月 68、予想 65))
- 16:00 9月 月次GDP 前月比 (8月 0.4%、予想 0.4%)
- 16:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 5.5%、予想 1.5%)
- 16:00 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 23.6%、予想 6.8%)
- 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.8%、予想 0.1%)
- 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.7%、予想 3.2%)
- 16:00 9月 製造業生産指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.1%)
- 16:00 9月 貿易収支・物品 (8月 -149.27億ポンド、予想 -143.00億ポンド)
- 16:00 9月 貿易収支・全体 (8月 -37.16億ポンド、予想 -31.00億ポンド)
- 11/12(金)
- 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)閉幕
- 23:00 ハスケル英中銀委員、講演