ポンド円見通し 中国恒大のデフォルト問題に英国内感染拡大問題も重石

ポンド円見通し 中国恒大のデフォルト問題に英国内感染拡大問題も重石

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月10日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月9日終値は149.979円、前日比0.034円安と小幅続落した。取引レンジは150.317円から149.488円。

オミクロン株の重症化率が低いとの見方が相次いだことでリスク回避感が回復した流れに乗じて12月4日早朝安値から7日午後高値へ戻したが勢いは続かず、英国の感染対策強化を嫌気して8日に下落、9日は中国恒大集団の部分的デフォルト認定等からリスク回避感が再び強まったことで円高となりポンドドルも軟調推移だったためにポンド円は小幅ながら続落した。

注目情勢 新たなリスク回避要因と感染拡大問題の継続

12月9日の欧米市場では夕刻にフィッチ・レーティングスが中国不動産開発大手の中国恒大集団について一部債務不履行(部分的デフォルト)と認定したとの報道からリスク回避感が再燃した。

恒大集団に加えて不動産業界二位の佳兆業集団も一部債務不履行へ格下げされており中国の不動産バブル崩壊への懸念が再び強まった。

11月26日に南ア周辺で発生したとされるオミクロン株の感染力の高さを警戒して金融市場全般が動揺したが、週明けからは過剰な不安が後退したとしてリスク選好感が戻っていた。しかし中国不動産業界大手のデフォルト問題が水を差すこととなった。

英国においてはオミクロン株発生以前からの欧州及び英国における感染再拡大問題が続いている。

英国では12月8日に51060人の新規感染者が出ているが連日5万人前後の高水準で推移しており、前回ピーク時の7月17日の54198人に迫っている。死亡率は大幅に下がっているものの12月8日にジョンソン首相は規制強化を指示しており、景気回復の腰折れも警戒されるところだ。

注目材料 英月次GDPと米CPI

12月10日16時に英国の10月月次GDP,10月鉱工業生産の発表がある。月次GDPについては9月の0.6%増から0.4%増へと減速が予想されている。

鉱工業生産は前月比で9月の0.4%減から0.1%増への改善が見込まれているが前年同月比では9月の2.9%増から2.2%増へ減速するとみられている。景気回復感については米国と比較すれば鈍いものにとどまっている。

12月10日22時半には米11月消費者物価上昇率の発表がある。全体の前年同月比では10月の6.2%から6.8%へ、コア指数でも4.6%から4.9%へと伸びが加速すると見込まれている。

12月9日の米週間失業保険申請件数が52年ぶりの低水準となったことも含め、米連銀によるテーパリング早期終了と利上げ時期の前倒し姿勢が鮮明になれば、英中銀が利上げに踏み切れずに躊躇していることとのスタンスの差がポンド売り要因となりかねないところだ。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

12月4日早朝安値を起点として上昇期に入ったとして高値形成期を7日の日中から9日夜にかけての間と想定していたが、7日夕安値からの反落により12月8日午前時点では既にピークを付けて下落期に入っているとし、安値形成期を9日早朝から13日朝にかけての間と想定した。

12月9日夜の下落時には8日夜安値割れを回避しているものの150円を挟んだ揉み合いにとどまっているのでまだ一段安余地ありとするが、150.30円超えからは強気転換注意とし、12月9日未明高値150.698円超えからは上昇期に入るとみて10日夜から14日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では150円を挟んだ揉み合いが続いているために方向感に乏しい。両スパン揃って好転しているところでは高値試し優先とするが、両スパン揃っての悪化中は安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30ポイント台から50ポイント台までのレンジ内での推移が続いている。60ポイントを超えてくれば上昇再開感が強まると思われるが、50ポイント台を維持できない状況が続く場合はもう一段安で30ポイント割れを試す可能性が残る。

12月10日の売買戦略

12月7日夕高値で戻り一巡となりその後は右肩下がりの展開が続いているので、戻り売り有利の情勢の範囲にあると思われるが、12月9日未明高値を超えてくると流れもかわる。今晩の英米指標発表から臨機応変に対処したい。

150.30円から9日未明高値150.698円手前までは戻り売りにつかまりやすいところとし、9日夜安値149.488円割れからは148円台後半(149.00円から148.50円)への下落を想定する。

仮に12月4日早朝安値148.983円を割り込む場合はこれまで繰り返してきた150円割れを切り返す反騰パターンが崩れて下落期が長期化する可能性を懸念する。

12月9日未明高値超えからは戻り高値切り下がり基調から抜け出しての上昇期入りとみて151円台後半を目指す流れとみる。その際は来週も高値追及が続きやすいとみる。

12月10日の主な予定

  • ドイツ
    ー16:00 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
    ー16:00 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.2%、予想 5.2%)
  • 英国
    ー16:00 10月 月次GDP 前月比 (9月 0.6%、予想 0.4%)
    ー16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.1%)
    ー16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 2.9%、予想 2.2%)
    ー16:00 10月 貿易収支・物品 (9月 -147.36億ポンド、予想 -144.00億ポンド)
    ー16:00 10月 貿易収支・全体 (9月 -27.77億ポンド、予想 -24.00億ポンド)
  • 米国
    ー22:30 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.9%、予想 0.7%)
    ー22:30 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 6.2%、予想 6.8%)
    ー22:30 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.5%)
    ー22:30 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 4.6%、予想 4.9%)
    ー24:00 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (11月 67.4、予想 68.0)
    ー28:00 11月 月次財政収支 (10月 -1651億ドル)