豪ドル円 先週末からの反騰も80円到達で一服、今晩の米連銀議長講演待ちで調整気味

豪ドル円 先週末からの反騰も80円到達で一服、今晩の米連銀議長講演待ちで調整気味

おはようございます。大塚亮です。

2021年8月27日の相場分析です。

概況

豪ドルの8月26日終値は79.666円、前日比0.356円安と反落した。取引レンジは80.095円から79.594円。

8月6日の米7月雇用統計をきっかけとして8月19日未明のFOMC議事録公開を挟んでのドル全面高の様相で推移してきたが、先週末の20日夜からドル高一服に入り、今週は23日からドル全面安へと風向きが変わり、豪ドル円は豪ドル米ドルの上昇を背景に8月23日には前日比0.716円高、24日に同0.495円高、25日に同0.415円高と3日連続の日足陽線で3連騰してきた。V字反騰型の切り返しとなっていたが、4日目の26日は80円台到達後に上値が重くなった状況で新たな高値更新へ進めず、深夜から27日早朝にかけてジリ安の推移となって4日ぶりに日足は陰線引けとなった。

8月27日夜のパウエル米連銀議長によるジャクソンホールでの講演が迫る中でその内容を見定めたいとしてドル安も一服、ポジション調整的なドル高感が再燃する動きとなったことで豪ドル円も押されたようだ。

注目ポイント パウエル米連銀議長講演からドル高かドル安か

8月27日夜、カンザスシティー連銀主催のジャクソンホール・シンポジウムにおいてパウエル米連銀議長が講演を行う。そこでは6月のFOMCで議論を開始したとされる量的金融緩和政策による資産購入の縮小開始について時期、条件、規模等について市場へのガイダンスとなるような内容が示されるのではないかと注目されている。

8月26日にはダラス連銀カプラン総裁、カンザスシティー連銀ジョージ総裁、セントルイス連銀ブラード総裁が早期の緩和縮小着手を支持する発言を相次いで行ったことがドル高材料とされたが、早ければ9月のFOMCで方針が示されて10月にも開始される可能性があり、その際はドル全面高へ向かう可能性があり、そこまで急がない姿勢で市場を安心させる内容になるならドル安をもう少し試す流れへ進みやすくなると思われる。

米10年債利回りは8月26日に1.37%へ上昇、24日から3連騰で勢いを付けてきている。一方で豪10年債利回りは2月のピーク時に1.97%まで上昇したところから下落期に入ってきたが、8月23日に1.05%まで低下したとこからの連騰で26日は1.23%まで上昇している。豪10年債利回り上昇は豪ドル米ドルの上昇要因になるが、米10年債利回りと同時に上昇する場合は米10年債利回り上昇を主要因としてドル高へなびきやすくなる。今晩は米連銀議長講演内容が断片的に報じられる中で金融市場全般が大きく動くと思われるが、特に米10年債利回り動向に注意したい。

テクニカルポイント 下値支持線と上値抵抗線

豪ドル円は8月20日安値から反騰したものの、7月20日安値から8月13日にかけて横這い型の持ち合いで推移していたところから一段安してからの反発であり、8月25日高値で7月20日安値にかぶさるところまで戻して戻り一服となっている。ここからさらにV字反騰を継続できるのか、もう一段安へ進むのか試されるところだが、一段安した場合の下値目途、反騰時の上値目途はあらかじめ念頭に入れておきたい。

昨年10月29日安値73.137円から今年5月10日高値85.795円までの上昇幅は12.658円。その3分の1押しラインは81.575円、半値押しラインは79.466円でいずれもすでに割り込んでいる。この下は3分の2押しラインの77.356円が試されるところですでに8月20日安値77.896円で迫っているところにある。3分の2押しラインを割り込めは10月29日安値試しまで下値支持線はさらに切り下がる。

5月10日高値から8月20日安値77.896円までの下げ幅は7.899円であり、3分の1戻しが80.529円、半値戻しが81.845円にある。8月20日からのV字反騰を継続して3分の1戻しをクリアすれば半値戻しライン試しへ向かい、半値を超えれば中勢レベルでの上昇再開との認識が高まり5月高値を再び試す流れへ進む可能性も出てくると思われる。

8月27日の米連銀議長講演をきっかけとして中勢の方向性も決まってくるのだろうと思われるが、週足の一目均衡表ではすでに昨年3月底以降で初めて26週基準線割れ、遅行スパンの悪化(実割れ)と状況が悪化しており、先行スパンへ潜り始めているところにあり、流れとしては多少の反発を消化しつつも下向きで進みやすい状況にあるのではないかと懸念される。

短期テクニカル分析

60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられるが、豪ドル円は8月20日夕安値で目先の底を付けて上昇期に入ってきたが、26日朝高値で行き詰まって27日午前には79.50円を割り込んでいているため、26日朝高値で目先のピークを付けて下落期入りしていると思われる。8月20日夕安値から5日目に入っているので、27日夜までに安値を付けてから26日朝高値を上抜く反騰に入る場合は新たな上昇期入りとして31日朝から9月2日朝にかけての間への上昇を想定するが、26日朝高値を超えられないうちは25日夕安値から3日目の30日夕から9月1日にかけての間を下落期として安値試しが続く可能性があるとみる。

60分足の一目均衡表では8月27日午前の下落で先行スパンから転落し始めているので、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開と見て遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は26日朝から夜までの高値圏維持に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生してから下落に転じている。50ポイント台を回復できないうちは一段安注意として20ポイント前後への低下を伴う下落に注意するが、50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみる。

8月27日の売買戦略

今晩の米連銀議長講演から大きく動くとみて、それまではごく短期の値幅取りとし、議長講演からトレンド発生なら流れに乗るスタンスで構えたい。

議長講演前段階では79円前後は買い戻され、79.80円台は戻り売りにつかまりやすいとみる。79円割れから続落に入る場合は8月20日安値77.896円試しへ向かう流れとみて戻り売り有利で安値試しを続ける展開とみる。26日朝高値超えからは一段高入りで上昇に勢いがつくとみて押し目買い有利で80.50円、80.75円、さらに81.00円を順次目指す流れとみる。

8月27の注目経済指標

  • ドイツ
  • 15:00 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.6%、予想 0.8%)
  • 15:00 7月 輸入物価指数 前年同月比 (6月 12.9%、予想 13.6%)
  • 米国
  • 21:30 7月 個人消費支出(PCE) 前月比 (6月 1.0%、予想 0.3%)
  • 21:30 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 4.0%、予想 4.1%)
  • 21:30 7月 PCEコアデフレーター 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
  • 21:30 7月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.6%)
  • 21:30 7月 個人所得 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
  • 23:00 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.2、予想 70.7)
  • 23:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演
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