ポンド円 8月20日からの反騰一服で米連銀議長講演待ちに

ポンド円 8月20日からの反騰一服で米連銀議長講演待ちに

おはようございます。大塚亮です。

2021年8月27日の相場分析です。

概況

ポンド円の8月26日終値は150.814円、前日比0.561円安と反落した。取引レンジは151.583円から150.611円。

先週はほぼ1週間をドル全面高での推移だったところ、先週末20日夜からドル高一服に入り、週明けの23日からは揺れ返し的なドル安へと流れが変わりポンドドルが反騰に入ったことでポンド円も上昇、20日夕安値149.182円を目先の底として連騰入りして23日に150円台を回復、24日夕刻に151円に到達、25日は前日比0.782円高の続伸で26日早朝高値では151.454円を付けた。26日の日中もドル安基調は継続したもののポンドドルは26日午前にわずかに高値を切り上げたもののその後はドル安一服感から下落に転じ、ドル円も24日夜に109.50円を割り込んだところから持ち直してきたものの110円台序盤で抵抗感が出て夕刻からは上げ渋りに入ったため、ポンド円はポンドドルの下落に押されて27日早朝にはこの日の安値となる150.611円まで下落、日足は5日ぶりに陰線引けとなった。

注目ポイント 今晩の米連銀議長講演

8月27日夜にパウエル米連銀議長がカンザスシティー連銀主催のジャクソンホール・シンポジウムで講演を行う。米連銀議長によるジャクソンホールでの公演はこれまでも米連銀の金融政策スタンスの変更を示唆することで市場を大きく揺さぶってきた。今回は6月のFOMCで議論を開始したとされたテーパリング(量的金融緩和縮小)開始についてより具体的な方針や条件を示すのではないかと市場は注目している。
8月26日にはダラス連銀カプラン総裁が「量的緩和策縮小を10月以降に始めるべき」と述べ、カンザスシティー連銀ジョージ総裁やセントルイス連銀ブラード総裁が早期の緩和縮小着手を支持する発言を行っている。8月19日未明に公開された前回のFOMC議事録では連銀メンバーが雇用回復に自信を持ちつつも物価上昇の継続リスクや緩和拡大継続による先行きの反動を警戒する姿勢も垣間見られた。

9月FOMCで着手決定が示されて10月にも開始されるとなれば為替市場はドル全面高へなびき、年末から年明け以降へとずれ込む公算となればドル安を継続しやすくなるのだろうと思われる。ポンド円としてもポンドドルが一段安へ向かうのか、反騰継続するのかにより大きく揺さぶられることとなりそうだ。

中勢のテクニカルポイント ダブル底と三尊の攻防

ポンド円は8月20日安値で149.182円まで下げたものの7月20日安値148.458円割れを回避して反発してきた。今年2月に145円を超えて一段高に入った後は、3月24日安値148.529円、4月23日安値149.070円を含めて7月20日安値も8月20日安値も150円を割り込んだところから持ち直している。この間の最安値が7月20日安値であり、底割れを回避するうちは150円弱から148円台までを下値支持帯とした高値圏維持の範囲となり7月29日高値152.434円を超えれば下値支持帯を維持し7月20日と8月20日の両安値をダブル底とした上昇期に入り5月高値超えへの展望も開けると思われる。

しかし、7月20日安値を割り込めば下値支持帯からの転落となり、5月27日高値を頭、4月6日高値を左肩、7月29日と8月10日の高値をミニダブルトップでの右肩とした三尊天井型が完成となる。三尊完成の場合、下値目途は一段目の上昇と同規模として145.831円、三尊の値幅の二倍として140.855円等が考えられる。昨年3月底からの大上昇が一巡しての下落期としてみれば145円前後、さらに140円に迫る下落期となっても不思議ないといえる。逆に7月29日高値超えから5月27日高値を超える展開へ進めば、三尊の値幅の倍返しで163.664円を目指す歴史的な大上昇を目指す可能性も出てくるかもしれない。

短期テクニカル分析

60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがあるが、ポンド円は8月20日夕安値を目先の底として上昇期に入ってきた。8月24日夜へいったん下げて三角持ち合いを形成してから一段高したために、26日午前時点では三角持ち合い終点の25日夕安値を起点として新たな上昇期に入ったとしたが、可能性が考えられる。このため当面は25日夕安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、24日夕高値を基準として、日夕刻へ一段高してからの反落で151円を割り込んでいるので26日夕高値でピークを付けて下落期に入っている印象だ。このため新たな高値更新へ進めないうちは27日夜から31日深夜にかけての間への下落を想定するが、26日夕高値超えからは新たな上昇期入りとして31日午後から9月2日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月26日夜の下落で遅行スパンが実線を割り込んで悪化し、先行スパンからも転落しつつある。このため先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数では26日夕刻への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気ダイバージェンスがみられてしっそくした。50ポイント超えから続伸するような反騰を見せれば上昇再開感が出てくるとみるが50ポイント台を回復できないうちは一段安警戒として20ポイント台前半への下落を想定する。

8月27日の売買戦略

目先は調整安の落ち着き処を探りつつ、夜のパウエル米連銀議長講演を見定めて反騰入りから一段高へ進むか、急落調整で20日夕安値試しへ向かうのか明暗も分かれるとみる。150円前後は押し目買いされやすく、26日夕高値151.583円を超えない範囲は戻り売りされやすいとみるが、議長講演等をきっかけに26日夕高値を超えるところからは騰勢も勢い付くとみて押し目買い有利で高値追及の展開と考え、150円割れからは下落期入りとみて戻り売り有利から安値試しを続ける展開へ進むと考える。

8月27日の注目経済指標

  • ドイツ
  • 15:00 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.6%、予想 0.8%)
  • 15:00 7月 輸入物価指数 前年同月比 (6月 12.9%、予想 13.6%)
  • 米国
  • 21:30 7月 個人消費支出(PCE) 前月比 (6月 1.0%、予想 0.3%)
  • 21:30 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 4.0%、予想 4.1%)
  • 21:30 7月 PCEコアデフレーター 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
  • 21:30 7月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.6%)
  • 21:30 7月 個人所得 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
  • 23:00 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.2、予想 70.7)
  • 23:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演