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江戸時代に開発された「酒田五法」は、FX・株式・仮想通貨など、あらゆる金融市場で使われたテクニカル手法です。
しかし既に開発から200年以上も経過している現在において、今なお通用する分析手法なのか、疑問の声も多く挙がっています。
特にFX初心者の方であれば、酒田五法よりも覚えるべき手法は数多くあるため、わざわざ勉強の時間を割きたくないという人も多いでしょう。
果たして、酒田五法は現代でも使える手法なのでしょうか、本記事ではその点について深堀していきたいと思います。
目次
結論:覚えるのは「三山」「三川」だけでOK
酒田五法には「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の5つの分析が存在しますが、結論だけお伝えすると「三山」「三川」だけ覚えておけばOKです。
「三空」「三兵」「三法」については覚えなくても大丈夫、というより覚えたところで大した意味はありませんので、その理由について以下より解説していきたいと思います。
また、そもそも酒田五法とはどういった分析手法になるのかについては、こちらの記事で解説しておりますので、参考にしていただけると幸いです。
これだけは覚えるべし!「三山」「三川」について
酒田五法の「三山」「三川」は、以下のような形状を指します。
「三山」は別名「トリプルトップ」または「ヘッドアンドショルダー」、「三川」は別名「トリプルボトム」または「逆ヘッドアンドショルダー」と呼ばれています。
これらはFXにおいて頻出するチャートパターンで、多くのトレーダーが意識する形状でもあるため、意味をなさないなんてことはあり得ません。
三回超えることができなかった天底は、転換点として意識されやすくなるため、酒田五法の「三山」「三川」というよりはFXの基本として覚えておきべきでしょう。
FXのダブルトップ・ダブルボトムとは?基礎知識と手法を解説覚える必要なし!三空(さんくう)は出現しない!
酒田五法の三空(さんくう)とは、三回連続で「窓開け」が発生した場合、陰線で続けば買い方向に転じるサイン、陽線で続けば売り方向に転じるサインと判断するものです。
ただ三空に至っては、全く覚える必要がないので特に意識しておかなくて大丈夫です。
そもそも24時間取引できるFX市場において、窓が開くのは金曜から月曜にかけての週明けのタイミングであり、三回連続して窓が開くことはまずありません。
実際ドル円チャートの直近20年を振り返っても、出現回数は「0回」です。
一方で、チャート上に窓が開いた場合、約8割の確率で「窓埋め」方向に動くと言われておりますので、この性質を利用してエントリーする方が、まだ現実的な選択と言えるでしょう。
信憑性は薄い!三兵(さんぺい)について
酒田五法の三兵(さんぺい)とは、「安値圏での三連続の陽線は上昇トレンドへの転換するサイン」「高値圏での三連続の陰線は下落トレンドへの転換するサイン」と判断するものです。
ただこちらの三兵についても、わざわざ覚える必要はありません。
なぜなら三兵が示すトレンド転換点のサインは、特別信頼度が高いというわけではないからです。
その一例として、以下のドル円1時間チャートをご覧ください。
チャートの方向性としては明らかな下落トレンドであり、一方赤丸で囲った部分では三兵の転換サインである「安値圏での三連続の陽線」が出現しています。
拡大して三兵の転換サイン注目してみると、
移動平均線は3本とも下向きであり、RCIのインジケーターも特にロングのエントリーを示唆しているわけではありません。
結果としては、三兵の転換サイン以降やや上昇トレンド気味に推移していますが、全体の方向性はまだまだ下落トレンドであり、実際その後も下落トレンドが継続していきました。
200年以上前に考案された「三兵」が、現代の代表的なテクニカル指標「移動平均線」「RCI」よりも普遍的に優れているとは到底考えられませんので、やはり覚える必要はないと言えるでしょう。
三法(さんぽう)よりも見るべきインジケーターは多数ある!
酒田五法の三法(さんぽう)は、「大陰線」もしくは「大陽線」が発生→レンジ気味に推移、そして再び「大陰線」「大陽線」が確認できればトレンドが継続する、というものです。
ただやはり三法についても、覚えるメリットはないと言えるでしょう。
その理由を理解していただくために、三法のサインが読み取れる以下のチャートをご覧ください。
赤丸で囲った箇所は三法の要である「大陰線」ですが、現状から三法を参考にして、エントリーの方向性を検討するのは適切と言えるでしょうか。
そもそも「大陰線」もしくは「大陽線」が発生して、その後レンジ気味に推移した時点で、移動平均線はある程度トレンドの方向性を捉えているはずです。
また三法は順張りを意識したエントリーサインですが、同じ順張り目線で狙っていくのであれば、ボリンジャーバンドの方がより精度高くトレンドを捉えることができます。
三法の基本的な考え方は、レンジで推移している間にチャートを動かすエネルギーが溜まり、爆発のきっかけとなる「大陰線」あるいは「大陽線」を確認してトレンドに乗じるというものです。
しかしこれは、ボリンジャーバンドの「スクイーズ」「エキスパンション」と全く同じ考え方であり、こちらの方が視覚的にも分かりやすいはずです。
つまり移動平均線やボリンジャーバンドから読み取れる情報は、三法のエントリーサインを内包していると考えられるため、やはり三法をわざわざ覚える必要はないと言えるでしょう。
まとめ:酒田五法は代替可能!
本記事では、酒田五法は使えるのか、覚える意味はあるのか、という議論を進めてきました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 「三山」「三川」:「トリプルトップ」「トリプルボトム」と同じ考え
- 「三空」:出現機会なし→覚える必要なし
- 「三兵」:信憑性は薄い→覚える必要なし
- 「三法」:移動平均線 or ボリンジャーバンドで代替可能
記事中でも解説した通り、様々な分析手法が発達している現代において、酒田五法を覚える必要はありません。
酒田五法の考え方自体は他のインジケーターで代替可能であったり、そもそも利用機会・利用価値のないものだから、ということでした。
以上、参考にしていただけると幸いです。