ポンド円 7連騰で5月27日高値を超える、156円台の長期的な抵抗帯を突破

材料もなくポジション調整中心【2021年10月19日】

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月18日の相場分析です。

概況

ポンド円の10月15日終値は156.997円、前日比1.563円高と大幅続伸した。取引レンジは157.414から155.342円。

10月7日から日足は7日連続陽線で7連騰、5月27日に付けたパンデミック以降の最高値156.061円を超えた。

10月15日はドル円が114.46円まで高値を伸ばして年初来高値を更新した。既にパンデミック前の2020年2月20日高値112.21円を超えており、2016年12月以降の右肩下がりの長期的な下降チャンネルから上抜けておりここ数年では最大級の上昇に入っているが、世界的なエネルギー価格の上昇と欧米の長期債利回り上昇により、日米金利差を意識し、資源輸入国としての日本の輸入物価上昇による円安感が強まっている。

一方でポンドドルも9月29日以降の反騰を継続、10月13日からの3連騰で1.370ドル台へ戻している。世界的なインフレ進行感により米長期債利回り上昇と共に英長期債利回りも上昇しており、英10年債利回りも米長期債利回り上昇と同調して上昇しており、10月11日に1.219%まで上昇してから13日に1.03%までいったん下げたが15日には1.11%へと反騰しており、米長期債利回り上昇によるドル高圧力に負けずに上昇基調を維持している。

注目ポイント ポンド円は156円の壁を超えるか

ポンド円は2016年10月底124.12円と2020年3月底124.10円により週足及び月足レベルのダブル底を形成し、コロナショックからの復興期待で上昇してきた。2016年10月以降の高値は2018年2月2日の156.61円、2021年5月27日の156.06円により156円台が大きな壁となっていたが、10月15日の上昇でこの壁を超えてきた。

156円台の壁を超えたことにより、チャート上の上値目途は2015年6月天井の195.86円まで見当たらなくなっている。2015年6月天井へ向かうには160円、170円等のハードルを超えてゆく必要があり、現時点ではそこまでの根拠には欠けるが、既に昨年3月底からの上昇も20ヶ月目であり、2016年10月底から2018年2月天井までの17か月の上昇規模を時間レベルでも越えてきている。上昇角度事態は2011年9月底から2015年6月天井へ大上昇した時の序盤にも匹敵するため侮れない展開だ。

注目情勢 英中銀の年内利上げ姿勢

英中銀のベイリー総裁は10月17日に「エネルギー価格高騰は物価圧力が長期化することを意味する」「インフレを抑制するため中銀が行動する必要が生じる」と述べて年内の利上げ姿勢を示した。

英中銀の金融政策決定会合は11月4日と12月16日の二回残っているが、市場は年内に利上げに入り、2022年末には1.0%へ引き上げるのではないかと予想している。米連銀がテーパリング縮小を先行させてから来年後半にも利上げするという手法とは異なるが、利上げ回避時期は英中銀のほうかが早いことになりそうだ。

英中銀は前回の9月23日会合では、政策金利を過去最低の0.1%据え置き、量的金融緩和の資産買い入れ枠についても総額8950億ポンドで据え置いたが、金利据え置きは全会一致だったものの資産買い入れ枠維持についてはラムスデン副総裁とソーンダーズ委員の2人が縮小を主張した。国債買い入れ枠の縮小を主張した。また年末時点のインフレ率は4%を超えて中銀目標の2%を大きく上回る見通しとし、「金利上昇の根拠が強まった」とした。

英中銀は8月5日の会合で「出口戦略」に言及し、政策金利が0.5%に達した段階で償還金を再投資せず保有債の縮小を開始、政策金利が1%に達した段階で保有債の積極的な売却を検討するとしている。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

10月1日夕安値を起点とした上昇基調を続けてきたが、既に週末まで7連騰のため、目先は調整安も入りやすいところだ。

10月15日夜高値157.414円からはやや上げ渋り、18日午前はやや下落気味のため156.50円を割り込むところからはいったん下げに入るとみて18日の日中から19日夜にかけての間への下落を想定する。ただしいったん弱気転換した後に高値を更新するところからは新たな上昇期入りとして20日夜から22日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月7日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返し、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンの下限が下値支持線として機能するのではないかと考える。

60分足の相対力指数は10月15日夜高値時に80ポイントを大きく超えてかなりの買われ過ぎとなり50ポイント台に低下している。65ポイント超えへ反騰する場合は上昇再開とみるが50ポイント割れからは30ポイント台への低下を想定する。

10月18日の売買戦略

中勢レベルではさらに高値追及を続けやすいとみるが、目先は連騰に対する調整安入りを警戒する。

156.50円以上での推移中は高値更新から158円を目指す可能性があるとみるが、15日夜高値157.414円以上は反落警戒圏とみる。
156.50円割れからは156円前後への下落を想定する。156円前後は押し目買いされやすい水準とみる。下げ足が速まる場合は156円割れも想定されるがそこは突っ込み買いされやすい水準とみる。

10月18日の主な予定

  • 英国
  • 23:30 カンリフ英中銀副総裁、講演
  • 米国
  • 22:15 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
  • 22:15 9月 設備稼働率 (8月 76.4%、予想 76.5%)
  • 23:00 10月 NAHB住宅市場指数 (9月 76、予想 76)
  • 27:15 ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演

今週の英国関連主な予定

  • 10/19(火)
  • 19:00 マン英中銀委員、講演
  • 21:05 ベイリー英中銀総裁、気候変動関連の講演
  • 10/20(水)
  • 15:00 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.4%)
  • 15:00 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
  • 15:00 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 3.1%、予想 3.0%)
  • 15:00 9月 小売物価指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.2%)
  • 15:00 9月 小売物価指数 前年同月比 (8月 4.8%、予想 4.7%)
  • 10/21(木)
  • 特になし
  • 10/22(金)
  • 08:01 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -13、予想 -16)
  • 15:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.9%、予想 0.6%)
  • 15:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.5%)
  • 15:00 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -1.2%、予想 -0.1%)
  • 15:00 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 -0.9%、予想 -1.8%)
  • 17:30 10月 製造業PMI速報値 (9月 57.1、予想 56.0)
  • 17:30 10月 サービス業PMI速報値 (9月 55.4、予想 54.5)