ポンド円 10月20日高値以降の調整的な動きを続ける

ポンド円 10月20日高値以降の調整的な動きを続ける

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月29日の相場分析です。

概況

ポンド円の10月28日終値は156.657円、前日比0.255円高と小幅上昇した。取引レンジは156.706円から155.911円。

10月7日から10月15日にかけて7日連続の日足陽線で大上昇して5月27日高値156.061円を超えて昨年3月底以降の高値を更新、10月20日には158.219円まで高値を伸ばしてきたが、先週末にかけてはドル安が弛んで調整安に入り、週明けの25日と26日は揺れ返しの上昇で157.762円までいったん戻したが、27日はドル円の下落とポンドドルの下落が重なって当日高値から安値まで1円を超える反落となった。

10月27日夜安値から下げ一服に入り、28日は夕刻と夜に156円をわずかに割り込んだが27日夜安値割れには至らず、ECBのラカルド総裁会見と米GDP速報値が予想を下回ったことをきっかけにユーロドルが急伸したため、ポンドドルもつれ高となって1.380ドル台まで反騰し、一方でドル円が20日以降の安値を更新する円高となったもののポンド円はポンドドルの上昇を優先して確りした。29日午前にはポンドドルが上昇一服の中でドル円が小反発したために156.954円まで上昇したが157円には届かずに再び失速気味となっている。

注目情勢 主要国中銀の金融政策発表からやや乱調な動きに

10月28日は日中に日銀金融政策決定会合の結果発表と黒田総裁会見、夜にはECB理事会とラカルド総裁の会見があった。

日銀の現状維持は市場予想通りであり、世界的な物価上昇により日本の輸入物価は上昇しているがデフレ不況構造の中で消費者物価の上昇は見られず、コロナ不況からの回復感も鈍いために日銀の量的緩和政策の継続とYCCによる長期金利抑制姿勢は変わらず、ETF等による金融市場の買い支え姿勢も継続となっている。特段のサプライズは無かったために市場の反応は鈍く、積極的な円安誘導姿勢も無かったことで夜のユーロ高局面では円高ドル安反応となった。

10月28日夜のECB理事会は政策金利の据え置きと量的緩和の継続を決定したが、パンデミック対策としての資産購入プログラムについては当初予定の来年3月末までで終了するのかどうかを12月の理事会で協議するとしたことから、3月の量的緩和終了とその後の利上げ準備への姿勢と市場は受け止めてユーロが買われ、ポンドもつれ高となった。

来週は豪中銀理事会、米連銀のFOMC、英中銀も11月4日夜にMPC(金融政策委員会)を開く。主要中銀の金融政策スタンスの差を意識しつつ年末への方向性を探る展開に入ってゆくと思われる。英中銀については利上げの可能性とコロナ感染拡大が収まっていないことによる利上げ見送りの可能性が分かれている。

テクニカルポイント 高値・安値切り下がりの下落基調の範囲

ポンド円は10月20日昼高値158.219円と21日午前高値158.208円をダブルトップ型として調整的な下落期に入っている。10月21日午前高値から26日深夜高値157.762円へと戻り高値は切り下がり、27日夜安値で23日未明安値を割り込み、安値ラインも切り下がっている。

10月29日午前に157円手前へ戻したものの、まだ21日高値と27日深夜高値を結ぶ右肩下がりの抵抗線には届かずにいるため、右肩下がりの調整安パターンを継続して安値更新へ進みやすいところと注意するが、157.50円を超える反騰に入れば右肩下がりの抵抗線突破となり、10月20日以降の調整期から抜け出して高値更新を試す流れへ進みやすくなると思われる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

10月29日午前円に手前へ戻したため、現状は10月23日未明安値から3日弱となる27日夜安値で目先の底を付けて戻しているところと思われる。高値形成期は29日夜から11月2日夜にかけての間と想定されるが、157円手前で失速しているために戻りは短命の可能性があると注意し、27日夜安値割れからは新たな下落期入りとして11月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日午前への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからもいったん上抜けたがその後の下落で先行スパンから再び転落しつつある。157円を超えないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化からは安値試し優先とし、157円超えからはさらに戻りを試す可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は27日夜の30ポイント割れから29日午前に60ポイント台まで戻したがその後に50ポイントを割り込んでいる。60ポイント台を再び回復する反発を見せるなら上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中はすでに下げ再開に入っている可能性を踏まえて安値試し優先とする。

10月29日の売買戦略

10月からの上昇一服による調整期として、安値の落ち着き処を探るところであり、短期的には戻り売り有利の情勢と考える。

156.75円から157.0円までは戻り売りにつかまりやすいところとみる。156.50円以下での推移中は下向きとし、27日夜安値155.708円割れからは155円前後への下落を想定する。155円以下は反騰注意だが、下げ足が速まる場合は154円台後半へ突っ込む可能性もあるとみる。

10月29日の主な予定

  • ドイツ
  • 17:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 1.6%、予想 2.2%)
  • 17:00 7-9月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (4-6月 9.8%、予想 2.6%)
  • 英国
  • 17:30 9月 消費者信用残高 (8月 4.0億ポンド、予想 5.0億ポンド)
  • ユーロ圏
  • 18:00 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 3.4%、予想 3.7%)
  • 18:00 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 1.9%、予想 1.9%)
  • 18:00 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 2.2%、予想 2.1%)
  • 18:00 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 14.3%、予想 3.5%)
  • 米国
  • 21:30 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.3%)
  • 21:30 9月 個人消費支出(PCE) 前月比 (8月 0.8%、予想 0.6%)
  • 21:30 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.4%)
  • 21:30 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
  • 21:30 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 3.6%、予想 3.7%)
  • 22:45 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 64.7、予想 63.5)
  • 23:00 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.4、予想 71.4)