ポンド円 ドル円の急上昇背景に3日連続陽線(赤三兵)で上昇

ポンド円 ドル円の急上昇背景に3日連続陽線(赤三兵)で上昇

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月17日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月16日終値は154.170円、前日比1.088円高と大幅続伸した。取引レンジは154.183円からから152.989円。

ドル全面高によるポンドドルの下落とドル円の上昇一服による調整安を背景として10月20日から下落基調に入ってきたが、11月12日朝に152.356円まで下げたところから持ち直しの動きに入り、ドル高が弛んでポンドドルが上昇したことに加えてドル円が一段高へ進んだことで12日から15日へ小幅ながら連騰となり、11月16日はドル円が急伸したことに押し上げられて154円台を回復、前日比で1円を超える上昇幅の日足大陽線となり、3日連続陽線=赤三兵となった。

注目ポイント ドル全面高だがポンドは比較的しっかり、ドル円の急上昇がポンド円を押し上げる

11月10日の米消費者物価上昇率の上ブレからインフレ進行への懸念が深まったとして米長期債利回りが反騰、ドル全面高の様相となって来ているが、11月16日夜の米経済指標の軒並み強く米長期債利回りは連騰、ドル高が進んだ。

米10月小売売上高は前月比1.7%増となり9月の0.8%増及び市場予想の1.2%増を大幅に上回り、輸入物価指数は前月比1.2%上昇で9月の0.4%から大幅に加速して市場予想の1.0%を上回った。鉱工業生産も前月比1.6%増で予想の0.7%を超え、NAHB住宅指数も予想の80を超えて83へと上昇した。

物価上昇と景気回復感を強める指標の良好さから、米連銀もこれまでの「利上げを急がない」姿勢から利上げ想定を前倒ししてインフレを抑制しに向かう可能性が高まりつつある。その一方で11月15日のラカルドECB総裁の欧州議会での「利上げを急がない」姿勢の強調が対比となりユーロドルが15日、16日と大幅下落している。

ポンドドルは16日夕刻の英国雇用統計が良好だったこととユーロポンドでのユーロ売りポンド買いによりユーロドルと比較すれば相対的に確りした動きにあり、日米長期金利差を意識してドル円が急伸しているため、ポンド円としてはポンドの堅調さとドル円の急伸により大きく押し上げられら印象だ。

注目材料 英雇用統計は良好、雇用面での利上げ条件整う

  • 11月16日夕刻に英国立統計局(ONS)が発表した10月の雇用者数は前月比16万人増の2930万人となりパンデミック発生までの2020年2月の水準を上回った。
  • 7-9月期のILO方式の失業率は4.3%で6-8月の4.5%から改善して市場予想の4.4%を下回った。
  • 7-9月期の就業者数は24万7000人増となり市場予想の18万5000人増を上回った。失業者数は前期から15万2000人減少した。
  • 7-9月期の平均賃金は前年同期比5.8%増となったが、伸びはやや鈍化しており、ボーナスを除く賃金も4.9%増で1-3月期以来の低水準となった。
  • 8-10月期の求人数は117万2000件となり過去最高を記録、パンデミック前よりも40万件上回る水準となった。

ONSは政府の補助制度終了をもって失職した人が今後の数か月で雇用統計に反映されるとしており、雇用回復の鈍化も予想されるが、既にパンデミック前の水準を回復したとすれば英中銀にとっては金融緩和の終了プロセスに入って行ってもよいところと思われる。ただ、感染拡大が再び発生していること、物価高騰に対する利上げは景気回復の腰を折る可能性もあるため慎重な判断が必要であり、現状は10月時点で11月と12月の2会合連続の利上げ予想から現状維持へと変わっており、利上げ開始は2月以降へずれ込んでいるのではないかと市場は見ている。

11月17日夕刻には英国の消費者物価、小売物価の発表があるが、予想を上回る上昇の場合は雇用改善も踏まえて英中銀への利上げ圧力が増してポンドドル及びポンド円を押し上げる可能性がある。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

11月12日朝へ安値を切り下げたところからの戻りが続いていたために15日午前時点では11月8日朝安値から4日目となる12日朝安値で目先の底を付けて戻りを試しているところとした、高値形成期は10日深夜高値を基準として15日夜から17日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、高値形成期を超えて続伸する可能性もあるため153.65円以上を維持するうちは上昇余地ありとし、153.65円割れからはいったん調整安に入るとみて17日の日中から19日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月15日夜への上昇で先行スパンを上抜いてきているので先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、3連騰後の反落にも注意がいるところのため遅行スパンが悪化するところからは下げに入るとみて先行スパンの上下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は11月16日夜に70ポイント台に到達したが、その後に相場が高値を切り上げているのに対して指数のピークが横ばいにとどまる弱気逆行型となっているので60ポイント割れからは弱気転換注意とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

11月17日の売買戦略

10月20日からの下落一服から戻りを試しに入っており、11月10日深夜高値を超えてきたことで戻り高値切り上がりの強気パターンも見られる。目先は3連騰後の反動安に注意がいるところだが、押し目買い有利の情勢で多少下げたところは買い拾われやすいとみる。

154円以上での推移か一時的に割り込んでも回復する内は154.50円から154.80円にかけてのゾーンを試すとみる。154.70円以上反落注意とし、154.65円割れからはいったん下げに入るとみて153円台序盤(153.30円から153.00円)を試すとみるが、そこは押し目買いされやすいところとみる。

11月17日の主な予定

  • 英国
  • 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.8%)
  • 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 3.1%、予想 3.9%)
  • 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.9%、予想 3.1%)
  • 16:00 10月 小売物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.8%)
  • 16:00 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 4.9%、予想 5.7%)
  • ユーロ圏
  • 18:00 ECB金融安定報告
  • 19:00  9月 建設支出 前月比 (8月 -1.3%)
  • 19:00  9月 建設支出 前年同月比 (8月 -1.6%)
  • 19:00 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.1%)
  • 19:00 10月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
  • 米国
  • 22:30 10月 住宅着工件数・年率換算件数 (9月 155.5万件、予想 158.0万件)
  • 22:30 10月 建設許可件数・年率換算件数 (9月 158.9万件、予想 163.0万件)
  • 23:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
  • 24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
  • 25:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
  • 25:20 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、ウォラーFRB理事、講演
  • 26:40 (米) ウォラーFRB理事、講演