豪ドル円 3連騰ならず、ドル円が急伸するも豪ドル米ドルが失速

豪ドル円 3連騰ならず、ドル円が急伸するも豪ドル米ドルが失速

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月17日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月16日終値は83.837円、前日比0.015円安とわずかに下落した。取引レンジは84.164円から83.689円。

10月21日高値86.248円からの下落基調が続いてきたが、11月10日安値で83円をわずかに割り込んだところから持ち直して12日と15日は小幅ながら2日連続の日足陽線で上昇、16日も午前にかけては豪ドル米ドルが高値圏を維持する中でドル円が上昇したことで84.164円まで高値を伸ばして11月10日深夜高値83.952円を超えた。しかし午後からは豪中銀総裁が当面の利上げは必要ないとの姿勢を強調したこととドル全面高に圧されて豪ドル米ドルが失速、ドル円が一段高へ進んだものの豪ドル円は円安では足りずに豪ドル安に圧されて3連騰とはならなかった。

注目材料 豪中銀総裁、利上げは当面必要ないと強調

豪中銀(オーストラリア準備銀行、RBA)のロウ総裁は11月16日の講演で「最新のデータや中銀予想は2022年内の利上げを正当化しない」と述べて早期利上げ観測を否定した。総裁は「基調インフレ率は第3四半期に2.1%へ上昇したものの豪中銀の目標である2-3%に対して6年ぶりに戻っただけ」とし、「米国のように広範な賃金上昇の兆しはない」と述べた。

米国では経済指標の改善による景気回復感、人出不足による賃金の上昇、世界的なサプライチェーンの混乱による物価上昇を踏まえてバイデン大統領がインフレ対策を最重要課題とすると述べるなど、インフレ進行への懸念が強まり、米長期債利回りは利上げ催促的に上昇してドル高を招いている。しかし米国と比較すれば豪消費者物価上昇率はまだ低く、賃金の伸びもまだ低調な水準にあるため、豪中銀としては景気回復への支援を優先して利上げを想定せずという姿勢を強調したいところと思われる。

ロウ総裁はパンデミック対策としての量的緩和と実質ゼロ金利状態の長期化政策に対しては来年見直すとしたが、逆に言えば年内の見直しはないということだろう。

注目材料 豪賃金コスト指数は上昇するもまだ低調

豪統計局が11月17日午前に発表した7-9月期の賃金コスト指数(総時給ベース、ボーナスは除く)は前期比0.6%上昇となり市場予想と一致、4-6月期の0.4%から伸びは加速した。前年同期比は2.2%上昇となり4-6月期の1.7%から伸びが加速、市場予想の2.2%と一致した。内訳では、民間部門が前期比0.6%上昇、前年同期比2.4%上昇で、公的部門は前期比0.5%上昇、前年同期比1.7%上昇だった。

市場予想に近く、前年比で2%台の伸びにとどまっていることを踏まえれば、豪中銀のロウ総裁が16日の講演で述べた通り、米国と比較すればインフレ圧力は低いということとなり利上げを急ぐ必要もないという印象だ。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

11月15日午前時点では11月10日午後安値と12日朝安値をダブル底として持ち直しているところとし、高値形成期を15日夜から17日深夜にかけての間とした上昇を想定した。16日午前に10日深夜高値を超えてきたために16日午前時点では引き続き高値試し中としたが、11月10日深夜高値から3日を経過したために反落注意期とし、83.75円割れを弱気転換注意、83.50円割れからは下落期入りとした。

11月16日午前高値で84.164円まで上昇したところから失速し、17日未明に83.75円を割り込み、17日午前には83.50円台まで下げているので16日午前高値でピークを付けていったん下げに入っているところと思われる。安値形成期は17日午前から19日午前にかけての間と想定されるので既に反騰注意期に入っているが、16日午前高値を超えないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では16日午前高値からの下落で遅行スパンが悪化、17日午前への続落で先行スパンからも転落しつつある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、両スパン揃って好転するところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は16日午前に70ポイント台後半へ達したところから50ポイント割れへ失速している。60ポイント台を回復できないうちは下向きとして30ポイント割れを目指すとみる。

11月17日の売買戦略

11月10日午後と12日午前の安値をダブル底型として上昇し、10日深夜高値も超えて戻り高値切り上げ型に入ったところだが、いったん仕切り直しの調整安となっている印象だ。10日午後、12日午前と底上げしてきた流れを維持する範囲で足場が固まれば次の上昇で16日午前高値超えへ進む可能性もあるとみて12日朝安値割れを回避する範囲では押し目買い有利とするが、ダブル底を割り込む場合は流れも大きく下落基調へ転じる可能性があると注意する。

84円超えからは上昇再開として16日午前高値84.164円試し、さらに84.50円に迫る上昇を想定する。また84円台を維持しての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。

83.50円以下での推移中は下向きとして83円台序盤(83.30円から83.00円)を試すとみるがそこは押し目買いも入りやすいところとみる。

11月17日の主な予定

  • 英国
  • 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.8%)
  • 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 3.1%、予想 3.9%)
  • 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.9%、予想 3.1%)
  • 16:00 10月 小売物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.8%)
  • 16:00 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 4.9%、予想 5.7%)
  • ユーロ圏
  • 18:00 ECB金融安定報告
  • 19:00  9月 建設支出 前月比 (8月 -1.3%)
  • 19:00  9月 建設支出 前年同月比 (8月 -1.6%)
  • 19:00 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.1%)
  • 19:00 10月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
  • 米国
  • 22:30 10月 住宅着工件数・年率換算件数 (9月 155.5万件、予想 158.0万件)
  • 22:30 10月 建設許可件数・年率換算件数 (9月 158.9万件、予想 163.0万件)
  • 23:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
  • 24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
  • 25:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
  • 25:20 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、ウォラーFRB理事、講演
  • 26:40 (米) ウォラーFRB理事、講演
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