ポンド円見通し 10月20日以降の安値を5日連続で更新

ポンド円見通し 10月20日以降の安値を5日連続で更新

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月3日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月2日終値は150.536円、前日比0.829円高と上昇した。取引レンジは150.798円から149.564円。

日足は7日ぶりに陽線引けで前日比でもプラスとなったが、11月26日のオミクロン株登場報道からの急落で11月12日安値152.356円を割り込んでからは5日連続で安値を更新している。

12月2日夜は前日までの2日間で千ドルを超える大幅下落となっていたNYダウが一時700ドル高を超える反騰を見せたことでやや過剰な悲観売りの流れにブレーキもかかった印象だが、オミクロン株の感染拡大は続いており、悲観し過ぎとして反騰入りしてゆくには楽観の根拠には欠けるところであり、ドル円もポンドドルも中勢の下落基調の範囲内で様子見の展開であり、ポンド円も反騰入りのきっかけを得るところまでには至らず、150円割れに対する突っ込み警戒感でやや戻したものの勢いに欠ける印象だ。

リスク回避での円高指向性強まる

日本においてもオミクロン株の感染例が確認され始めており今後はさらに急拡大してゆく可能性が懸念されるが、東京五輪を前後した感染急増が収束している状況にあって相対的には欧米よりもオミクロン株流入による経済的打撃への懸念は低い状況にあると思われる。

米国は高水準の新規感染者を出しつつウィズ・コロナ政策を進めてきた状況でオミクロン株の流入となり新たな感染急増を招く場合は景気回復のとん挫も懸念され、高インフレが続いていることによるスタグフレーション化への懸念も出てくるところだ。

欧州ではオミクロン発生前段階でデルタ株による感染急拡大に見舞われていたところにオミクロン株が流入してきた状況にある。オーストリア等でロックダウンが再開されたがフランスではロックダウンに踏み切らずに経済活動優先で感染対策への躊躇がみられる。

英国においても同様だ。しかし南ア周辺で発生したオミクロン株はまず欧州で急激に拡大し始めており、感染状況を一段と厳しくする可能性がある。

為替市場がリスク回避に動く場合、スイスフランと円が買われやすいが、今回は特に円への逃避も選択肢として指向されやすい状況だろう。欧米株安を見ながら日経平均はさらに一段と下落しかねないところだが、クロス円については本邦投資家のポジション縮小と買い戻しによる円高、株安債券高による米10年債利回り低下による日米金利差からの円高、両方の円高要因が重なりやすい状況と考えておきたい。

テクニカルポイント 150円割れを切り返してきた下値支持帯試し続く

ポンド円は4月23日安値149.070円、7月20日安値148.458円、8月20日安値149.182円、9月21日安値148.947円、10月1日安値149.233円と150円を割り込んだところは買い戻されて反騰入りを繰り返してきた。

現状も11月30日に149.730円まで下げ、12月1日に149.619円、2日に149.564円と150円を若干割り込んだところへ突っ込んできた状況にあるが12月2日には150円台を回復するところへ戻している。

このまま続伸に入り151.00円、151.50円をクリアする上昇へ進めば今回も150円割れを買い戻される下値支持帯は健在となり、10月20日以降の下げも一服して戻りを試す流れへ進む可能性が開けると思われるが、これまでの150円割れからの切り返しはいずれも3日連続陽線=赤三兵での反騰であり、1日、2日程度の下げ渋り型での150円台回復では切り返しに入ったとまで言えない状況だ。

今晩の米雇用統計をきっかけに上昇できれば切り返しに入る可能性が高まるが、逆に一段安するようだと下値支持帯も機能しなくなっての一段安入りとして下げ足が速まる可能性が出てくると注意したい。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

12月2日朝安値から持ち直しているため、現状は12月未明安値と12月2日朝安値をダブル底として戻しているところと考える。

このため12月2日朝安値を割り込まないうちは12月1日夕高値を基準として6日午後から8日夕にかけての間への上昇余地ありとするが、150円台での横ばい程度にとどまるうちは150円割れから下げ再開を疑い、2日朝安値割れからは新たな下落期入りとして7日朝から9日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では150円台での横ばいのため方向感に欠けるが、先行スパンを上抜いた状況を維持する場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、両スパン揃って悪化する場合は下げ再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで揉み合いのため、60ポイント超えからは70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れとみる。

12月3日の売買戦略

やや乱調な展開だが12月2日朝からの戻りが鈍くなっていること、戻り高値切り下がり基調の範囲での推移が続いているため当面は戻り売り有利の情勢と考える。
150.70円から151.20円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。150円割れからは下げ再開を疑い、2日朝安値149.564円割れからは148円台後半へ向かう流れとみる。
今晩の米雇用統計をきっかけに急伸する場合は151円台後半への上昇を想定するが、逆に一段安のきっかけとなって下げ足が速まる場合は148円台前半へ下値目途を引き下げる。

12月3日の主な予定

  • ユーロ圏
    ー17:30 ラガルド欧州中銀総裁、講演
    ー17:55 11月 ドイツ・サービス業PMI改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
    ー18:00 11月 ユーロ圏サービス業PMI改定値 (速報 56.6、予想 56.6)
    ー19:00 10月 ユーロ圏小売売上高 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
    ー19:00 10月 ユーロ圏小売売上高 前年同月比 (9月 2.5%、予想 1.2%)
  • 英国
    ー18:30 11月 サービス業PMI・改定値 (速報 58.6、予想 58.6)
  • 米国
    ー22:30 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 53.1万人、予想 55.0万人)
    ー22:30 11月 失業率 (10月 4.6%、予想 4.5%)
    ー22:30 11月 平均時給 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
    ー22:30 11月 平均時給 前年同月比 (10月 4.9%、予想 5.0%)
    ー23:15 ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
    ー23:45 11月 サービス業PMI改定値 (速報 57.0)
    ー24:00 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 66.7、予想 65.0)
    ー24:00 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.2%、予想 0.5%)