豪ドル円 豪ドル米ドルが一段安、円高も重なり10月21日以降の安値更新

豪ドル円 豪ドル米ドルが一段安、円高も重なり10月21日以降の安値更新

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月18日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月17日終値は82.897円、前日比0.940円安と大幅下落した。取引レンジは83.908円から82.821円。

11月12日からの反騰がつづいて16日午前には84.164円まで高値を伸ばしていたが、豪中銀総裁による「当面の利上げは必要ない」との講演での発言から失速、17日午前発表の豪四半期賃金コスト指数の伸びが予想を超えなかったことで続落となり、17日夜には115円台に届かずに上値が重くなっていたドル円が急落したことも重なって18日早朝には83円を割り込んだ。

注目情勢 主要中銀のスタンスの差が豪ドル米ドルを押し下げる

7-9月期の豪賃金コスト指数は前期比0.6%上昇で市場予想と一致して4-6月期の0.4%から伸びが加速し、前年同期比でも2.2%上昇となり4-6月期の1.7%から伸びが加速して市場予想の2.2%と一致した。しかし予想を超える上昇にならなかったことで豪中銀への利上げ催促的な圧力は後退した。豪中銀としては賃金コスト指数が前年比で3%を超える水準にならなければ賃上げによるインフレ進行にはつながらないとみているようだ。

豪中銀ののロウ総裁は11月16日の講演で「最新のデータや中銀予想は2022年内の利上げを正当化しない」と述べて早期利上げ観測を否定した。世界的なパンデミックからの景気回復による消費拡大とサプライチェーンの混乱継続によりインフレが進行している中で、米連銀はテーパリングを開始して来年半ばにも終了させ、その後に利上げ検討に入る姿勢を示しているが、バイデン政権がインフレ対策を最重要課題としたことで米連銀への引き締め圧力が高まっている。ECBは欧州の感染再拡大もあって利上げを急がない姿勢を強調している。英中銀は物価上昇と特に燃料費高騰により利上げへの圧力が高まっており12月会合でも利上げに踏み切るのではないかとの観測が出ている。

こうした中で豪中銀の引き締めへの姿勢はまだ緩慢であることが豪ドル米ドルの下落感を強めている印象だ。

豪ドル米ドルは10月28日高値以降の安値を更新しており、まだ8月20日安値から9月30日安値への底上げ基調の範囲にあるもpのの、既に9月3日から9月30日への下落規模を超え始めており、8月20日以降の支持線切り上がり基調から転落しかねないところにある。ドル高感が強まる場合は豪ドル米ドルは相対的に売られやすい状況にあると注意したい。

テクニカルポイント 豪ドル円は10月21日以降の安値更新

豪ドル円は11月18日未明への下落で10月21日高値以降の安値を更新した。11月10日の83円割れから切り返したことで下落も一服し、84円台をいったん回復したことで上昇再開に入る可能性も期待されたが一段安に陥ったため、現状は10月21日高値を起点とした下落基調の継続となった。

8月20日安値からは9月3日までを一段目とし、9月22日安値を起点として10月21日高値までが二段目の上昇だったが、10月21日からの下落規模はすでに9月22日への下落規模を上回ていることからさらに下げ足が速まりかねないところと注意したい。

日足チャート上の下値支持線は「手前の高値が今度の下値支持線」という定石で見れば9月3日高値82.023円であり、この高値にかぶさらない程度までで下げ止まれれば次に84円台を回復するところから上昇再開に入る可能性も出てくると思われるが、9月3日高値にかぶさる下落となる場合は8月20日からの上昇が二段上昇に終わる可能性も出てくるところと注意したい。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

11月15日午前時点では11月10日午後安値と12日朝安値をダブル底とした上昇期入りとして高値形成期を15日夜から17日深夜にかけての間とした上昇を想定してきたが、11月16日午前高値からの反落により83.50円台まで下げたため、17日午前時点では16日午前高値でピークを付けていったん下げに入っているとした。また安値形成期は17日午前から19日午前にかけての間と想定されるので既に反騰注意期に入っているものの16日午前高値を超えないうちは一段安警戒とした。

18日午前へ続落しているので引き続き安値を試す流れとみるが、83.30円を超えるところからは反騰入りと仮定して19日午前から23日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では16日午前高値からの下落で遅行スパンが悪化、17日午前への続落で先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は遅行スパン好転からとするが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすいとみる。

60分足の相対力指数は18日未明への下落で20ポイント台へ低下し、30ポイントをいったん超えてから再び割り込んでいるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換は50ポイントに到達する反騰が必要と思われる。

11月18日の売買戦略

11月10日午後と12日午前の安値をダブル底型とした上昇一巡から一段安へと形勢が悪化しているため、当面は戻り売り有利の情勢に入ったと思われる。
83.00円から83.30円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。

安値切り下がりが続くうちは82.50円、82.25円、さらに下げ足が速まる場合は82.00円試しへ向かう可能性もあると注意する。

11月18日の主な予定

  • 南ア中銀とトルコ中銀の政策金利発表あり
  • 豪州
  • 14:35 エリス豪中銀総裁補、講演
  • 米国
  • 22:00 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
  • 22:30 新規失業保険申請件数 (前週 26.7万件、予想 26.0万件)
  • 22:30 失業保険継続受給者数 (前週 216.0万人、予想 212.0万人)
  • 22:30 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 23.8、予想 24.0)
  • 24:00 10月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.8%)
豪ドル見通し5年後 豪ドルの5年後見通しは?100円超えの可能性や相場分析から見る買い時とは【2022年最新】