豪ドル円 昨年3月底以降で最大の日足陰線で急落

豪ドル円 昨年3月底以降で最大の日足陰線で急落

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月29日の相場分析です。

概況

豪ドルの11月26日終値は80.742円、前日比2.152円安と大幅下落した。取引レンジは82.996円から80.472円。

10月21日高値86.248円からの下落一服で11月19日安値82.160円を起点にやや持ち直して83円を挟んでの揉み合いが続いていたが、新型の変異株への不安が急速に拡大したことで26日午前から金融市場全般がリスク回避に走り、日経平均等アジア株が大幅下落する中でドル円が急落クロス円が総じて大幅安に見舞われた。また、株安と共に原油相場も暴落的な下げとなったことで資源通貨の豪ドルへの売り圧力が増して豪ドル米ドルも8月20日安値に迫るところまで急落した。このため豪ドル円は円高と豪ドル安の両面から叩かれての急落商状に陥った。

注目情勢 新変異種「オミクロン」による株安原油安、資源通貨安

WHOは11月26日にボツワナで発生して南アで急拡大した新型コロナウイルスの新たな変異株を「オミクロン株」と命名し、最高の警戒レベルであるVOC(懸念される変異種)に指定した。オミクロンの発生確認は11月11日のボツワナが最初、25日に南アでの100人近い感染が確認され、26日時点で香港、イスラエル、ベルギーで確認、27日には英国、ドイツ、イタリア、28日にはオランダ、オーストラリア、カナダ等でも確認されている。現在のワクチンが効かない「エスケープ株」の可能性も警戒されている。欧州ではデルタ株を主体として感染再拡大が再び深刻してオーストリア等がロックダウンに入る等規制強化の動きが広がっていたところでの新たな脅威であり、世界各国における南ア等関連諸国からの渡航制限が急速に拡大している。

11月26日はアジア市場から欧米市場へと世界連鎖株安の様相だったが、NY原油が前日比で13%安となる暴落となり、銅が3.5%安、プラチナが4.5%安、パラジウムが5.1%安と急落して資源エネルギー関連が総崩れとなった。安全資産買いでいったん買われていたゴールドも深夜へ失速している。

ユーロドルはユーロ圏投資家による買い戻しで上昇しており円とスイスフランとユーロが上昇、豪ドルや南アランド等の資源通貨が下落というように主要通貨の強弱は分かれたが、豪ドルにとっては自国への新変異株感染確認による不安感と共に資源エネルギー関連のコモディティが大幅下落していることで大きな圧迫を受けることとなっている。

テクニカルポイント 当日の高安で2.5円を超える下落規模の大陰線

11月26日の豪ドル円の日足は当日高値82.99円から安値80.47円まで2.52円安となる大陰線だった。昨年3月のコロナショック暴落からの出直り上昇期においては最大規模の大陰線である。

2020年2月後半からのパンデミック発生時において、豪ドル円は2月28日に当日の高値72.20円から安値69.39円まで2.81円安、前日比で1.69円安の大陰線を付け、その後にも3月9日には当日高値69.15円から安値65.73円まで3.45円安、前日比で2.53円安の大陰線を出現させている。

大陰線による下落から切り返しに入るには、大陰線の中心値(今回は81.73円)を超える反騰が必要だ。大陰線から続落陰線で下げる場合、下げ渋っても大陰線の下側3分の1程度での推移にとどまる場合、2日から3日をかけて戻しても中心値を超えないかわずかに超えても再び大陰線で下落する場合等は下落基調の継続となることが多い。

週足では4週連続の陰線による下落だが、下落角度としては5月10日高値からの下落時よりも鋭角的に進んでいる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

11月19日夜へ一段安したところからの持ち直しに入ったが、83円台序盤に抵抗感のある持ち合いでの推移となっていたため、26日午前時点では24日午後安値を割り込む場合は24日朝高値を起点とした下落期とみて25日夜から26日夜にかけての間への下落を想定するとした。

26日の急落は予想を超えるものだったが、11月27日早朝へ続落したところから週明けの11月29日は81円台序盤まで戻しているので、11月19日夜安値から5日を経過した11月27日早朝安値を目先の底として戻りを試しに入ったと仮定する。底割れ回避のうちは29日の日中から12月1日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、80.75円割れからは下げ再開を疑い、11月27日早朝安値割れからは新たな下落期入りとして12月2日未明から4日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月26日の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも大幅に下方へ乖離した。遅行スパンの悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンへ迫るような上昇へ進めないうちはその後に悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は11月26日夕刻への急落時に10ポイント割れまで下げ、その後の安値更新に際しては指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて戻しているため、40ポイント以上での推移中は50ポイント台を目指す可能性があるとみるが、40ポイント台を維持できずに失速する場合はもう一度10ポイント台を試しつつ一段安へ進みやすいとみる。

11月29日の売買戦略

週末暴落後の週明けとなるので、市場心理がやや悲観し過ぎたとして買い戻しの動きも見られる、オミクロンの重症化及び死亡率が軽いものとなれば市場心理も一挙に好転する可能性はあるが、当面は市場の疑心暗鬼は続くとみて豪ドル円も戻り売り有利の情勢が続きやすいとみる。

81.35円から81.65円ににかけてのゾーンは戻り売りされやすいところとみる。81円割れからは下げ再開注意として27日早朝安値80.472円試しとし、底割れからは80円、79.70円、79.50円等を順次試す流れとみる。

11月29日の主な予定

  • イラン核合意再建に向けた協議再開の予定
  • オーストラリア
  • 09:30 7-9月期 企業総利益 前期比 (4-6月 7.1%、予想 3.0%、結果 4.0%)
  • ユーロ圏
  • 19:00 11月 ユーロ圏消費者信頼感・確定値 (速報 -6.8、予想 -6.8)
  • 19:00 11月 ユーロ圏経済信頼感 (10月 118.6、予想 117.5)
  • 22:00 11月 ドイツ消費者物価指数・速報値 前月比 (10月 0.5%、予想 -0.4%)
  • 22:00 11月 ドイツ消費者物価指数・速報値 前年同月比 (9月 4.5%、予想 5.0%)
  • 米国
  • 24:00 10月 住宅販売保留指数 前月比 (9月 -2.3%、予想 1.0%)
  • 24:00 10月 住宅販売保留指数 前年同月比 (9月 -7.2%)
  • 29:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
  • 29:05 パウエル米連銀議長、イベントで開会挨拶

今週の豪州関連主な予定

  • 11/30(火)
  • 09:30 7-9月期 経常収支 (4-6月 205億豪ドル、予想 293億豪ドル)
  • 09:30 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 -4.3%、予想 -2.0%)
  • 09:30 10月 民間部門信用残  前月比 (9月 5.3%)
  • 09:30 10月 民間部門信用残  前年同月比 (9月 0.6%)
  • 11:00 デベル豪中銀副総裁、パネル討論会参加
  • 12/1(水)
  • 06:30 11月 AiG製造業景況指数 (10月 50.4)
  • 07:00 11月 製造業PMI (10月 58.5)
  • 09:30 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 0.7%)
  • 09:30 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 9.6%)
  • 12/2(木)
  • 09:30 10月 持家住宅ローン件数 (9月 1.4%)
  • 09:30 10月 貿易収支 (9月 122.43億豪ドル)
  • 12/3(金)
  • 06:30 (豪) 11月 AiG建設業景況指数 (10月 57.6)
  • 07:00 (豪) 11月 サービス業PMI (10月 55.0)
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