豪ドル円 10月22日への反落から持ち直しで高値更新を伺う三角持ち合い

豪ドル円 10月22日への反落から持ち直しで高値更新を伺う三角持ち合い

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月1日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月29日終値は85.715円、前日比0.050円高と小幅続伸した。取引レンジは85.867円から85.324円。

10月21日高値86.248円で5月10日高値85.795円を上抜いて昨年3月コロナショック以降の最高値を更新した後は上昇一服となり10月23日未明安値84.603円まで2日連続の陰線で調整安が入った。しかし週明けの25日からは持ち直しの動きを継続、27日午前に86.052円まで戻したところでは21日高値にわずかに届かず、その後も新たな高値更新へ進めずにいるが、日足は週末まで5日間を陽線引けで推移して徐々に日々の安値を底上げする展開となっている。

10月28日昼の日銀金融政策決定会合、28日夜のECB理事会と中銀イベントが続いたが、11月2日には豪中銀、4日未明に米FOMC、4日夜に英中銀MPC、5日夜に米雇用統計と重要イベントが続く前段階のために高値更新ヘ進むには推進力不足であるものの、豪中銀も引き締めスタンスへとシフトするのではないかとの思惑もあって豪ドルとしては相対的に確りしており、28日夜から29日へと乱高下したユーロやポンド等の動きに対しても比較的冷静さを保った印象だ。

注目材料 3年債の買いオペ2日続けて見送り、豪中銀の利上げ準備?

豪中銀はYCC(イールドカーブコントロールによる長期金利の低位誘導)政策として3年債利回りの誘導目標を0.1%としてきたが、10月28日と29日の両日、オペ対象となる2024年4月償還債の買い入れを見送った。

豪3年債の指標利回りは10月27日に0.98%へ上昇、28日に1.20%、29日には1.25%へと大幅上昇しており、年初来高値を更新、2019年5月以来の高水準となっている。

11月2日に豪中銀は理事会を開くが、政策金利を現状の0.10%で据え置くと予想されているものの、YCCの対象となる対象銘柄を2024年4月償還よりも早いものに変更するか、あるいは低位誘導そのものを止める可能性がある。またロウ豪中銀総裁は2024年までは利上げしないとの姿勢を繰り返し強調してきたが、そうした言い回しをやめるか、2022年後半から2023年にかけて利上げ開始を想定するような姿勢を打ち出す可能性もあるのではないかと思惑されている。先物市場では来年4月までには政策金利が現在の0.1%から0.25%へ引き上げられることを織り込んだ動きを示している。

世界的な物価上昇は継続しており、特に景気回復による消費拡大に対して供給が追い付かない需給ギャップが特にエネルギー価格の高騰を招き、それが全般的なインフレ感や物資不足にまで発展してきている。資源輸出国通貨としての豪ドル及び豪経済にとってはエネルギーや素材価格の高騰はプラスだが、国内景気への足かせともなる。長期に渡って継続していたロックダウンを徐々に解除して年末にかけての豪経済活動も活発化すると思われるが、そうした流れも踏まえてパンデミック対策としての金融緩和を正常化させる動きで主要国中銀に対してやや出遅れ感がある豪中銀のスタンスもそろそろ変わるだろう市場はみて豪3年債、10年債利回りの高騰で先取りしている印象だ。

11月2日に豪中銀が利上げへ向けた動きを示さずハト派姿勢を強調するなら豪ドル安へ、姿勢の変更を示唆するなら豪ドル高へとなびきやすいが、11月4日未明には米FOMCの結果発表、4日夜には英中銀のMPC、5日夜には米雇用統計と重要イベントも続くため値動きも大きくなりやすいと注意した。

テクニカルポイント、三角持ち合い

豪ドル円は10月21日高値86.248円から10月23日未明安値84.603円まで下落した後はこの高安レンジ内に収まった動きを続けている。

この間の安値は23日未明から27日夜安値85.043円へと底上げしており、28日から29日にかけてもジリ高の推移が続いている。一方で高値は27日午前の86.052円の後は86円に届かずにやや切り下がり気味ではあるが、21日昼高値86.248円以降を86円台序盤に上値抵抗帯のある状況とすれば、「上値抵抗線はほぼフラット、下値支持線は切り上がりでレンジ縮小型の三角持ち合い」の様相と言えそうだ。

86円台に乗せても維持できないうちは持ち合い範囲だが、豪中銀の金融政策や米FOMC等の重要イベントをきっかけとして10月21日高値を超えてくれば持ち合い上放れに入り、上値目途は2017年9月天井の90.293円へ切り上がってゆくと思われる。逆に85.50円を割り込んでくると23日未明安値と27日夜安値を結んだ右肩がありの支持線を割り込んでくるため、三角持ち合い下放れ開始となり、23日未明安値を割り込むと86円台序盤の抵抗きつくいったん仕切り直しの調整安に入って84円前後へ底固めを強いられる可能性も考えられる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月23日未明安値を起点として上昇基調にあるが、まだ10月21日高値を超えられない状況にある。10月29日午前時点では現状は27日夜安値と28日午前安値をダブルボトムとして新たな上昇期に入っているとし、11月1日午前から3日午前にかけての間への上昇余地ありとした。

11月1日午前序盤もジリ高の推移を維持しているのでまだ上昇継続中とみるが、85.50円割れからはいったん調整安が入るとみて11月1日夜から4日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日午後には遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたがその後も両スパン揃っての好転が維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパン転落への余裕もさほどないと注意し、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は27日夜と28日午前に30ポイント台へ低下したところを起点に上昇しており、週末からは50ポイント前後から60ポイント強のレンジで往来している。60ポイント超えから伸びる場合は70ポイント台を目指すとみるが70ポイント台ではいったん売られやすいと注意し、50ポイント割れから続落し始める場合は下げ再開とみて40ポイント弱への低下を想定する。

11月1日の売買戦略

昨年3月底からの上昇基調はなお継続中とみるが、目先は豪中銀理事会も控えて86円台では上値抵抗感の出やすいところとみる。より積極的には豪中銀理事会の反応を見て10月21日高値を超えれば90円を目指す流れへ乗ってゆきたいところと考える。

短期的には86円から86.20円台は戻り売りにつかまりやすく、85.50円割れからはいったん85.00円前後へ調整安を入れる流れとみる。85円台序盤、85円弱の水準あれば押し目買いされやすいとみる。

11月1日の主な予定

  • 11/1(月)
  • 豪州
  • 06:30 10月 AiG製造業指数 (9月 51.2、結果 50.4)
  • 06:30 10月 マークイット製造業指数 改定値 (速報 57.3、結果 56.2)
  • 09:30 10月 求人広告件数  前月比 (9月 -2.8%、結果 6.2%)
  • 09:30  9月 住宅ローン残高 前月比 (8月 -6.6%、結果 -2.7%)
  • 欧州
  • 17:55 10月 ドイツ製造業PMI改定値 (速報 58.2)
  • 18:00 10月 ユーロ圏製造業PMI改定値 (速報 58.5)
  • 18:30 10月 英国製造業PMI改定値 (速報 57.7)
  • 米国
  • 23:00 10月 ISM製造業景況指数 (9月 61.1、予想 60.2)
  • 23:00  9月 建設支出 前月比 (8月 0.0%、予想 0.5%)
  • 23:45 10月 製造業PMI改定値 (速報 59.2)
  • 25:00 イエレン米財務長官、講演
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