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豪ドル円の8月19日終値は78.475円、前日比0.949円安と大幅下落した。取引レンジは79.536円から78.244円。
当日の下げ幅としては1円を大きく超える日足大陰線での下落であり、7月20日安値からの下げ渋り型の持ち合いから下放れたことに加えて8月19日未明のFOMC議事録公開後のドル全面高が響いている。また19日昼にかけていったん上昇したドル円も反落するなど、豪ドル米ドルの下落をカヴァーするようなドル円の上昇がみられず、かえって豪ドル米ドル安とドル円の下落が重なる状況も見られる。
目次
注目材料 アジア感染爆発による景気回復の腰折れ懸念
8月19日にトヨタ自動車は9月の世界生産を計画比で4割減らすと報じられて19日の東京株式市場では自動車関連銘柄が売られた。翌月の生産を一挙に4割減らすという衝撃だが、パンデミック後の世界的な半導体不足が続いていることで、すでに生産に対しては支障が出ていたところに東南アジアでの新型コロナウイルスのデルタ株による感染爆発が深刻化したことで部品調達が停滞しているためという。アジアは世界の製造業にとっての重要な部品供給源だが、相次ぐクラスター発生で生産と出荷に支障が出ている事の深刻さが改めて浮き彫りとなった。
オーストラリアではデルタ株の感染拡大によりロックダウンを強いられたことにより、9月にも量的金融緩和政策の縮小を開始するとしていた豪中銀が縮小着手の延期も検討せざるを得ない状況にあり、オーストラリアからNZへとデルタ株が伝播したことでNZ中銀も市場が予想していた利上げを見送った。中国の景気回復も鈍化傾向にあり、米国の景況感も最近は悪化と減速が目立ち始めている。原油相場も大幅下落しているが、輸出依存の豪経済にとっては先行きへの不安を煽る状況であり、ドル全面高の中でも豪ドル米ドルの下落が目立ち、クロス円の中でも豪ドル円の下落が目立つ状況となっている。
中勢テクニカルポイント 持ち合い下放れで三段下げ型に
7月20日安値から8月12日までの間は5月10日からの下げ一服によるボックス型持ち合いの様相だったが、8月12日から8月17日にかけて4日連続の日足陰線で崩れて7月20日安値を割り込んだために持ち合い下放れからの一段安に入った。18日は下げ渋ったものの19日は米FOMC議事録公開からのドル全面安もあって日足大陰線での安値更新となった。
昨年3月底からの大上昇が5月10日高値でピークアウトとなり下落期に入った印象だが、6月21日安値までを一段目、7月20日安値までを二段目とすれば、現状の持ち合いからの下放れは三段目の下落期入りとなる。三段下げ型の下落においては三段目がより拡張的な下げに発展して一段目や二段目よりも大きくなる可能性もある。
既に下落規模としては昨年9月から10月にかけての下落時を下げ幅も期間も超える規模となっている。週足の一目均衡表では今週の下落で遅行スパンが実線を割り込む悪化となり、先行スパンへ潜り込んできている。また26週基準線も昨年8月以降継続してきた階段上りの上昇から下落に転じている。状況としては昨年3月底からの大上昇一巡による下落期として、当面はどのあたりで下げ止まれるのかを思案してゆく展開と思われる。
短期テクニカル分析
60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。
豪ドル円は8月11日夜高値をピークとした下落が8月18日午前安値で一服していたが、19日午後への下落で18日午前安値を割り込んでから下げ足は速まっている。現状は19日未明高値を起点とした下落期に入っており、18日午前安値を基準として次の底形成期は23日午前から25日午前にかけての間と想定されるので20日夜、21日未明にかけてはさらに安値試しを続けやすい時間帯と思われる。
60分足の一目均衡表では8月19日午後からの一段安で遅行スパンが再び悪化している。8月12日に先行スパンから転落した状況も続いている。このため遅行スパン悪化中は戻り売り有利の展開とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開として安値追及の流れとみる。強気転換は先行スパンを超えるところからとする。
8月20日の売買戦略
8月20日夜から21日早朝、さらに週明けにかけては安値試しが続きやすく戻り売り有利の情勢とみる。
78.70円から79円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。78円割れからは77.50円、77.25円、77.00円と段階的に安値試しが続きやすいとみる。
8月20日の注目経済指標
- ドイツ
- 15:00 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 1.3%、予想 0.8%)
- 英国
- 15:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.5%、予想 0.4%)
- 15:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 9.7%、予想 6.0%)
- 15:00 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
- 15:00 7月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (6月 7.4%、予想 5.7%)