ポンド円 ポンド安と円高重なり8月20日安値を割り込む

ポンド円 ポンド安と円高重なり8月20日安値を割り込む

おはようございます。大塚亮です。

2021年9月21日の相場分析です。

概況

ポンド円の9月20日終値は149.373円、前日比1.602円安と大幅続落した。取引レンジは151.046円から149.172円。

9月14日に英雇用統計が好調だったことで152.845円へ上昇して8月20日安値149.182円以降の高値を更新したものの、その後は9月15日夜にかけてのドル円の急落や、ポンドドルが9月14日高値からの下落基調が続いたことで失速、15日夜と16日夜に151円を割り込んだところからはいったん買い戻されて17日夜にはドル円の上昇を背景に151.918円まで持ち直したものの、17日深夜にドル全面高が進行してポンドドルが9月14日以降の安値を更新する一段安となったために151円を再び割り込んで先週を終えた。

週明けの9月20日はドル全面高の継続でユーロや豪ドル等がこの間の安値を更新、ポンドドルも21日未明まで安値更新を続ける一方、ドル円もリスク回避と米長期債利回り低下で21日未明に109.30円台まで急落したことで、ポンド円は夕刻に150円割れへ一段安となり21日早朝にこの日の安値149.172円まで続落した。
21日午前序盤は149円割れをひとまず回避、ポンドドルは低調なままだがドル円がやや戻していることで149円台中盤へややもどして下げ渋っている。

注目ポイント 中国恒大の経営危機で警戒感強まりリスク型の動き

中国不動産開発大手・中国恒大集団のデフォルト懸念が報じられたことを警戒して20日は欧米株が総じて下落した。NYダウは前日比614.41ドル安(1.7%安)となり一時は970ドル安を超える急落となった。ダウは9月3日から10日まで5日間続落した後は34500ドルを下値支持線として横ばいでの推移だったが、徐々に高値を切り下げていたところから20日は持ち合い下放れとなった。下落規模は6月への下落時を超えており、昨年9月及び10月の下落時並みとなり、今後の展開次第では昨年コロナショック暴落以降での最大級の下げとなりかねない状況だ。

中国の恒大によるデフォルト問題については中国当局が成り行き任せにして破綻の連鎖反応を招いて中国版のリーマンショックを発生させてしまうのではないかというところまでは市場も心配していないようだが、ここ数年何度も取り沙汰されてきた中国の過剰投資と債務増大が経済成長の回転が滞ればいずれ破綻すると思われていたことが現実味を帯びている。中国市場は20日と21日が中秋節での休場のため、休場明けの22日の中国市場動向が警戒される。

世界連鎖株安が深刻化するようだと、為替市場では投機通貨買いポジションの圧縮によるドル買いの動きが活発化する一方、クロス円全般が売られて円高となる。また米国株安から米国長期債への安全資産買いが進むと長期債利回り低下となりドル円にとってはリスク回避的な円高に加えて日米金利差面でのドル売り円買い圧力もかかるため、ポンド円としてはポンドドルでのドル高ポンド安に加えてドル円におけるドル安円高が重なって下げが厳しくなる可能性がある。

テクニカルポイント 8月20日安値割れ=三角持ち合い下放れへ

ポンド円は5月27日高値で昨年3月コロナショック以降の最高値を付けてから調整安の流れに入っている。戻り高値は6月23日、7月29日、9月14日と切り下がってきたが、先週末までは7月20日安値と8月20日安値を結ぶやや右肩上がりの下値支持線を割り込まずにいた。しかし9月20日の日足大陰線でこの支持線から転落、8月20日安値を割り込んで7月20日安値148.458円にもさほど余裕がなくなってきている。

7月20日安値以降を、高値切り下がりの上値抵抗線と安値切り上がりの下値支持線によるレンジ縮小型の三角持ち合いとすれば9月20日の下落で持ち合いから下放れ始めた状況といえる。7月20日安値割れを回避するか、わずかに割り込んでも切り返すなら150円割れを何度か切り返してきた3月以降の高値圏維持の範囲となりえるものの、7月20日安値割れからさらに続落の場合は下げ足も早まり下落期も長期化しかねないと懸念される。

今週の注目ポイント 米FOMCと英MPC

9月21-22日に米FOMCがあり23日未明には声明発表と議長会見がある。この会合ではテーパリング開始は見送られると市場は見ているが年内着手の流れは変わらず、メンバーによる利上げ予想時期の中央値が前倒しされるようだとドル高反応のきっかけとなりやすい。

23日夜には英中銀金融政策決定会合(MPC)がある。

9月8日に英中銀のベイリー総裁が英下院の財務委員会において「8月の金融政策委員会では利上げ検討に向けて最低条件が整ったと考えるメンバーと回復の力強さが十分ではないと考えるメンバーとで半々に分かれた」とし、自身は「利上げを正当化するほど十分に回復していない」と述べている。英中銀は8月5日の前回会合で「出口戦略」の指針を示し、「政策金利が0.5%に達した段階で償還金を再投資せず保有債の縮小を開始、政策金利が1%に達した段階で保有債の積極的な売却を検討する」としている。英国も米国同様に景気回復と物価上昇、雇用改善を踏まえて金融緩和政策の正常化プロセスを模索し始める段階にある。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

9月15日夜と16日夜の両安値をダブル底としていったん持ち直しに入っていたが、17日夜高値を起点とした下落で一段安に入ったため、17日午前時点では9月17日夜高値を起点とした下落期として15日夜安値を基準とすれば次の底形成期は20日夜から22日夜にかけての間、16日夜安値を基準とすれば21日夜から23日夜にかけての間への下落が想定されるとした。

21日未明安値からはやや下げ渋りがみられるので150.50円超えからはいったん戻しに入るとみて21日の日中から24日にかけての間への上昇へ進む可能性が出てくるが、150円を超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とする。
米FOMC及び英MPCから次の流れへ進み始めると思われるが、目先は安値試しで推移しやすいところだ。

60分足の一目均衡表では9月17日夜高値からの急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、先行スパンを突破できないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は17日夜からの急落で20日午前に20ポイント割れまで下げた後は相場が安値を更新しても指数のボトムが切り上がっているのでやや戻しやすい状況にあるが、強気転換は50ポイント台回復からとし、50ポイントまで戻せないうちは一段安余地ありとみる。

9月21日の売買戦略

9月15日夜安値と16日夜安値によるダブル底を割り込んで一段安しているため、米FOMC及び英MPCで流れが変わるまでは戻り売り有利の展開で安値試しへ進みやすいとみる。

150円から150.25円にかけては戻り売りゾーンとみる。安値更新からは147円台中盤(147.70円から147.30円)を試す流れとみる。147.30円以下は反騰注意とするが、150円以下での推移なら22日も安値試しが続きやすいとみる。

9月21日の注目指標

  • 休場 中国、台湾、韓国
  • 日銀金融政策決定会合の初日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の初日
  • 政策金利発表 インドネシア、スウェーデン ハンガリー
  • OECD世界経済見通し
  • ユーロ圏
  • 16:05 デギンドスECB副総裁、講演
  • 米国
  • 21:30 4-6月期 経常収支 (1-3月 -1957億ドル、予想 -1900億ドル)
  • 21:30 8月 住宅着工件数・年率換算件数 (7月 153.4万件、予想 154.2万件)
  • 21:30 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 -7.0%、予想 0.5%)
  • 21:30 8月 建設許可件数・年率換算件数 (7月 163.5万件、予想 159.3万件)
  • 21:30 8月 建設許可件数 前月比 (7月 2.6%、予想 -2.3%)
  • 26:00 財務省20年債入札
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