ポンド円見通し 米長期債利回り上昇でドル円が上昇するもポンドドルが下落

ポンド円見通し 米長期債利回り上昇でドル円が上昇するもポンドドルが下落

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月8日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月7日終値は150.367円、前日比0.181円安と小幅反落した。取引レンジは151.127円から150.120円。

オミクロン株発生報道をきっかけとしたリスク回避の動きが続いてきたが、12月5日に米国立アレルギー感染症研究所ファウチ所長がオミクロン株の重症化率はそれほど高くないと述べたことをきっかけにオミクロン株へのやや過剰な不安心理が後退、12月6日からNYダウが大幅連騰となり為替市場もリスク選好感を回復、ポンド円はポンドドルの上昇とドル円の上昇が重なって12月4日早朝安値148.983円を起点として反騰入りした。

12月6日は前日比1.237円高の大幅上昇となり、12月7日夕刻には151.127円まで高値を切り上げてきたが、株買い債券売りにより米長期債利回りが大幅上昇したことで金利面を意識してポンドドルが下落、ドル円も114円台へ乗せるのは時期尚早として上げ渋ったためにポンド円は150.120円まで反落した。12月8日午前は150円台前半で横ばいの推移となっている。

注目情勢 NYダウ連騰だが米長期債利回り上昇がポンドドルには圧迫感

12月7日には英製薬大手グラクソ・スミスクラインによる抗体治療薬「ソトロビマブ」が初期段階の研究データではオミクロン変異株の全ての変異に有効だとの結果を得られたと発表した。12月5日のファウチ所長発言に続いてオミクロン株への不安を後退させるニュースとして米国株式市場は大幅続伸となり、NYダウは7日の連騰で6日からの上昇幅は千ドルを超えた。その一方で景気回復の継続=世界規模でのサプライチェーン混乱によるインフレ進行は継続として米長期債利回りは上昇した。

12月14-15日に米連銀のFOMCが開催されて16日未明には金融政策発表があるが、11月22日にパウエル米連銀議長が再任された際にインフレと戦う姿勢を鮮明にしたこと、その後の米議会での議長証言がテーパリングの早期終了方針を示すものだったことから、米連銀による利上げ想定時期も従前寄りは前倒しされる可能性がある。原油相場もNYダウと共に反騰入りしていることでインフレ継続感も強まっており、主要中銀による金融緩和終了へ向けた動きが注目されるが、欧州での感染拡大はオミクロン株登場以前から深刻化しているため、ECBも英中銀も利上げを躊躇せざるを得ないところにある。このため米長期債利回りが上昇する局面では中銀のスタンスの差も意識されてポンドドルは下げやすい状況ともいえる。

テクニカルポイント 150円割れを切り返してきたパターンの継続性、まだ試し中

ポンド円は7月20日、8月20日、9月21日、10月1日と150円を割り込んだところを買い戻されて148円台から150円弱の範囲で強固な下値支持帯を形成してきたため、11月30日に150円割れへ突っ込んだところでも従来と同様に切り返せるかどうかを試すこととなった。12月3日(4日早朝)安値で148.983円まで下げたところから反騰したものの、7日夕刻からは再び失速しているため、150円台を維持できるか、再び150円を割り込んでも切り返せるかどうかをまだ試しているところといえる。

12月7日夕高値151.127円を超えてくれば12月3日安値を起点として150円割れからの切り返し上昇の継続感が強まると思われるが、150円を挟んで揉み合うような状況が続くと、切り返しきれずに下値支持帯からの転落へ進む懸念もまだ残るところだ。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。
12月6日午前時点では12月4日早朝安値を起点として上昇期に入ったとして高値形成期を7日の日中から9日夜にかけての間と想定したが、7日夕安値から反落しているため既にピークを付けて下落期に入っている可能性がある。150円台を維持するかわずかに割り込んでも早々にきりかえすなら150.50円超えから上昇再開とみるが、149.90円割れからは下落期入りとみて9日早朝から13日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月7日夕高値からの反落で遅行スパンが悪化している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月7日夕刻への上昇で70ポイントを超えたがその後の反落で50ポイントを割り込んでいるため下落期入りの可能性が高まっている。55ポイントを超える反騰の場合は上昇再開の可能性が出てくるが、50ポイント以下での推移が続くうちは下向きとして30ポイント割れを目指すとみる。

12月8日の売買戦略

12月4日早朝からの反騰一巡で調整安に入っているところだが、ここで押し目形成として次の上昇期へ向かえるか、12月4日早朝安値に迫って一段安への懸念が強まるのか試されるところだ。

149.50円台までは押し目買い有利の情勢とし、150.50円超えからは上昇再開で151円台前半を目指す流れとし、7日夕高値超えからは上昇も本格化してくるとみる。

149.50円割れからはいったん仕切り直しとして149円前後試しへ向かうとみる。149円前後は買い拾われやすいとみるが、その後の戻りが鈍いようだと下落継続性に注意がいると思われる。

12月8日の主な予定

  • 休場 フィリピン(聖母受胎祭)、カナダ中銀とブラジル中銀の金融政策決定会合
  • ユーロ圏
    ー17:15 ラガルドECB総裁、発言
  • 米国
    ー24:00 10月 雇用動態調査(JOLT)
    ー24:30 エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計
    ー27:00 財務省10年債入札