ポンド円 10月20日高値以降は調整気味の推移続く

ポンド円 10月20日高値以降は調整気味の推移続く

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月1日の相場分析です。

概況

ポンド円の10月29日終値は156.014円、前日比0.643円安と下落した。取引レンジは157.090円から155.787円。

9月21日安値148.947円で7月20日安値148.458円割れを回避してダブルボトムを形成し、10月1日からの全般的なドル安の流れを背景としたポンドドルの上昇と、ドル円の上昇も重なったことで10月20日には158.219円へ上昇、5月27日高値156.061円を超えて昨年3月底以降の高値を更新、2018年2月天井の156.605円も超えて2016年6月以来の高値水準に達した。しかしその後は調整安につかまって10月23日未明安値155.930円へ下落、いったん戻すも10月27日夜に155.709円へ安値を切り下げ、29日夜の反落から30日早朝には155.787円まで下げて安値更新への余裕が乏しくなっている。

ドル円は10月20日に114.699円を付けて年初来高値を更新したところから28日夜安値113.256円へ下落、その後は戻したのの、ポンドドルが10月21日未明高値の後を持ち合い推移だったところから29日夜に急落したことでポンド円も10月20日からの軟調な推移の範囲にとどまっている。

注目情勢、英中銀は利上げに踏み切るか

11月4日未明には米FOMCの結果発表があるが、4日夜には英中銀金融政策委員会(MPC)がある。

最近の物価上昇と景気回復を踏まえて英中銀は9月までの緩和継続的な姿勢の強調から利上げの準備ができ始めているという姿勢の表明へとスタンスを変えてきているため、今回のMPCでは3年3か月振りの利上げがありえるのではないかと市場は注目している。11月1日時点の市場予想中心は0.25%への利上げを見込んでいる。

10月20日に発表された9月英国消費者物価指数は前年同月比3.1%上昇で8月の3.2%からはやや鈍化したものの高水準にあり英中銀の物価目標である2.0%を5か月連続で上回っている。

英中銀は8月時点では年末にかけて消費者物価上昇率が4%まで上昇する可能性があるとしたがその後は2%へ低下するとの楽観的な見通しだった。9月時点では年末の見通しを4%超として緩やかな引き締めが必要となる根拠が強まったようだと表現した。

ベイリー英中銀総裁は9月27日に、「ある時点では利上げという形で金融緩和を解消し始める必要がある」と発言。利上げ時期については「現行の資産買い入れプログラムの終了を待つ必要はない」と述べたため市場は年内の利上げ可能性が浮上したと受け止めた。総裁は10月17日時点では物価上昇についてもこれまでの一時的との見方から長期化する可能性とそれに対する行動の必要性に言及したため、市場は11月と12月の2会合連続で利上げされる可能性があると受け止め始めた。

テクニカルポイント 156円割れを買われて確りできるかもう一段安を試すか

ポンド円は10月30日早朝安値で155.787円を付けたが11月1日午前序盤は156円台を回復している。

10月23日未明安値155.930円と10月27日夜安値155.709円のいずれも買い戻されたことで156円割れに対する買い気も見られるところであり、10月29日夜に急落する前の高値157.090円を超えてくれば156円を割り込んだ三度の安値で60分足レベルでの三点底=逆三尊型の底打ちパターンを形成して持ち直しに入る可能性がある。158円に迫るところからは10月20日からの下げ幅の倍返しで160円台を目指す可能性も開けると思われる。

しかし、10月20日昼高値158.219円から26日深夜高値157.762円、29日夜高値157.090円と戻り高値は切り下がっており、現状は「上値抵抗線が切り下がりつつ156円割れを買い戻される右肩下がりの三角持ち合い」の様相といえる。このため29日夜高値を超えれば三角持ち合いの抵抗線突破へ挑戦してゆく流れへ進みやすくなるが、29日夜高値に届かないうちは戻り高値切り下がりからの一段安懸念を抱えたままとなり、27日夜安値155.709円割れからは三角持ち合い下放れ開始として下げ足が速まる可能性があると注意する。その際は155円割れを試す可能性も出てくると思われる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

10月29日午前時点では、10月27日夜安値を目先の底として戻しに入った状況とし、高値形成期を10月29日夜から11月2日夜にかけての間と想定したが、29日夜の急落で27日夜安値に迫ったため、現状は29日夜高値を起点として下落期に入った状況と考えられる。強気転換には29日夜高値を超える必要があり、超えられないうちは11月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。10月29日夜高値を超える場合は27日夜安値とのダブル底ないしは23日未明安値も含めて三点底からの反騰入りと見て11月3日から5日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では29日夜の下落で先行スパンから転落、遅行スパンも悪化したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。ただし先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は29日夜高値時には70ポイントに届かずその後の反落で30ポイント台へ低下した。1日午前時点では50ポイント超えへ戻せずにいるので40ポイント割れからは下げ再開として30ポイント割れを目指すとみるが、55ポイントまで戻してその後も50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開とみて70ポイントを目指す流れと考える。

11月1日の売買戦略

10月1日からの上昇一服による調整期として安値の落ち着き処を探るところであり、三角持ち合い型での推移のため、10月29日夜高値を超えないうちは戻り売り有利の情勢と考える。

156.50円から10月29日夜高値157.090円手前までは戻り売りにつかまりやすいところとみる。156.20円以下での推移中は下向きとし、27日夜安値155.709円割れからは155円試しへ向かう流れとみる。英中銀MPC前のため、155円台序盤から155円割れの水準は買い拾われやすいとみる。

11月1日の主な予定

  • ドイツ
  • 17:55 10月 製造業PMI改定値 (速報 58.2)
  • ユーロ圏
  • 18:00 10月 製造業PMI改定値 (速報 58.5)
  • 英国
  • 18:30 10月 製造業PMI改定値 (速報 57.7)
  • 米国
  • 23:00 10月 ISM製造業景況指数 (9月 61.1、予想 60.2)
  • 23:00  9月 建設支出 前月比 (8月 0.0%、予想 0.5%)
  • 23:45 10月 製造業PMI改定値 (速報 59.2)
  • 25:00 イエレン米財務長官、講演