ポンド円 ポンドドルが上昇するもドル円の急落でポンド円は4連騰ならず

ポンド円 ポンドドルが上昇するもドル円の急落でポンド円は4連騰ならず

おはようございます。大塚亮です。

2021年11月18日の相場分析です。

概況

ポンド円の11月17日終値は153.958円、前日比0.212円安と小幅下落した。取引レンジは154.698円から153.738円。

英中銀が11月4日の金融政策決定会合で利上げを見送ったことでポンドドルが急落してポンド円は11月12日朝に152.356円まで下落していたが、その後はポンドドルが持ち直しに入ったこととドル円が115円に迫るところへ急騰したことを背景に上昇に転じ、日足は12日から16日まで3日連続陽線(赤三兵)で上昇、17日も夕刻に154.698円まで高値を切り上げて4連騰を伺っていたが、115円に届かなかったドル円が114円割れまで急落したことに圧されて154円を割り込む反落となり、日足は上ヒゲの目立つ陰線に終わった。

注目材料 英消費者物価上昇率は10年ぶり高水準に

英国立統計局(ONS)が11月17日午後に発表した10月消費者物価指数の伸び率は前月比1.1%となり9月の0.3%から大幅に加速して市場予想の0.8%を超えた。前年同月比は4.2%となり9月の3.1%から大幅に上昇して市場予想の3.9%も超えた。前年比の伸び率は凡そ10年ぶりの高水準となった。

10月の小売物価指数の伸び率は前月比1.1%となり9月の0.4%から加速して市場予想の0.8%を上回った。前年同月比は6.0%となる9月の4.9%から加速、市場予想の5.7%を上回った。

ONSによれば電力、ガス、その他燃料が主な上昇要因であり、ガス料金は前年比で28.1%上昇した。資源エネルギー価格高騰は景気回復による需要急増に対してサプライチェーンがボトルネックを引き起こしていることが主因とされるが、英国及び欧州での感染再拡大と真冬の到来と燃料需要の拡大を踏まえればさらに物価上昇が進行する可能性も高まる。

英中銀は11月4日の金融政策決定会合では利上げを見送ったが、物価上昇を踏まえて12月会合では利上げに踏み切るのではないかとの観測も強まってきた印象だ。

注目ポイント ポンドドルは4連騰

英国の10月消費者物価上昇率が予想を上回ったことでポンドドルは買われており、11月12日午前安値1.3353ドルからの上昇基調を継続している。17日昼にユーロドルが急落したところでは1.34ドルを若干割り込んだものの夕刻から持ち直し16日夕高値1.3471ドルを超えて17日夜には1.35ドルに迫ってきている。

日足は4日連続の陽線であり、ポンド円が4連騰を決められなかったものの原市場としてのポンドドルは確りしている状況だ。

世界的なインフレ進行に対して主要国中銀は域内の景気回復度合いと物価上昇率を見ながら難しい対応を迫られており、中銀のインフレ対策姿勢に差が出ている。

米連銀は利上げを急がない姿勢を示しつつテーパリングを開始しているが、利上げ時期についてはテーパリング終了後に検討されるものとして当面は利上げへ進む可能性が低い。ECBは11月15日のラカルド総裁による欧州議会証言で利上げを急がない姿勢を強調したため、15日から17日昼にかけて大幅下落した。

英中銀は10月時点で11月と12月の二会合連続で利上げするのではないかとの観測が浮上していたが11月4日会合では利上げを見送った。まだ利上げ支持は少数派に過ぎないが、物価上昇に対する懸念の度合いは米連銀よりも深刻な受け止めとなっている印象であり、あるいは12月会合での利上げの可能性もあるところだ。
こうした中銀のスタンスの差が現れているためにユーロポンドではユーロ安ポンド高が進行しており、ユーロポンドは2020年3月以降の最安値を更新して2019年12月の安値水準に迫っている。ユーロ売りポンド買いによるポンドへの押し上げ、利上げ可能性を踏まえたポンドの堅調さがポンド円を支えれば、ドル円の再上昇からポンド円がもう一段高へ進んでも不思議ないところとみる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

11月12日朝安値を起点として上昇してきたが、17日夕高値からの反落で154円をいったん割り込んだため、現状は17日夕高値で目先のピークを付けて調整安に入ったところと思われる。安値形成期は12日朝安値を基準とすれば17日朝から19日朝にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地が残るものの反騰注意期に入ったところといえる。154.30円を下回るうちはもう一段安警戒とするが、154.30円超えからは17日夕高値試しとし、高値更新からは新たな上昇期に入ったとみて高値形成期を22日午後から24日夕にかけての間とした上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月17日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンの上限に来ている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落の場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。ただし先行スパンが下値支持帯として機能する場合は底固い動きを採りやすいとみて、遅行スパンが好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は11月17日夜の下落で50ポイントを割り込んでその後も50ポイント前後が抵抗となっている。50ポイントを下回るうちは一段安警戒として30ポイント割れを試す可能性があるとみるが、55ポイントを超えてその後も50ポイント台を維持し始める場合は上昇再開の可能性を優先する。

11月18日の売買戦略

10月20日からの下落一服から戻りを試しに入っているところであり、11月10日深夜高値を超えてきたことで戻り高値切り上がりの強気パターンに入っている印象もあるので、目先は調整安の落ち着き処を探るが、上昇基調継続とみて押し目買い有利の情勢と考える。

154.30円以下での推移中は下向きとし、153.50円から153.00円にかけてのゾーンを試すとみるが、153.20円以下は買われやすい水準とみる。154.30円超えからは上昇再開の可能性ありとみて17日夕高値154.698円試しとし、更新からは週をまたいでの上昇継続の可能性ありとみて155円台前半を目指す上昇を想定する。

11月18日の主な予定

  • 南ア中銀とトルコ中銀の政策金利発表あり
  • 米国
  • 22:00 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
  • 22:30 新規失業保険申請件数 (前週 26.7万件、予想 26.0万件)
  • 22:30 失業保険継続受給者数 (前週 216.0万人、予想 212.0万人)
  • 22:30 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 23.8、予想 24.0)
  • 24:00 10月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.8%)