ポンド円見通し 米FOMC後に乱高下するも12月3日以降の高値更新

ポンド円

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月16日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月15日終値は151.244円、前日比0.798円高と大幅上昇した。取引レンジは151.308円から150.283円。

米FOMCを前後してポンドドルは乱高下となり、15日夕高値1.32829ドルから16日早朝に1.31717ドルまで急落してから16日朝に1.32723ドルまで切り返した。一方でドル円はFOMC直後のドル高局面で114.268円へ上昇して11月30日夜安値112.528円以降の高値を更新してからも114円割れを買われて確りした。

ポンド円はポンドドルの乱高下に若干振り回されたものの16日早朝へのポンドドルの反騰とドル円の騰勢継続により16日朝高値で151.308円へ上昇して12月3日(4日早朝)安値148.983円以降の高値を更新した。

テクニカルポイント、150円割れからの切り返しパターン

ポンド円は12月3日(4日早朝)安値で148.983円まで下落した後は新たな安値更新を回避しつつも12月7日高値151.127円から再び150円を割り込むなど、150円を挟んだ揉み合いの様相が続いてきた。

7月20日安値148.458円や8月20日安値149.182円、9月21日安値148.947円等で150円を割り込んだところは買い戻されるパターンを繰り返してきたことで150円弱から148円台中盤までのゾーンがポンド円にとっては岩盤的な下値支持帯となってきていた。今回もこのパターンを繰り返せるかどうか試していたところだが、切り返しに時間がかかっていたために150円を挟んだ下げ渋り持ち合いにとどまって下放れする懸念も続いていた。

しかし12月15日の上昇により12月3日からの上昇も二段目に入ったことで、今回も150円割れからの切り返しに入った印象だ。

米FOMCはテーパリングの2022年3月終了と2022年の3回の利上げ姿勢を示してインフレと戦うタカ派へとシフトしたが、低金利水準はしばらく続いてインフレを伴いながらも景気回復は続くとしてNYダウが大幅高、米長期債利回りの上昇も小幅にとどまったことで為替市場はリスクオン優勢の流れとなりドルストレートでのドル安、クロス円の円安という印象だ。

注目情勢 英国のオミクロン株感染爆発

英国では新型コロナウイルスの新たな変異株で感染力の高いオミクロン株による新規感染者が日々倍増する勢いで急増している。12月15日の英国における新規感染は7万8000人を超えた。昨年2月のパンデミック発生以降の最大ピークは今年1月の6万8000人だったがこれを超えて最多を更新している。

今年1月の感染爆発期に英国はロックダウンを行ったが、今回は今のところワクチン接種の普及率を踏まえてまだロックダウンには走っていないが、今後の感染爆発が深刻化するようだとロックダウンが再開される可能性も懸念される状況だ。既にオミクロン株による死者も出ているため、重症化率が低いとしても感染者数が膨張すれば医療逼迫を招く事も考えられる。

米国も感染急増の中でウイズ・コロナ政策により経済活動を継続しているが、今後の展開次第ではFOMC後のリスク選好的な金融市場全般の流れにブレーキを掛ける可能性もあると注目しておきたい。

注目材料 12月16日夜の英中銀MPC

12月16日夜に英中銀の金融政策委員会(MPC)が開催される。先行して政策発表のあった米連銀FOMCがタカ派へシフトしたことにより英中銀もインフレ対策として利上げへ踏み切りやすい環境と思われるが、感染拡大の影響もあり、今回のMPCでは利上げは見送られるのではないかと予想されている。

利上げ見送りの場合でも次回以降の会合での利上げ可能性が高まる場合はポンド買い材料となる可能性があると思われる。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。

12月4日早朝安値以降は12月8日夜、9日夜、10日深夜、14日昼と安値は切り上がってきていたが、16日未明への反落でも底上げ基調を維持して一段高に入ったので、現状は14日昼安値を起点とした上昇期にあると思われる。高値形成期は13日夜高値を基準として16日夜から20日夜にかけての間と想定されるので、16日未明の反落時安値を割り込むような下落とならないうちは高値追及へ進みやすいとみる。

60分足の一目均衡表では12月16日早朝への一段高により遅行スパンの好転と先行スパンを突破した状況が維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は70ポイント手前へ急伸したが、15日夕高値から16日朝高値へと一段高した際には指数のピークがほぼフラットにとどまって弱気逆行の気配となっている。70ポイントを超えれば逆行破りで上昇に勢いがつくと思われるが、50ポイント割れまで失速する場合はいったん下げに入る可能性があると注意する。

12月16日の売買戦略

150円割れからの切り返しの流れに入り12月4日早朝安値以降の高値を更新してきたため、さらに高値追及へ進みやすいとみて押し目買い有利の情勢と考える。
急騰後の反動安に注意しつつ、151.80円から151.50円にかけてのゾーンは押し目買いされやすいとみる。

高値更新からは152円台回復を目指すとみる。

12月16日の主な予定

  • スイス中銀(17:30)、トルコ中銀(20:00)、メキシコ中銀(28:00)に政策金利発表あり
  • ユーロ圏
    ー17:30 12月 独製造業PMI速報値 (11月 57.4、予想 56.8)
    ー17:30 12月 独サービス業PMI速報値 (11月 52.7、予想 51.0)
    ー18:00 12月 ユーロ圏製造業PMI速報値 (11月 58.4、予想 57.8)
    ー18:00 12月 ユーロ圏サービス業PMI速報値 (11月 55.9、予想 54.1)
    ー19:00 10月 ユーロ圏貿易収支・季調済 (9月 61億ユーロ、予想 58億ユーロ)
    ー21:45 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
    ー22:30 ラガルド欧州中銀総裁、定例記者会見
  • 英国
    ー18:30 12月 英製造業PMI速報値 (11月 58.1、予想 57.6)
    ー18:30 12月 英サービス業PMI速報値 (11月 58.5、予想 57.0)
    ー21:00 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
  • 米国
    ー22:30 11月 住宅着工件数・年率換算件数 (10月 152.0万件、予想 156.7万件)
    ー22:30 11月 建設許可件数・年率換算件数 (10月 165.0万件、予想 166.3万件)
    ー22:30 新規失業保険申請件数 (前週 18.4万件、予想 20.0万人)
    ー22:30 失業保険継続受給者数 (前週 199.2万人、予想 193.6万人)
    ー22:30 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 39.0、予想 30.0)
    ー23:15 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 1.6%、予想 0.7%)
    ー23:15 11月 設備稼働率 (10月 76.4%、予想 76.8%)
    ー23:45 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.3、予想 58.5)
    ー23:45 12月 サービス業PMI速報値 (11月 58.0、予想 58.5)