FXは「フラクタル構造」で攻略せよ!相場をシンプルに捉える必勝パターンとは

相場は生き物である」という言葉をご存じでしょうか?

為替相場はまるで生き物のように複雑な動きをするため、トレーダーにとって相場の予測は容易ではない、という意味の言葉です。

しかし、本当に相場の動きは予測不能なのでしょうか?

本記事では、少しでも相場の予測精度を上げるために、「フラクタル構造」と「相場のパターン」について解説していきます。

フラクタル構造と相場のパターン

生き物であれ相場であれ、ランダムな動きをしているように見えても、その動きには「一定のパターン」が存在します。

そして、そのパターンを突き止めることが出来れば、予測するのはそこまで難しい話ではありません。

これはFXにも同じことが当てはまり、相場はランダムに動いているように見えても、「ある法則」によって形成されていると気づく場面があります。

また相場に「ある法則」と、テクニカル分析を組み合わせることで、さらに予測精度は向上していくでしょう。

そして、気になる「ある法則」の正体とは「フラクタル構造」と呼ばれるもので、正しく理解しておくことで、より優位性の高いトレードが実現できるはずです。

フラクタル構造とは?

フラクタル構造とは「ある一部分を切り取って見ると、全体に相似した構造になっている」ということを意味します。

裏を返せば「部分が全体を構成している」という言い方にもなるでしょう。

ただ言葉だけでは全容が掴みづらいと思われますので、具体的にフラクタル構造を理解するために、まずは以下の画像をご覧ください。

フラクタル構造

これは、フラクタル構造を表したシンプルな例です。

左側の大きな三角が「全体の形」としましょう。その三角の右下部分(赤丸で囲われた部分)を拡大すると、また同じ三角形が現れました。

これを繰り返していくと、無限に同じ形状の三角形が規則的に現れ続ける、というのがフラクタル構造の基本的な考え方です。

フラクタル構造は、世の中のあらゆる物体にも見受けられます。雪の結晶、ブロッコリー、森林、海岸など、部分と全体の形が相似している構造は全てフラクタル構造です。

そして興味深いのは、この構造の仕組みが、相場の値動きでも見られるということ。

相場では、1分足・5分足……日足・週足・月足と、様々な時間足のチャートが存在しますが、上位足の形を辿ってみると、短期足でも似たような形の波形を細かく形成しているのがわかります。

このフラクタル構造が理解できてくると、今まで複雑に思えた相場分析も、非常にシンプルなものに見えてくるでしょう。

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フラクタル構造を使った相場分析

為替相場におけるフラクタル構造で、もっとも分かりやすいのは「エリオット波動」です。

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冒頭でもお伝えしましたが、一見気まぐれに動いているように見えるものでも、その中には規則性があり、それはチャートでも同じです。

まずは、こちらの画像をご覧ください。

フラクタル構造

まず注目してもらいたいのは、左の上位足(長時間足)におけるエリオット波動の動き。

ここでは例えば1時間足としましょう。その5波を形成している部分を、5分足の下位足(短時間足)で見てみます。

すると右図のように、同じようにエリオット波動の波形を描くということが頻出します。

話を簡単にまとめると、以下の通りです。

・上位足で上昇波形を作っていれば、下位足でも同様の上昇波形を作る

・上位足で下降波形を作っていれば、下位足でも同様の下降波形を作る

まさにこれが、フラクタル構造というわけです。

実力のあるトレーダーが、1分足や5分足でトレードする際にも、上位足から相場を確認する理由は、実はここにあります。

彼らにとって、相場分析をする上で、上位足の一部が下位足というのは当たり前。

異なる時間足(上位足と下位足)での「共通点(フラクタル構造)」を見つけることで、より勝率の高いポイントや、トレードを避けたほうがいいポイントがわかるからです。

これが理解できているかどうかが、初心者と上級者との違いと言えるでしょう。

つまり、相場のフラクタル構造がわかっていれば、他の人よりも頭ひとつ抜き出たトレードができるといっても過言ではありません。

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フラクタル構造の特性を用いるメリット

フラクタル構造の特性を理解できれば、様々なメリットを享受できるようになります。

メリット1:トレンドに上手く乗じれる

FXにおいて、フラクタル構造を確認することとは即ち、1つ上の大きなチャート時間軸を分析するということです。

この時、上位足と下位足が同時に上昇トレンドであれば、エントリーに最適なタイミングと考えることができます。

上位足と下位足の形状を比較して、フラクタル構造であると気づいたのであれば、トレンドの方向性はどちらを向いているのか確認してみてください。

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メリット2:ダマシを回避できる

常に理論通りの動きしてくれれば、FXで勝つのは簡単ですが、チャートには「ダマシ」が存在するゆえに、事はそう簡単ではありません。

そのため「ダマシ」を回避するのが重要になるわけですが、この時に活躍するのがフラクタル構造の性質というわけなのです。

なぜなら、下位足でダマシに遭ったとしても下位足と上位足がフラクタル構造、つまり似た形状を保っているのであれば、いずれダマシが修正される可能性は高いからです。

下位足にどれだけダマシが混入しようとも、最終的には上位足と似た形状に行き着くということを覚えておけば、自信を持ってポジションを握り続けることができるでしょう。

メリット3:ボラティリティの把握

特定の時間枠において、価格変動がどれほど相似性を持っているかを分析することで、チャートの描く形状を予測しやすくなります。

チャートがどこまで伸びるのか、ボラティリティについても把握できるようになるため、より有利に立ち回れるようになるはずです。

ただフラクタル構造の特性だけでなく、ボラティリティを見極める方法は様々ありますので、以下の記事を参考にボラティリティに関する理解を深めておくことをおすすめします。

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フラクタル構造を用いたトレード手法

フラクタル構造を意識すると、具体的にどのようなトレードが可能となるのでしょうか?

それはずばり、2重の根拠で確信をもったトレードができるということ。

ここからは、実際にフラクタル構造を応用したトレード手法について、いくつかご紹介したいと思います。

エリオット波動

フラクタル構造

先ほど取り上げた図の例で説明しましょう。右の下位足をご覧ください。

今、上昇5波が形成中であることが確認でき、その部分は、左の上位足においても上昇5波目になっています。

エリオット波動において上昇5波は、そろそろトレンドが転換する合図。ということは、そろそろこの上昇トレンドは終わるかな?という目線で見られるわけです。

上位足で上昇5波 & 下位足で上昇5波 = もうすぐトレンド転換?
→買いトレードは避ける

上昇5波中(上位足)の上昇5波(下位足)ですから、次の展開を考えると、2重の根拠で買いエントリーは避けたほうがいい、という判断ができるわけです。

フラクタル構造

逆に上昇3波中(上位足)の上昇3波(下位足)のパターンも見てみましょう。

エリオット波動の上昇3波は、次いで4波、5波と続くため、まだ上昇が続くと見ることが可能です。

そのため、このタイミングで買いエントリーをすれば、勝率の高いトレードができるとも考えられます。

上位足で上昇3波 & 下位足で上昇3波 = まだまだ伸びそう
→買いエントリーOK!

このようなロジックです。

ちなみに、プロトレーダーの間では、上位足の3波の中にある1波であれば「3-1波」、上位足の3波の中にある4波であれば「3-4波」と表現したりします。

上の画像の場面であれば、上位足の3波の中にある3波なので「3-3波」です。

これはフラクタル構造を理解していないと伝わらない言葉です。

意味を理解して使っている人は「おっ!この人は分かってる!」というアピールにもなるので、積極的に使ってみてはいかがでしょうか。

エリオット波動理論を完全マスター エリオット波動理論とは?FXで勝つためのトレード方法を完全ガイド

ダウ理論

ダウ理論は6つの理論からなり、簡単に言うと、高値と安値が切り上がるN字形の上昇トレンドと、その逆の動きをする逆N字形下降トレンドのことです。

フラクタル構造とダウ理論を組み合わせて考えると、このダウ理論のN字波形の中に、さらにN字波形を確認することができます。

例えば、下図のように、日足チャートで高値①を更新する際の日足チャートの一部を一時間足で確認すると、同様にN字の上昇トレンドを描き、フラクタル構造となっていることが分かります。

このように、スケールの違う時間足でフラクタル構造を確認することができれば、より強いトレンドに乗り、勝率を高めることができるでしょう。

チャートパターン

FXのチャートパターンには、トレンドの転換を予測する「反転タイプ」や、トレンドの継続を予測する「継続タイプ」などがあります。

チャートに頻繁に登場するこれらのパターンも、フラクタル構造となる場合があります。

つまり、ダウ理論と同様に、日足チャートの一部を拡大して一時間足チャートで見てみると、フラクタル構造が形成されている可能性がある、ということです。

複数の時間軸と色々な手法を組み合わせて、どんどん勝てる根拠を強めていきましょう。

フラクタル構造の活用におけるルール

チャートに出現するフラクタル構造を活用することは、トレードにおいてとても有用ですが、守るべきルールを守らなければその恩恵を最大限享受することは難しいでしょう。

フラクタル構造を活用したトレードにおけるルールを、以下でいくつか紹介します。

ひとつ上の上位足と方向性をそろえる

フラクタル構造を活用するためには、普段自分がトレードに活用している時間足の1つ上の時間足を確認する必要があります。

このとき、より上位の足のほうが力関係が上になるので、その足と同じ方向でエントリーすることで、より勝ちやすくなるはずです。

上の図を見てわかる通り、下位足チャートばかりを見てショートを狙ったとしても、上位足チャートが上向きであれば、勝ち目は薄くなります。

普段トレードで利用している15分足が上昇していても、1時間足が下落しているならば、その流れに沿ったトレードを意識しましょう。

エントリーと決済の時間軸をそろえる

フラクタル構造を活用するためにマルチタイムフレーム分析を行っていると、複数の時間軸を確認する必要性が出てきます。

たとえば15分足でエントリーして、含み益を抱えた状態を考えてみましょう。

このとき、5分足チャートを都合よく解釈して、決済することはおすすめできません。

エントリーと決済それぞれの根拠は、同じ時間軸で作られたものでなければ、簡単にトレードルールが崩壊してしまうからです。

機会損失しないように注意する

フラクタル構造をうまく活かせれば、その勝率はかなり高いものになります。

しかし、だからといってチャートの形にこだわりすぎて、フラクタル構造の出現するチャートでばかりエントリーしようとすると、今目の前に見えていない大きな利益を逃してしまう、なんてことも。

せっかく手の届きそうな勝ちも、意識することができなければ、それを手にできることはありません。

フラクタル構造は、あくまで勝つための武器の一つ程度に捉え、他の分析手法を交えながらトレードを進めていくようにしましょう。

フラクタル構造の出現に固執しない

フラクタル構造を意識していると、チャートは必ずフラクタル構造になると思ってしまいがちです。

しかし、チャートの挙動はさまざまなファンダメンタルズ要因にも影響されるので、必ずしもフラクタル構造になるとは限りません。

とくに、経済界で何か大きなニュースや発表があるような場合はイレギュラーも起きえるので、十分注意しましょう。

フラクタル構造に関するよくある質問

ここから、フラクタル構造をより理解していただくために、初心者が抱えがちな疑問について紹介していきます。

「エリオット波動」以外のフラクタル構造は?

マルチタイム分析、チャートパターン、グランビルの法則などのFX理論は、すべてフラクタル構造の概念が密接に関係しています。

例えば、ローソク足の上位足から下位足に着目してみると、同じような形で動いている部分が見えてくるはずです。

株や仮想通貨などのチャートでも同じ現象が起きる?

FXだけでなく、その他チャートで取引をするものに関しては、基本的にフラクタル構造の概念が当てはまります。

つまり、フラクタル構造をベースにトレードスキルを磨くことで、他の金融商品においても勝てるようになるということです。

フラクタル構造にデメリットはある?

フラクタル構造を活用する上で、様々な時間足を分析するマルチタイムフレーム分析は欠かせません。

そのため、やや複雑に考えすぎてしまうことで、トレード判断を難しくしてしまうこともあるでしょう。

ただ、経験を積んでいくことでより有効活用できるものですので、フラクタル構造の概念は1つの基準として、普段のトレードに取り入れてみてください。

FXのフラクタル構造:まとめ

相場分析において「上位足を確認してから下位足でトレードする」というのは、多くのトレーダーが知っているでしょう。

しかし、さらにもう一歩踏み込んだ「フラクタル構造」を知っている人は多くありません。

意味もわからず、ただなんとなく上位足を見ていた、という人も多いのではないでしょうか?

このフラクタル構造をしっかり理解できれば、今回ご紹介した「3-3波」などのもっと根拠の強い相場分析が可能です。

1つのチャートを見るだけでは根拠の弱いトレードでも、2つの異なった時間軸のチャートまで視野を広げることで、トレード根拠をより強固にできるでしょう。

出典:OANDA | テクニカル分析解説