豪ドル円 3連騰ならず、86円到達では上値重い

豪ドル円 3連騰ならず、86円到達では上値重い

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月28日の相場分析です。

概況

豪ドルの10月27日終値は85.578円、前日比0.047円安と小幅下落した。取引レンジは86.052円から85.043円。

10月21日に86.248円へ上昇して5月10日高値85.795円を突破する一段高となったところで9月22日安値からの上昇一巡となり21日当日から22日にかけて2日連続の日足陰線で下落、23日未明安値84.603円まで下げた。週明けは揺れ返しの上昇となり25日に前日比0.465円高、26日も0.439円高と連続の日足陽線で戻し、27日午前には豪7-9月期CPI発表から86.052円まで高値を伸ばしたが、夕刻にかけては中国株安からリスク回避感が強まり豪ドル米ドルがいったん反落、ドル円も114円割れから続落したために豪ドル円は夕刻安値で85.043円まで反落した。午前高値からは1円を超える下落規模となったが、夕刻から深夜にかけて豪ドル米ドルが持ち直してドル円も深夜は下げ渋ったことで豪ドル円も28日早朝には85.675円まで戻した。しかしその後は豪ドル米ドルが再び失速、豪ドル円も85.10円台へ下落して27日夕安値割れへの余裕が乏しくなっている。

注目材料 7-9月の豪輸出入物価は大幅上昇続く、利上げ圧力高まる

10月28日午前に発表された7-9月期の豪輸入物価指数は前期比5.4%上昇となり4-6月期の1.9%を大幅に上回った。輸出物価指数は前期比6.2%上昇で4-6月期の13.2%からは大幅に鈍化したものの水準は高い。

前日には7-9月期の豪消費者物価上昇率の発表があり、コアCPIとされるトリム平均値は前期比0.7%上昇で4-6月の0.5%上昇から加速、前年同期比では2.1%上昇となり4-6月期の1.6%から伸びが加速した。豪中銀によるインフレ目標は2.0%から3.0%の範囲であり。今回は前年同期比でこれを上回ったため、豪中銀への利上げ圧力が増したと思われる。10月28日付け豪経済紙オーストラリア・フィナンシャル・レビューも利上げ圧力が増していると報じている。

10月27日夜にはカナダ中銀がテーパリングの終了を宣言、ブラジル中銀は6会合連続で利上げを決めた。隣国のNZ中銀はすでに利上げを実施している。豪中銀のロウ総裁は2024年まで利上げはないとの見通しを繰り返し述べてきたが、世界的な物価上昇とワクチン普及によるロックダウンの解除と年末の景気回復期待を踏まえれば、豪中銀の利上げの準備に入る可能性が高まってゆくところと思われる。

注目材料 ワクチン普及により渡航制限緩和

豪政府は10月27日に新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した国籍保有者と永住者に対して11月1日から特例な制限なしで出国を認めると発表した。豪政府はワクチン接種完了が7割を超えたところから長期に及んだロックダウンを解除しており、ワクチン普及によっても感染者数が高止まりしている状況に対してはブースター接種を計画するなど、ウィズ・コロナによる経済政策を取り始めている。今回の渡航制限解除もその一つ。豪医薬品規制当局は27日に18歳以上を対象とした米ファイザー製ワクチンのブースター接種(3回目)を暫定承認している。

テクニカルポイント 86円台での抵抗感

豪ドル円は10月27日午前高値で86.052円へ上昇したが10月21日高値86.248円には届かずに失速している。9月22日安値78.837円を起点として大上昇に入り、9月3日高値を超えて二段上げに発展、さらに5月10日高値85.795円も超えて86円台に到達したものの、主要国中銀の金融政策決定会合が相次ぐ時期に入っていることでの高値警戒感、資源通貨としての上昇を支えてきた原油相場が急騰一巡で反動安に入っていること、中国の規制強化等での中国株安等からややリスク回避感が強まっていることで上値が重くなっている。

目先は上昇一服による調整安に入っている可能性があるが、84円台中後半までで確りして足場を固めて押し目形成として次の上昇期入りのきっかけを探る流れへ進むか、10月23日未明安値を割り込んでもう一段安してからの上昇再開を探る展開となるのか、微妙なところにあると思われる。

短期テクニカル分析

豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。

豪ドル円は10月23日未明安値84.603円を目先の底として上昇してきたが、27日午前高値でピークを付けて下落期に入った印象だ。安値形成期は28日未明から11月1日朝にかけての間と想定されるが、28日未明へ戻してから失速しているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換は27日午前高値超えからとし、その際は11月1日午前から3日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では28日午前への下落で先行スパンから転落しているため、先行スパンを上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜くところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は28日午前の下落で40ポイントを割り込んでいるのでまだ安値試しを続けやすいとみる。30ポイント以下は反発注意とするが、50ポイント以下での推移中は下落継続とし、強気転換は55ポイント超えからとする。

10月28日の売買戦略

中勢の上昇基調は継続とみるが、目先は86円台では上値の重い調整期にあるとみて安値試しへ進みやすい状況と考える。まずは足場固めと安値の落ち着き処を探るところとみる。

85.50円以下での推移中は下向きとし、85.0円割れからは23日未明安値84.603円、さらに84円台前半を試す可能性があるとみる。
84.25円以下は反騰注意とみるが、85.50円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

10月27日午前高値を超える場合はそのまま10月21日高値86.248円を超えて86円台後半へ向かう流れへ入るとみるが、そのためには新たな押し上げ材料が欲しいところ。

10月28日の主な予定

  • 日銀金融政策決定会合、15:30 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
  • 独欧
  • 16:55 10月 独失業率 (9月 5.5%、予想 5.4%)
  • 20:45 欧州中銀(ECB)理事会
  • 21:00 10月 独消費者物価指数速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.5%)
  • 21:00 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.4%)
  • 21:30 ラガルドECB総裁、定例記者会見
  • 米国
  • 21:30 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4-6月 6.7%、予想 2.7%)
  • 21:30 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4-6月 12.0%、予想 0.8%)
  • 21:30 7-9月期 コアPCE速報値 前期比年率 (4-6月 6.1%、予想 4.5%)
  • 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 29.0万件、予想 29.0万件)
  • 21:30 失業保険継続受給者数 (前週 248.1万人、予想 241.5万人)
  • 23:00 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 8.1%、予想 0.0%)
  • 23:00 9月 住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -6.3%、予想 -3.0%)
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