ポンド円 150円割れを切り返す、戻り高値切り下がりから脱却できるか試す週

ポンド円 150円割れを切り返す、戻り高値切り下がりから脱却できるか試す週

おはようございます。大塚亮です。

2021年10月4日の相場分析です。

概況

ポンド円の10月1日終値は150.421円、前日比0.542円高と反発した。取引レンジは150.741円から149.233円。

ポンドドルが下げ渋る中でドル円が反騰したことにより9月28日に152.569円まで上昇して9月21日安値148.947円以降の高値を更新したが、ポンドドルの急落により円安では支えきれなくなって下落に転じ、28日は前日比1.151円安の大幅下落、29日も前日比0.627円安と続落して夜安値で149.900円まで下げた。150円割れを買い戻されて30日夜には150.961円までいったん戻したが、10月1日はポンドドルが下げ渋る中でドル円が大幅続落したことで夕刻には149.233円まで一段安となった。

10月1日夕刻からはドル円が続落したものの米長期債利回り低下を見てポンドドルが反騰入りしたことで150円台中盤を回復してを終えた。

注目情勢 米10年債利回りの低下と英10年債利回りの高止まり

米10年債利回りは9月28日に1.56%まで上昇して8月4日の1.12%以降の高値を更新したが、29日を高止まりしていたものの30日に1.48%へ低下、10月1日も1.46%へと続落した。日足では3日連続陰線での下落となり、9月23日の米FOMC後の上昇が一服した状況となっている。米連邦政府の債務上限問題が解決せず、暫定予算で政府機関の閉鎖はまぬかれても10月後半には国債発行ができなければ財務省の現金枯渇となりデフォルトに陥りかねない。格付け会社フィッチによデフォルト警戒もあり、短期国債が売られる一方で長期国債が買い戻されて利回り低下を招いている。

一方で英10年債利回りは8月4日の0.48%から9月30日に1.06%まで上昇、10月1日は1.03%まで若干下げたが、米10年債利回りの3日間の続落と比較すれば高止まりとなった。米英の10年債利回り動向の差もあってポンドドルは29日深夜安値1.34120ドルから持ち直しに入り1.350ドル台後半へ戻している。

注目情勢 英国の物価上昇

英国では10月1日から電気・ガス料金が引き上げられる模様。標準世帯で上限価格が12~13%の引き上げとなるようだ。欧州では天然ガス相場が高騰している。
一方で英国のガソリンスタンドの店頭在庫枯渇による燃料パニックは収まりつつあるようだ。EU離脱の影響とコロナ禍による運転手不足が原因でガソリンスタンドの在庫が枯渇して長蛇の列ができて車出勤ができないようなパニック買いも発生していたが、陸軍の運転手動員等もあり状況は解消に向かっているようだ。ガソリン小売協会(PRA)では店頭在庫が枯渇中のスタンドは全体の27%まで減ったという。

パンデミックからの景気回復と感染拡大の交錯が内外のサプライチェーンを混乱に陥れていることの象徴でもあるが、これらは物価上昇も原因としており、英中銀が「利上げの条件が揃ってきている模様」としたことで年内(11月か12月)には利上げの可能性も高まってきている。

短期テクニカル分析

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがある。

9月28日午後高値152.569円を起点とした下落は10月1日夕安値149.233円でひとまず落ち着いて戻したが、9月30日夜高値150.961円超えにはまだ至っていない。150円を割り込んだところは買い戻される展開が続いてきたため、今回も149円台まで下げたところからの戻しを継続してもよいところだが、勢い付くにはまず9月30日高値を超える必要があるところだ。

目先は10月1日夕安値を底として戻りを試す余地ありとし、10月4日の日中から5日午後にかけての間への上昇余地ありとみるが、150円を早々に割り込む場合はもう一段安へ進みかねないと注意し、10月1日夕安値割れからは次の安値形成期となる6日夕から8日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月1日夕安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けつつあるところだが、勢いは鈍っているので、遅行スパンが好転を維持するうちは上昇余地ありとするが、再び悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月1日夕からの反騰で50ポイント台を回復しているので。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開と30ポイント割れへの下落を想定する。

10月4日の売買戦略

151円を超えてくれば反騰入りによる9月28日午後高値152.569円を目指す可能性が出てくるが、150円台中盤で揉み合い程度の推移にとどまる場合は150円割れからの下げ再開リスクが伴う。このため151円超えからは152円を目指す上昇期待で押し目買い有利とするが、150円割れから続落に入る場合は10月1日夕安値割れへ向かう流れとみて戻り売り有利の情勢として148円台中盤(148.70円から148.30円)を目指す下落を想定する。

今週の注目指標

・10/4(月)
・休場 中国(10月7日まで、国慶節)
・英国
・21:00 ラムスデン英中銀副総裁、カーニー前英中銀総裁、講演
・米国
・23:00 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 0.4%、予想 1.0%)

・10/5(火)
・OPECプラス閣僚級会合
・ユーロ圏
・16:55 9月 ドイツサービス業PMI改定値 (速報 56.0、予想 56.0)
・17:00 9月 ユーロ圏サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
・18:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 2.3%、予想 1.3%)
・18:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 12.1%、予想 13.5%)
・英国
・17:30 9月 サービス業PMI改定値 (速報 54.6、予想 54.6)
・米国
・21:30 8月 貿易収支 (7月 -701億ドル、予想 -706億ドル)
・23:00 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 61.7、予想 59.9)

・10/6(水)
・EU首脳会議
・ユーロ圏
・15:00 8月 ドイツ製造業新規受注 前月比 (7月 3.4%、予想 -2.0%)
・15:00 8月 ドイツ製造業新規受注 前年同月比 (7月 24.4%、予想 16.5%)
・18:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 -2.3%、予想 0.9%)
・18:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 3.1%、予想 0.4%)
・英国
・17:30 9月 建設業PMI (8月 55.2)
・米国
・21:15 9月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (8月 37.4万人、予想 45.0万人)

・10/7(木)
・ユーロ圏
・15:00 8月 ドイツ鉱工業生産 前月比 (7月 1.0%、予想 -0.5%)
・15:00 8月 ドイツ鉱工業生産 前年同月比 (7月 5.7%、予想 5.0%)
・22:00 レーンECB理事、講演
・22:00 シュナーベルECB理事、講演
・米国
・21:30 新規失業保険申請件数 (前週 36.2万件、予想 34.8万件)想 180.0億ドル)

・10/8(金)
・ユーロ圏
・15:00 8月 ドイツ貿易収支 (7月 181億ユーロ、予想 150億ユーロ)
・15:00 8月 ドイツ経常収支 (7月 176億ユーロ、予想 170億ユーロ)
・米国
・21:30 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 23.5万人、予想 50.0万人)
・21:30 9月 失業率 (8月 5.2%、予想 5.1%)