ポンド円見通し 再び150円割れからの切り返しを試すが勢いに欠ける

ポンド円

おはようございます。大塚亮です。

2021年12月21日の相場分析です。

概況

ポンド円の12月20日終値は150.066円、前日比0.391円安と続落した。取引レンジは150.721円から149.525円。
12月16日早朝の米FOMC通過後のドル全面安を背景にポンドドルが反騰、16日夜には英中銀が予想外の利上げを決定したことで152.634円まで上昇したが16日夜のドル円急落により16日終値では151.470円まで下げ、日足は長い上ヒゲを付けた。

12月17日は欧州感染拡大によるリスク回避の動きでポンドドルが反落、ドル円も17日夜へ一段安したためにポンド円の17日は前日比1.013円安の大幅下落となったが、週明けの20日も夕刻までポンドドルの下落が続いたためにポンド円は149.525円まで続落、夕刻からポンドドルが反発した局面で150円台を回復して終了したが戻りの勢いは鈍い印象だ。

注目情勢 英国では2日連続で1万人を超える新規感染者

ジョンソン英首相は12月20日にオミクロン変異株の感染拡大抑制のためにあらゆる措置の導入を検討していると述べた。首相はロンドンでの入院患者数が急増しており一段と厳しい規制導入を排除しないと述べた。英メディアはクリスマス明けの28日にも新たな抑制策が導入される可能性があると報じているが、その際には世帯以外の屋内集会の禁止や屋外集会の人数制限、飲食店の屋内飲食の禁止などが検討されているという。

英保健当局によると12月19日にはオミクロン株感染での死亡が12人(18日時点では7名)、104人(18日時点では65名)が入院中と発表している。1日の新規感染者は12月19日に1万2133人で2日連続の1万人超え、過去最多更新となった。今年1月のピーク時に6万7794人だったところと比較すれば既に倍のスケールとなっている。ロンドンのカーン市長は18日に「緊急事態」を宣言している。
オミクロン株は感染力が強烈だが重症化率は低いとの評価も崩れつつある。

テクニカルポイント、再び150円割れの下値支持帯を試す

ポンドドルは12月20日夜安値で1.31736ドルを付けて12月16日早朝のFOMC直後に付けた安値1.31717ドルまでほぼ「往って来い」となった。12月8日以降は1.320ドル割れを何度か買い戻されており12月8日安値1.31611ドル以降は新たな安値更新を回避しているものの、12月20日夜の反発も鈍く21日午前へジリ安のため、支持帯を維持できるのかどうか試される状況であり、12月8日安値を割り込む様だとテクニカル的なポンド売りが加速しかねない。

ポンド円も今年何度も試してきた150円割れからの切り返しによる148円台までの下値支持帯を再び試している。既に円高の影響もあってFOMC前水準を割り込んでいるが、12月4日早朝安値148.983円を割り込むようだと底割れによる先安感が強まりかねないところだ。

短期テクニカル

ポンド円の60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちと反落を繰り返すリズムがある。
12月16日夜高値から1円を超える反落となったために17日午前時点では16日夜高値を起点とした下落期入りとし、安値形成期を17日の日中から21日昼にかけての間と想定した。
12月20日夜の150円割れからいったん戻したため、現状は12月20日夜安値で目先の底を付けたと思われる。底割れ回避のうちは21日夜から23日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、底割れへの余裕も乏しいため底割れからは新たな下落期入りとして23日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月17日夜に遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いているが、20日夜安値からの下げ渋りにより遅行スパンは好転しやすい位置にある。このため遅行スパン悪化中は一段安警戒とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンへ潜り込む上昇へ進めないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は12月20日夜の下落時に20ポイント台へ低下してから戻したものの50ポイントに届かずにいる。50ポイント以下での推移中はもう一段安余地ありとし、50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみるがその後に40ポイントを割り込むところからは下げ再開とみる。

12月21日の売買戦略

150円割れからのリバウンド入りも期待したところだが勢いが鈍いため、今回は148円台中盤までの下値支持帯では支えられずに一段安入りする可能性があるとみて戻り売り有利の状況と考える。

150.30円から150.70円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
150円以下での推移中は下向きとし、12月20日夜安値149.525円割れからは12月8日夜安値149.360円試しとし、下げ足が速まる場合は149円前後試しへ下値目途を引き下げる。150円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

12月21日の主な予定

  • ユーロ圏
    ー16:00 1月 独GFK消費者信頼感 (12月 -1.6、予想 -2.7)
    ー24:00 12月 ユーロ圏消費者信頼感・速報値 (11月 -6.8、予想 -8.1)
  • 米国
    ー22:30 7-9月期 経常収支 (4-6月 -1903億ドル、予想 -2054億ドル)
    ー27:00 財務省20年債入札