[AD] 運営維持のため、一部広告リンクを設置する場合がございます(詳細)
おはようございます。大塚亮です。
2021年12月6日の相場分析です。
目次
概況
豪ドル円の12月3日終値は78.953円、前日比1.319円安と大幅下落した。取引レンジは80.353円から78.787円。
オミクロン株による世界規模の感染拡大と先行き不安を背景としたリスク回避の動きに加え、12月3日夜の米雇用統計で非農業部門就業者増加数は予想を大幅に下回ったものの失業率が予想以上に改善したことで米連銀のテーパリング終了を急ぐ姿勢は変わらないとして豪ドル売りが加速、ドル円も深夜に反落したことで豪ドル円は前日比で1円を超える下落となった。
10月21日高値86.248円以降の安値を更新、9月22日安値78.837円を割り込んだ。
注目情勢 オーストラリアでもオミクロン株のクラスター発生
オーストラリアでは12月3日にシドニー市内の学校で生徒3人のオミクロン株感染が確認された。海外への渡航歴がなく、渡航歴のある人物との接触無しでの検出例は初めて。3人の他に10人の生徒からも陽性反応がでており変異株の特定が行われている。
12月6日早朝時点でオミクロン株の感染は日本を含め世界の42の国と地域で確認されている。アジア。オセアニアでは日本、香港、韓国、インド、シンガポール、マレーシア、スリランカ、オーストラリア。北米は米国とカナダで米国では15州に拡大している。
中南米ではメキシコ、ブラジル、チリ、欧州は独英仏伊等19か国で全域への感染拡大中とみられる。中東でも当初に発見されたイスラエルの他にサウジアラビアとアラブ首長国連邦で確認された。アフリカは南ア、ボツワナ、ナイジェリア、ガーナ、ジンバブエ、チュニジア、ザンビアとなっている。
今のところオミクロン株による死者は発生しておらず軽症の報告も多いが、重症化率が低いと決めつけるのは時期尚早の段階。各国での渡航制限や行動規制が拡大する中でウィズコロナ政策を進めるオーストラリアとしても難しい対応が迫られる。
オーストラリアでの感染拡大は第一波のピークが2020年3月で528人、第二波のピークが6月で721人、第三波のピークが10月14日の2688人でいったん11月14日には1094人まで減ったのだが、そこからぶり返しており12月2日には1706人の感染が確認されて再拡大が始まった状況と思われる。経済活動を維持して景気回復を継続できるかどうか試される。
注目材料 豪中銀理事会は12月7日
12月7日に豪中銀理事会が開催される。政策金利は現状の0.10%で据え置かれ、量的金融緩和としての国債買い入れペースについても9月に減額して2月まで継続するとした週40億豪ドルを維持するとみられている。
ロウ総裁は主要国と比較してインフレ率は相対的に低いこと、ロックダウン長期化からの復興期にあることから2024年までは利上げを考えないという姿勢を繰り返し強調してきた。
しかし米連銀は再任の決定しているパウエル議長が「インフレは一時的としてきた見方を撤回する」としてインフレ対策に軸足を置く姿勢へと転換したことで12月14-15日のFOMCでテーパリングの早期終了へテーパリングを加速させる見通しとなっているため、豪中銀も米連銀の姿勢を意識した対応を迫られてゆくのではないかとみられている。
市場では今回の理事会で政策を現状維持としつつ、来年2月の理事会では国債買い入れペースを週20億豪ドルへ減額して終了へ向かうのではないかと予想している。
12月7日の理事会における先行きへの姿勢の変化が見られれば豪ドルには下落基調から抜け出すきっかけとなる可能性も考えられるが、あいまいで緩和継続姿勢の強調ならば豪ドルの下落もさらに進みやすくなると思われる。
テクニカルポイント 豪ドル米ドルは0.70ドル割れ、昨年11月以来の安値
豪ドル米ドルは12月3日安値で0.6992ドルを付けて0.70ドルの心理的節目を割り込み今年2月25日高値0.8006ドル以降の最安値を更新した。0.70ドル割れは昨年11月2日安値0.6989ドル以来の安値水準となった。
今年2月25日高値を天井として4月1日安値までを一段目の下げとし、5月10日高値で2月25日高値に迫ったものの越え荒れずにダブルトップ型を形成して二段目の下落に入り8月20日安値0.7106ドルまで続落した。10月28日高値まで二段階で戻したもののその後はほぼ一本調子の下落となり、11月30日に8月20日安値を割り込みさらに続落中となっている。
いわゆる三段下げの三段目に入った状況にあり、昨年3月のコロナショック暴落からの出直り相場が一巡して二調整安が長期化している状況と思われる。
パンデミック初期の混乱からの揺れ返しと景気復興期待での上昇が一巡し、インフレ進行により主要国中銀が金融緩和終了から正常化へと向かい始める中、徐々に過剰流動性が絞られて投機性の高い通貨のポジション縮小の動きが進みやすい状況にあるが、豪中銀が主要中銀と比較しての正常化への動きが相対的に鈍いことで豪ドルが売られやすい環境となっている印象もある。
豪ドル円にとってはドル円の大上昇期なら多少の豪ドル安もカバーできるが、リスク回避的な円高感も強まっている状況のため豪ドル安と円高の重なる局面も出てきやすいと注意したい。
短期テクニカル分析
豪ドル円の60分足チャートにおいては概ね3日から5日周期での騰落リズムがみられる。
12月1日夕刻へいったん戻したところから下落期に入り12月3日深夜に一段安した状況にある。12月1日未明安値を基準とすれば安値形成期は12月4日未明から8日未明にかけての間と想定されるので、早ければ12月4日早朝安値で下げ一服から戻しに入ってもよいところだ。
このため80円以下での推移中は一段安余地ありとするが、80円超えからはいったん戻しに入るとみて6日午後から8日夕にかけての間への上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性もあること、戻しに入った場合も12月7日の豪中銀理事会反応によっては再び下落期に入る可能性があると注意したい。
60分足の一目均衡表では12月1日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。
遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は12月4日早朝に20ポイント近辺へ低下したところから戻しているが50ポイントに届かずにいる。50ポイントに届かないうちはもう一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰入り注意とし、50ポイント台を維持し始めるところからは上昇再開とみる。
12月6日の売買戦略
79円割れに対する突っ込み警戒感も出や酸いところのため、いったん戻しを試す可能性もあると思われるが、12月1日に直前安値から1円以上の戻りを入れてから一段安していること、中勢の下落基調が続いていることから戻り売り有利の情勢の範囲と考える。
79.50円台から79.70円台にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。79円割れからは下げ再開とみて78.50円、78円台序盤(78.30円から78.00円)を試して行く流れとみる。
79.80円超えからは80円試しとするが、12月2日に80円前後で揉み合ったところから一段安した後のため、80円前後は反落警戒圏と考える。
12月6日の主な予定
- 休場、タイ(父の日)
- オーストラリア
ー09:30 11月 求人広告件数 前月比 (10月 6.2%、結果 ) - ユーロ圏
ー16:00 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 1.3%、予想 -0.3%)
ー16:00 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 9.7%、予想 5.5%) - 英国
ー18:30 11月 建設業PMI (10月 54.6、予想 54.2)
ー20:30 ブロードベント英中銀副総裁、講演
今週のオーストラリア関連主な予定
- 12/7(火)
ー06:30 11月 AiGサービス業景況指数 (10月 47.6)
ー09:30 7-9月期 住宅価格指数 前期比 (4-6月 6.7%、予想 5.0%)
ー09:30 7-9月期 住宅価格指数 前年同期比 (4-6月 16.8%、予想 21.7%)
ー12:30 豪中銀理事会、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%) - 12/9(木)
ー07:00 ロウ豪中銀総裁、講演