ポンド円 米連銀議長講演後はドル安、8月20日からは上昇チャンネル

ポンド円 米連銀議長講演後はドル安、8月20日からは上昇チャンネル

おはようございます。大塚亮です。

2021年8月30日の相場分析です。

概況

ポンド円の8月27日終値は151.133円、前日比0.319円高と反発した。取引レンジは151.509円から150.465円。

8月12日から17日へ4営業日連続の陰線で下落し、8月20日には149.182円まで安値を切り下げていたが、20日夜からはドル高が一服、8月23日からはドル全面安へと流れが変わり8月25日までは4営業日連続の陽線で上昇、26日には151.583円まで戻り高値を切り上げた。26日は高値切り上げ後にいったん下げに入り27日午前には150.465円まで押されたものの持ち直し、27日夜のパウエル米連銀議長講演後のドル安ポンド高により深夜に151.509円まで戻したが26日夕高値には一歩届かずに先週を終えた。

パウエル米連銀議長講演後にドル全面安となったところでは、ドル円が直前高値110.26円から109.70円台へ反落する一方でポンドドルが1.37801ドルへ上昇して26日午前高値を超えて20日夜安値以降の高値を切り上げた。このためポンド円は円高に押された分で新たな高値更新へは進めなかったものの基調としてはポンドドルの上昇に同調して8月26日夕安値以降の上昇トレンドを維持した。

注目ポイント ジャクソンホール講演後のドル安、継続性は米雇用統計次第

8月27日夜のパウエル米FRB議長によるジャクソンホール・シンポジウムにおける講演では、年内の量的緩和縮小開始が適切としたものの時期、規模、終了目途等について踏み込んだ発言はなかったために市場は予想よりもハト派として市場が警戒するほどには量的緩和縮小は急がれていないのではないかと受け止められた。また量的緩和終了後の利上げについてもかなり慎重姿勢だったことも重なってドル安反応となった。

6月のFOMCで量的緩和の縮小議論に入ると表明され、7月のFOMCでも議論は進んだとして今回のジャクソンホール講演ではより具体的な計画性を示すのではないかと市場は注目していた。8月5日にはウォラー米連銀理事が「7月分と8月分の米雇用が80~100万人増規模なら次回FOMCで量的緩和縮小を決断して開始できる」旨を具体的に示す中、8月6日の米7月雇用統計で非農業部門雇用者数が94.3万人増となったことで10月にも量的緩和縮小が始まるのではないかという見方も強まっていた。しかし、市場が量的緩和縮小開始を過度に意識することで混乱しないようにパウエル議長の今回の講演もやや曖昧な表現にとどまり、早計な利上げはしないことを強調したためにドル安を招いたといえる。

議長講演を挟んで米連銀高官らによる発言も相次いだが、量的緩和の縮小開始を先送りすることは害悪とみるタカ派は縮小開始の決定を催促するような発言主旨が目立っており、9月3日の米8月雇用統計で良好な数字が示されればパウエル議長も9月FOMCでの縮小開始決定を強いられるかもしれない。

しかし今のところ、市場の事前予想では就業者数の増加は75万人増程度と見込まれており、ウォラー理事らが目安として示している80万人を下回るようだと、量的緩和縮小開始の決定は9月21-22日の会合では決まらずに11月2-3日の次々回会合やさらに12月14-15日の会合まで延期される可能性もある。

このため、9月3日の米雇用統計が量的緩和縮小開始決定要因になるならドル高がぶり返し、先送り要因になるならドル安の継続というように市場反応も変わってくると思われる。雇用統計前の重要指標発表でも一喜一憂がみられて乱調な動きとなる可能性もあると注意したい。

テクニカルポイント 8月20日夕安値からは上昇チャンネル

ポンド円は8月20日安値で149.182円まで下げたところから上昇に転じてきた。8月24日に151円に到達したところからの小反落では150円割れを回避し、26日夕高値で151.583円へ一段高したところからの小反落でも27日午前安値は150.465円にとどまって24日夜安値からは底上げしてきた。27日深夜高値では26日夕高値に迫ったものの超えられずにいるが、30日午前序盤は151円台を維持して確りしており高値更新を伺う姿勢がみられる。

8月20日夕安値と8月27日午前安値を結ぶ上昇トレンドの下値支持線は150.75円近辺に来て上昇中だが、この下値支持線は8月24日夕高値と8月26日夕高値を結ぶ上値抵抗線とほぼ平行であり、支持線と抵抗線がほぼ平行に走る上昇チャンネルを構成している。このチャンネルの抵抗線は現在152円台序盤に来ているため、全般的なドル安基調を背景にポンドドルの上昇が続いてドル円の下落に押しこまれない限りは、8月26日高値を上抜いて152円台序盤を目指しても不思議ないところだ。逆に150.75円を割り込む場合は支持線割れとなるために8月27日午前安値150.465円試しへ向かい、割り込む場合には8月20日夕安値からの底上げパターンが崩れるのでいったん仕切り直しの下落期に入って8月20日夕安値試しへ向かいやすくなると思われる。

短期テクニカル分析

60分足レベルでは概ね3日から5日周期での底打ちとピークアウトを繰り返すリズムがあるが、ポンド円は8月20日夕安値を目先の底として上昇期に入ってきた。

8月20日夕安値から5日目に入った8月27日午前安値で底を付けて新たな上昇期入りを試しているところと思われる。8月26日夕高値を超えれば新たな上昇期入りとなり、次の高値形成期となる31日午後から9月2日夕刻にかけての間へ高値試しを続けやすい展開に入ると考える。ただし、8月27日午前安値を割り込む場合はいったん仕切り直しの下落期入りとして9月1日午前から3日午前にかけての間へ安値試しを続けやすくなると注意する。

60分足の一目均衡表では8月27日夜の反騰で遅行スパンが実線を上抜く好転に入り、先行スパンからも上抜けてきた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とみる。8月27日午前安値割れ回避のうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、27日午前安値を割り込む場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は27日深夜に70ポイント手前へ上昇した後は50ポイント台で推移している。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみる。相場が高値を更新する際に指数のピークも切り上がるうちはさらに高値更新余地ありとみるが、相場の高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる場合は弱気ダイバージェンスの発生としていったん下げに転じやすくなると注意し、50ポイント割れからは下げ再開に入るとみる。

8月30日の売買戦略

8月26日夕高値を超えられないかわずかに超えても151円を割り込む場合はダブルトップに終わる可能性もあると注意しつつ、流れは8月20日夕安値を起点とした上昇の継続とみて押し目買い有利の展開とし、8月26日夕高値超えからは152円台序盤を目指すとみる。
151.00円から150.80円までは押し目買いされやすいとみるが、150.75円割れを弱気転換注意とし、8月27日午前安値150.465円割れからはいったん下げに入るとみて150.00円前後への下落を想定する。150円割れは反騰注意とみるが、27日午前安値を割り込んだ後も150.75円以下での推移にとどまる場合は戻り売りにつかまりやすく今後に149円台中盤を目指す流れへ向かいやすくなるとみる。

8月30日の注目経済指標

  • 英国市場はバンクホリデーで休場
  • ユーロ圏
  • 18:00 8月 消費者信頼感確定値 (速報 -5.3、予想 -5.3)
  • 18:00 8月 経済信頼感 (7月 119.0、予想 118.0)
  • ドイツ
  • 21:00 8月 消費者物価指数速報値 前月比 (7月 0.9%、予想 0.1%)
  • 21:00 8月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (7月 3.8%、予想 3.9%)
  • 米国
  • 23:00 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 -1.9%、予想 0.5%)
  • 23:00 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 -3.3%、予想 -8.5%)